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    Rthathatha

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    10/16クレリリで配布していたお寂パラダイス2ペーパーラリーの無配SSです
    当日はお手にとっていただきありがとうございました!

    #神宮寺寂雷
    JingujiJakurai
    #神奈備衢

    5:58a.m. ぱちり、とこれまでにないほど寂雷はすっきりと目覚めてしまった。時刻は、と目覚まし時計を確認すれば午前六時になるところ。カーテンの隙間から漏れる光は弱く薄暗い。十月も中頃になれば日の出も徐々に遅くなっていることを実感させられた。

    「神宮寺先生は朝つよそうですよね」などとよく人からは言われているがそんなことはない。寝られるのならギリギリまで寝ていられるし、よほどの予定がない限り起きられないこともある。
    それに予定があったとて、今みたいにここまですっきりとは起きられない。まだ布団で眠っていたい気持ちを、大人として仕事への責任感で抑えつけてなんとか起き上がっているだけだ。うだうだとしているところを小学生の衢に起こされて助けられることもしばしば、というありさまだ。
     しかし今日は衢と少し遠出をしよう、と約束していた。久々のキャンプである。といっても日帰りのいわゆるデイキャンプではあるのだが前回から日付もあいていて、衢と出かけること自体が本当に久しぶりだった。だから寂雷はとても楽しみにしていたのである――……そのせいだろうか、目覚ましよりもかなり早い時間に目が覚めてしまった。これではまんま遠足が楽しみな子どもと同じである。もういい歳だというのに、と大変恥ずかしく思った。

     ゴロゴロと行儀悪く寝返りをうつ。出発の時間は八時の予定だ。今から準備をしたとしてもまだ時間は余るだろう。寝てしまったとしても目覚ましがセットされているしきっと衢も起こしてくれるはずだ……だが一向に眠気は戻ってこなかった。
     寂雷は諦めてとりあえず起きることにした。頭まですっぽりと被った布団をどかして上半身を起こす。やはりいつもの布団への名残惜しさはない。そのままベッドから出て、前日に決めておいた服にさっさと着替える。
     洗面所で顔でも洗おうかなと寂雷は自室を出ると、リビングから何やら人の気配がした。微かな水音とカチャカチャと食器の鳴る音がする。扉をあければ衢がコーヒーを淹れているところだった。
    「衢くんおはよう」
    「えっ、あ、寂雷さん! おはようございます! ……起こしてしまいましたか?」
     衢は驚いた顔でこちらへ視線を向けてきた。普段起きない人間が朝早い時間にやってきたのだからそれはそうだろう。己の情けなさを寂雷は反省した。
    「いや、目が覚めてしまったんだ……キャンプが楽しみすぎてね」
    「そうだったんですか。実は僕もなんです」
    そこからなんだか眠れなくて、と頬をかく衢に、寂雷はなるほどと納得する。普段から衢は寂雷より早起きとはいえ、今は六時を回ったばかりの時間。それなのに彼の身なりはすでに整えられていて、今すぐにでも出かけられるという様子だ。コーヒーを淹れるにも準備が必要だから、相当早く目覚めてしまったのだろうということがわかった。楽しみにしていたのは自分だけでないことに寂雷はどこかそわそわとくすぐったい気持ちになる。
    「今日こそ寂雷さんより、いっぱい魚を釣ります!」
    「ふふ、私も負けられないね」
     くすくすと笑い合っていると衢が大きくあくびをした。
    「さすがに衢くんは早起きすぎたかな?」
    「あはは……」
    「まだまだ時間はありますから、コーヒーを飲んだら少し仮眠でもしましょうか」
    「はい!」
     リビングの窓から朝日がようやく差し込んできている。秋晴れの予感に、寂雷はひとつ大きく伸びをした。
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