Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    よるのなか

    二次創作文字書き。HRH🍣右、🍃右中心。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 👏 🎉 🍣 🍃
    POIPOI 60

    よるのなか

    ☆quiet follow

    キスブラ
    キスブラワンドロワンライお題
    「パンケーキ」お借りしました。キッズスペースのスト内容を少しだけ含む&ちょっとキさんに対する幻覚が強めかもしれない

    #キスブラ
    kissBra

    パンケーキ バスルームを出たブラッドは、リビングのソファでスマートフォンの画面を見ながら唸っているキースを見つけた。何をしているのだろう、と不思議に思い、背後から画面が見えるようにそっと忍び寄る。明日は二人揃っての休暇であり、今日の夜からキースの家で過ごす予定になっていた。普段ならばブラッドがシャワーを浴びている間は一足先にビールを飲んでいる男が、珍しい。キースに気付かれずに近付くことに成功し、画面を見ると。
    「何だ? パンケーキか?」
    「ぅわ、ブラッド……! 何だよお前、気配消して忍び寄るないきなり声かけるなって」
     画面に映っていた写真が意外に思え、つい声に出してしまった。結果、キースを驚かせる結果となり、ブラッドはすまない、と一言告げた上で続ける。
    「お前がらしくないことをしていると思ったら、更にらしくない画面を見ていたからな、つい」
    「あ〜、まぁ、そうかもしれねぇけどさ……」
     キースが、ブラッドによく見えるように画面を向けた。ブラッドは、その画面に僅かに顔を近付けて表示を詳しく見る。今表示されているのは小ぶりのパンケーキの写真と、その作り方のようだ。
    「作るのか?」
    「多分な……この間キッズスペースで、マリオンとガキどもがパンケーキの話で盛り上がっててさ。最終的に『キースオジサンのパンケーキが食べたい』の大合唱だよ」
    「成程」
     パンケーキはマリオンの好物だ。マリオンからパンケーキの話を聞いているうちに、キースの作ったパンケーキが食べたくなったのだろう。キースの作る菓子は、子供達の楽しみの一つになっているという報告を、ブラッドも受けていた。
    「大人気だな、キースオジサン」
    「お前までその呼び方やめてくれ〜」
     キースはそうブラッドに返し肩を竦めると、もう少しだけ、とまた画面に目を戻す。作るならばクッキーと同様、アレルゲンフリーなど全ての子供達が安全に食べられるように材料を熟考しなければならない。今はそれを考えている最中なのだろう。ブラッドはキースの隣に座り、その様子を眺めた。
     随分と、前向きになったものだと思う。
     最初にキッズスペースでの仕事を任された時は、子供達とは距離を取っていたと聞いている。それは勿論本人の性格もあるのだろうが、キース自身の生い立ちも多少関係していたのではないかとブラッドは思っていた。幼い頃のキースの生活については本人から聞いているだけであり、実際に見てきたわけではないブラッドが断定することはできないが、心を傾けてくれるような大人が周囲にいなかっただろうことは想像がつく。だから、わからなかったのだろう。多数の子供達との接し方、遊び方が。自分の記憶にないことを実践しようとするのは、難しい部分もある。
     それが今や、『キースオジサン』と子供達に慕われて。キースも彼なりに寄ってくる子供達の相手ができているという。元々キースは情が厚く、一度懐に入れた存在は大切にする。自分を慕ってくれる子供達を受け入れ相手をしているうちに、子供達との触れ合いも慣れ、大切に思うようになったのではないか。この時間でも子供達のために作るパンケーキについて真剣に考えていることが、その証拠に思える。
     昔はあらゆることに後ろ向きだったキースが前向きに物事を進めている姿を見るのは、嬉しいものだ。ブラッドは、口元を緩め、柔らかい視線でキースを見続けた。
     その一方で、頭の片隅では仕事で良かった、とも思う。もしこれが完全にプライベートで、他の誰かのために作り方を考えているのだとしたら。例えその相手が誰でも、少し面白くないと考えてしまう気がする。だから。
    「キース」
     ブラッドの呼びかけに、キースが振り向く。その瞳が自分を捉えたことに満足したブラッドは、キースの唇に自らのそれで軽く触れ、それからこう言った。
     試作するなら味見を手伝う、と。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺☺❤❤💖👏👏👏💞
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    よるのなか

    MOURNINGキスブラ。酔っぱらって暴君極まりないブさんです。ブさんが大分いけいけどんどんおかしなことになってます、すみません…キさんを暴君振りで振り回すブさんが急に書きたくなりまして。
    書いててとても楽しかった。
    割増暴君『三十分後、お前の家』
     受信したメッセージには、それだけが表示されていた。理由も状況もさっぱりわからねぇが、とりあえず三十分後に家にいろ、ということだけはわかったから、ディノにそれを告げてオレは自宅へ足を向ける。ちょうどパトロールが終わったところだから三十分後に着けるけど、これタワーで受け取ってたら三十分後に着けるかなんてわからねぇぞ、とそこまで考えて、いや、パトロール中だとわかっていたんだな、と思い直した。あの男のことだ、それくらい把握済みで送った指示なんだろう。
     ぴったり時間通りに着くと、既にブラッドは玄関先に立っていた。
    「……来たか」
     そう言って、オレをじっと睨んでくる。来るなり睨まれても、とオレは思わず後退りしそうになって、それからよくブラッドを観察した。どうも、目が据わっているように見える。なのにどこか覇気がなくて、それから目元や首筋、頬など全体的に妙に赤いような。
    2335

    related works

    recommended works