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    あらた

    @arata00msms

    20↑成人済女性。文字書き。
    現在は原神で活動。
    リオヌヴィ、カピオロ(スラオロ)メイン。
    カプなしSSも書いたりします。

    Xのまとめ中心。ピクシブにも同じ内容か加筆修正したものを公開することがあります。

    参加してるWEBオンリーの開催期間中、該当しない作品は一時的に非公開にしています。

    マシュマロでの感想はコチラ↓
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    あらた

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    期間限定リオヌヴィWEBオンリーで寄稿した作品です

    WEBアンソロ寄稿分お題:首輪
    「一日限定」

    アメジストの瞳。海を連想させるような青色の混ざった白い毛並み。細身の体格の持ち主なのに丸いシルエットな事に疑問を抱いていたらどうやら長毛種の部類らしく柔らかな毛並の中に指先がズブズブと沈んでいって驚いたし、胴体が思った以上に伸びてさらに驚いた。
    前に猫は液体だ、と動物好きの囚人が休憩中にそう断言していたのを聞いた事があったが今ならそれに同意できるかもしれない。
    と、閑話休題。
    ヌヴィレットさんを彷彿とさせる眼前の猫。それは間違いなくヌヴィレットさん本人だった。
    地脈異常というのはなんでもアリなのか……
    旅人に誘われて秘境探索に同行していた俺とヌヴィレットさん。探索自体は滞りなく済んだのだが秘境の効果によってヌヴィレットさんが猫になってしまった。
    戸惑う俺たちだったが、旅人にとってはこういう事はよく起きるのだと。明日になれば元に戻ってるから休暇だと思ってのんびりしてね、と旅人に言われフォンテーヌ廷に近い砂浜で別れた。
    確かに休暇を全然取らないヌヴィレットさんにはちょうど良いかもしれない。

    そして現在。フォンテーヌ廷の中心部にあるマシナリーを組み込まれた噴水から少し離れたベンチにて俺とヌヴィレットさんは対峙していた。
    「ヌヴィレットさん。どうしても嫌かい」
    「にゃあお」
    猫語が理解できたならばおそらく「当然だ」と言っているのだろう。ヌヴィレットさんが嫌そうに見つめる視線の先は俺の手にある細身だけど上質な革でできた紺色の首輪。
    そう、フォンテーヌ廷に戻ってきて俺が真っ先にやるべき事が猫になったヌヴィレットさんに首輪を着けることだった。
    フォンテーヌの法律のひとつ。フォンテーヌ国内で飼われているペットには首輪、または一目で飼い主がいるとわかるようにしなければならない。
    ペットの迷子を防ぐのが目的でもあるが一番の理由としては見目の良い、または珍しい動物を高値で売ろうとする邪な輩を牽制する為のもの。
    野良または理由あって飼い主不在となった動物は正規の登録をした動物愛護団体が保護をする。
    つまり、一時的にとはいえ猫になったヌヴィレットさんは元に戻るまで首輪かそれに近い物を身に着けてもらわなければ保護されてしまう状態。それを法の番人ともいえるヌヴィレットさんが知らないはずはないので単に首輪を着ける行為が不快なのだろう。
    まあ、いくら猫になったからといって好き好んで首輪を着けられたいとは思わないだろうな。
    「にゃあ」
    てしてし、と前足でコレをと促されるのはヌヴィレットさんが普段髪を結っているリボン。最初、猫になったヌヴィレットさんの首を彩っていたものだ。
    首輪の代わりにコレを使えばいいだろう、と言いたいのだろうが。
    「悪いがそれは許可できない。ここに来るまで何度も解けてしまっただろう」
    結び目に装飾品の付くデザインのリボンはふとしたはずみですぐ解けてしまう。解けないようにと首周りにグルグルと巻いて固く結べば首が絞まって危ない。かといって緩く結べば結局すぐ解けてしまうので意味がない。
    だからこそ安全性を考慮して用意したのがこの首輪だった。
    首輪の必要性は理解はしている。が、嫌なものは嫌なのだろう。その為に首輪を購入してからしばらく膠着状態が続いていた。
    無理強いはしたくない、が今回ばかりはヌヴィレットさんに折れてもらう必要がある。
    「ヌヴィレットさん。この首輪を着けたご褒美にこの後、カフェ・リュテスでティータイムでもどうだい。普段のあんたなら外でお茶でもしようものなら市民や記者たちの目が気になって長居できないだろ。今ならテラス席でゆっくりデートができる」
    「にゃっ」
    「それともメロピデ要塞にある俺の私室にくるかい? メロピデ要塞にヌヴィレットさんは長居しないからこんな機会滅多にない思うんだが」
    「にゃ、にゃうぅ……」
    その選択肢はズルいだろう、というように睨みつけてくるけどそれすら可愛いと思った。
    五分間後。ゆったりとした動作で顔を上げて俺に首元を差し出してくれた。
    失礼、と一言断りを入れて首輪を嵌める。
    自ら決めたとはいえ不満なのか。不機嫌そうに唸り声を上げて首を振る。動きに合わせて首輪についた鈴がチリンチリンと音を立てる。
    そっと軽い身体を持ち上げてヌヴィレットさんを抱きかかえる。ふわふわの毛並みが心地よい。
    「約束通りご褒美デートしよう。ヌヴィレットさん」


    後日。
    「さて、聡明な君なら私が何をしたいのか理解しているだろう?」
    いつもの視点よりずっと下から見上げてるせいか美しい顔が良く見える。どこか楽しげなのは気の所為ではないだろう。
    秘境による効果で今度は俺が動物の姿になってしまった。今の俺はグレーの混ざった黒い毛並みの大型犬の姿をしている。
    いつの間にかヌヴィレットさんの手にはやや太めの赤い首輪。ご丁寧にリードも用意されている。どうやら前回猫になった時に俺にやられた事と同じ事をする気のようだ。
    犬になった俺は地面に寝転がって好きにしてくれと言わんばかりに仰向けの体勢になる。
    一日限定でヌヴィレットさんの愛犬になれるのは、まあ悪くないだろう。とヌヴィレットさんからの首輪を受け入れた。
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