8/4「にしてもあっついねぇ…今日も最高気温更新だって〜。藤堂ちゃん生まれた日はどうだった?暑かったのかな?お母さま大変だったねー」
「……この暑さの中で…よく喋る……」
携帯扇風機に乗せて流れるスズランの川の流れのようにとめどない声に、藤堂は伝う汗を拭いながら何とか返した。
路面は陽炎が立ち、持った荷物も手の内から滑り落ちそうなくらい汗をかいている。
運悪くバスを乗り逃し、たかだか15分待っているだけでこの有様である。全く現代の温暖化ときたら——と記憶にある京都の街を思う。
(いや、当時も十分暑かったな……)
「でもさあ、夏休み中なのはいいよね。一日中お祝いできるし、今日みたいに前日からだって…」
そこまで言うと、スズランのスマホが鳴る。出て二言三言交わしたスズランが、通話を切るなり「やったー!」とガッツポーズをする。
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