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    よるのなか

    二次創作文字書き。HRH🍣右、🍃右中心。

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    よるのなか

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    キスブラ。くるっぷでネタだけ呟いてた探偵キと刑事ブのふんわりパロ。SSというよりはこんな話が読みたいくださいみたいな…希望を書いただけなので各所適当何でも許せる方向け。

    こんな設定の話が読みたい バーという場所には様々なタイプの客が来るものだ、とキースは思っている。グラスを磨きがら周囲を見渡す。ふらりと立ち寄った体の仕事帰りのサラリーマン、酒を楽しみたいと訪れている老夫婦、まだこういう場所には馴染みがなく、好奇心で覗きに来た若者達。立場も目的も違う者達がこの狭い店内で一瞬だけすれ違っていく。特にそこに関わるつもりはないが、彼らに酒を提供するバーテンダーとしては一人一人に最適な一杯を提供できるよう、それなりに観察は大切なのかもしれない、と考えていた。たとえ自分が臨時の雇われバーテンダーだったとしても。
     カウンターの中でそう物思いに耽っていたキースの前に、何者かが座った。いらっしゃいませ、と型通りの挨拶をしようとした表情が固まる。何故わざわざキースの目の前に座ったのか、相手の顔を見てすぐにその理由がわかってしまったからだ。
    「……何なの、お前。いっつも思うけどなんですぐオレの居場所突き止めるわけ? オレここでバイト始めてまだ三日だけど」
    「大したことはしていない。少し調べた程度だ」
    「少しですぐ辿り着くかよ、全く……」
     目の前に座った男はいつも通り、上質な黒いスーツに身を包んで真っ直ぐにこちらを見上げてきた。顔が良ければ動きも洗練されている、その完璧な見た目に、店内の視線は自然とこの男に集まっていく。これもいつものことだった。
    「来たからには何か飲めよ、ブラッド。何にする」
    「任せる」
     ブラッドはそう短く答えると、一度スーツの内ポケットからスマートフォンを取り出して画面を確認し、すぐに戻す。グラスを用意しながらキースは皮肉交じりに一言をかけた。
    「相変わらず、忙しいモンだな、刑事サンは」
    「あぁ。だが貴様の協力次第で、その忙しさは多少解消されるのだが?」
     まだ一杯目も提供していないのに、早速要件を切り出してきた。本当に無駄を嫌う男だ。
     ブラッド・ビームス、この地域の担当刑事。頭脳明晰、かつ効率重視の行動力で事件の検挙率はトップクラス。本来ならばとうに都市部の本部に引き抜かれても良い程の有能さを発揮しているのに、何故かずっとこの辺境の街に留まっている。キースとは学生時代からの腐れ縁だ。どんな身分の者でも一律に生活を行う学生時代を終え、今は職業も違えば生活環境も大きく違うというのに、何かとキースの前に姿を現す。そして。
    「オレ今、雇われバーテンダーで忙しいんだけど。誰かさんと違って生活費カツカツなの」
    「報酬は払う。いつものことだろう」
     事ある毎に協力しろ、と言ってくる。
    「あのさぁ……」
     キースは長くため息をつくと、ブラッドを軽く睨んだ。
    「お前刑事だろ、オレなんかに協力仰いで、刑事のプライドとかはねぇのかよ」
    「そんなものは調査の邪魔になるだけだ。事件を追うために使えるものは何でも使う」
     キースの挑発にもブラッドは全く動じない。不敵な笑みと共にキースの視線を真っ向から受け止めた。
    「ある程度『裏側』にも通じている探偵は、この辺りではお前だけだ。使わない手はない」
    「好きで通じてるわけじゃねぇんだけど……」
     キースは、この街で小さな探偵事務所を構えていた。探偵だけでは生計を立てられず、アルバイトをしながら、ではあるが。決して業界内で名の知れた、という存在ではないが、生い立ち上少し後ろ暗い場所に出入りをし、情報を仕入れることができる伝手がある。ブラッドにはそれを知られていて、捜査が行き詰まった時に頼ってくるのだ――つまり、ブラッドが持ってくる案件は十中八九、厄介なものが多い。
    「やりたくねぇ……」
    「街のためだ。協力しろ」
    「拒否権なしかよ……お前……ほんと暴君だよなぁ。昔から変わんねぇ」
    「拒否権がないとは言っていない。どうしても無理だというのなら仕方ない。多少時間はかかるが、お前を頼らず何とかするだけだ」
    「……無理とは言ってねぇよ……」
     少し、文句を言いたくなっただけだ。厄介事に首を突っ込むのだから、それくらいは許して欲しいと思う。元よりキースには断るつもりはなかった。この男は、目的のためなら手段を選ばない。断って単独行動をさせたらどんな無茶をしでかすか。それよりは、側にいて行動を共にした方が多少は安心できると思っている。
    「で、何すりゃ良いんだ?」
    「詳細は帰ったら話す。勤務は何時までだ」
    「……何だって?」
     帰る、とは。
    「……もしかしてお前、泊まるつもりかよ」
    「そうでなければ、こんな時間に直接会いに来るようなことはしない」
    「…………」
    「お前の作った食事が食べたくなった」
    「……最初からそう言えよ」
     結局、会いたくて来たのか協力を要請に来たのかわからない。いや、その両方だとは思うのだが。高給取りで、高級マンションに住んでいるはずの男は、何故か時折キースが事務所兼住居としている小さなビルの小さな部屋に泊まりたがる。何が良いのか、キースには未だにわからない。だが、自分の家で寛ぎ、料理を喜ぶブラッドを見るのは悪い気はしないから。
    「……あと二時間」
    「ならば、ここで待たせてもらう」
     文句が思いつかず、つい素直にそう答えてしまっていた。さんざん振り回しやがって、夜は覚えてろよ、と心の中だけでそう呟きながら。
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    よるのなか

    DONE幻想水滸伝webオンリーイベント「星の祝祭Ⅵ」のWEBアンソロ企画参加作品です。
    キャラ「2主人公とジョウイ」で、お題「緑」お借りしました(CPなし)
    ミューズ和議決裂後のどこか(設定はふわふわ適当)で、偶然二人だけで会うことになる2主とジョウイの話。
    ハーンとゲンカクも戦時中に酒を酌み交わしていたらしいし、二人にもそんな時があればいいのに、と想像した結果です。
    2主人公の名前→ミラン
     時折、一人になりたくなる時がある。城から出て、誰にも会わずに、ただ一人でぼうっと自然を眺める時間。勿論長時間そんなことをするわけにはいかないので、ごく短い間だけれど。そんな衝動に駆られた時は、ミランはこっそりビッキーを訪ねてどこかに飛ばしてもらい、一人の時間を過ごした後で鏡を使って戻っていた。
     今日も、そのつもりだったのだ。飛んだ先で、思わぬ人物に会うまでは。
    「やっばり、今の時期は緑が綺麗だと思ったんだよな。うん、ここにして良かった」
     そう呟いて、ミランは両の手を天に伸ばし一つ深呼吸をした。澄んだ空気と青々とした空の下で、鮮やかな緑が生い茂っている。乾いた風に揺られて緑が揺れる、その合間からきらきらと漏れる光が綺麗だ。人気のない山の中腹。少し歩けば、故郷が見えてくる。幼い頃冒険と称して、ナナミやジョウイと何度か訪れた場所だった。今日はどこで過ごそうか、そう考えていた時にふと頭の中に浮かんだのが、この場所だった。昔、ちょうどこの時期にも訪れたことがあり、その時に木々の緑がとても美しく感じたのを思い出したのだ。本来ならば今は訪れることは叶わない地であるが、こんな山奥に兵を置く程の余裕はハイランドにもないはずであり、ビッキーの転移魔法と鏡の力で、ほんの僅かな時間ならば滞在は可能だろうと判断して今に至る。勿論これが仲間に知られれば大目玉を食らうことは確実なため、こっそりと。
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    よるのなか

    MOURNINGキスブラ。酔っぱらって暴君極まりないブさんです。ブさんが大分いけいけどんどんおかしなことになってます、すみません…キさんを暴君振りで振り回すブさんが急に書きたくなりまして。
    書いててとても楽しかった。
    割増暴君『三十分後、お前の家』
     受信したメッセージには、それだけが表示されていた。理由も状況もさっぱりわからねぇが、とりあえず三十分後に家にいろ、ということだけはわかったから、ディノにそれを告げてオレは自宅へ足を向ける。ちょうどパトロールが終わったところだから三十分後に着けるけど、これタワーで受け取ってたら三十分後に着けるかなんてわからねぇぞ、とそこまで考えて、いや、パトロール中だとわかっていたんだな、と思い直した。あの男のことだ、それくらい把握済みで送った指示なんだろう。
     ぴったり時間通りに着くと、既にブラッドは玄関先に立っていた。
    「……来たか」
     そう言って、オレをじっと睨んでくる。来るなり睨まれても、とオレは思わず後退りしそうになって、それからよくブラッドを観察した。どうも、目が据わっているように見える。なのにどこか覇気がなくて、それから目元や首筋、頬など全体的に妙に赤いような。
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    recommended works

    みぃ☆

    DONE第8回キスブラワンドロライ
    お題は『年の瀬』でキースの家を大掃除する話。甘々キスブラ

    読み切りですが、続きっぽいものを1日と3日(R18)で書く予定。
    「今日こそはこの部屋を片付ける。貴様の家なのだからキリキリ働け」

    年の瀬が差し迫った12月のある晴れた日の朝。
    キースがまだベッドに懐いていると、部屋まで迎えに来たブラッドに首根っこを捕まえられ強引に引きずりだされた。
    ジュニアの「キースが暴君に攫われる~」という声をどこか遠くに聞きながら、車の後部座席に放り込まれる。車には既に掃除道具を積んであったようで、すべての積み込みが完了すると、ブラッドは急いで車を発進させたのだった。

    「まずはゴミを纏めるぞ」
    家に到着早々ブラッドは床に転がった酒瓶をダンボールに入れ宣言どおりに片付けを開始する。次に空き缶を袋に集めようとしたところで、のそのそとキースがキッチンに入ってきた。
    「やる気になったか」
    寝起きというよりもまだ寝ていたキースをそのまま連れ出したのだから、恰好は部屋着のスウェットのままだし、髪もあちこち跳ねてボサボサだ。
    「まずは顔でも洗ってシャキッとしてこい。その間に俺は……」
    ぼーと歩くキースは、無言のままブラッドの背後を通り越し冷蔵庫の扉を開ける。
    水と缶ビールばかりが詰め込まれた庫内が見え、ブラッドは呆れた溜息を尽く。
    「ま 3484

    佳芙司(kafukafuji)

    MOURNING前にピクシブに投稿してたやつ
    Like a bolt from the blue.(HeriosR/キース×ブラッド)

    「とにかく聞いてくれ、俺は昨日お前等と飲んで、リリーが帰った後にジェイと二軒目に行ったんだ、其処でもしたたか飲んじまって、まぁその時は後悔してなかったんだけど、会計済ませた後になってから段々吐き気を催す方向に酔いが回っちまったんだ、何度も泥酔の修羅場を潜り抜けてきた俺も流石にヤバいなと思って意識がある内にブラッドに連絡したんだ、俺はその時リニアの駅前のベンチにいたから大体の場所と、あとマジヤバい水飲みたいって事も伝えた、ちゃんと伝わってたのかどうか不安だったけどとにかくもう何とかしてくれーって気持ちだった、意識飛びそうなくらい眠気もあったけど、スられちゃ困ると思ってスマホと財布を握り締めて俺は大人しく待ってた訳だよ、そしたら着信があってさ、出たらブラッドなの、アイツなんて言ったと思う? 『項垂れてだらしなくベンチに座っているお前を見つけた。今そっちに向かう』って言ってさ、だらしなくって余計な事言いやがって、こっちはもう気分は最悪だってのによ、んで正面見たらさ、いたんだよ、真っ直ぐこっち見て、人混みの中を颯爽と歩いてくるブラッドがさ……なんかもう、今お前が歩いてるのはレッドカーペットの上ですか? ってな具合に迷いなくこっち来んの、しかも上手い具合に人の波も捌けててさ、もう何がなんだか分かんねーんだけど、目が離せなくて、ぼーっとしてる間にブラッドは俺の近くに来て、またアイツなんて言ったと思う? 『待たせたな』とかクッソ気障な事言いやがったんだよ笑いながら、いや待ってたけど、待ちかねてたけどさぁ、その確信を持った態度は何? って、唖然としちゃうってもんだよ、しかもこっちが何も言わないでいたら一言も言えないくらい体調が悪いのかって勘違いしたのかどうかは知らねーけど、わざわざ近寄って『立てるか?』とか訊いてくるし、いや立てるからって思って立ち上がろうとしたらさ、情けねーけど腰抜かしてたみたいで、よろけちまったんだよ、でもアイツは平然とこっちの腕引いて、オマケにアイツ、腰まで抱いて支えてきてさ、もう大混乱だよ明日雹でも降るんじゃねーのって思った、この天変地異の前触れを予感して困惑する俺を尻目にアイツは『手のかかる奴だな』とか笑いやがってさぁ」
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