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    mina

    @mina_bw18

    CPはブレトワ
    20220831〜書きたいままに
    ブレリンの世界にトワリンが来てる
    R18は18歳未満の方は見ないでください

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    mina

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    ブレトワ/ほのぼの?

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     作りすぎじゃないか?
     きょうはオレが飯を作る、とブレが言ったので任せた。その結果、机に積まれている量に浮かんだ言葉だった。
     机に所狭しと並んでいるのはケモノ肉丼、串焼き肉、岩塩焼き肉。その全てに、極上ケモノ肉が使われている。他にはフルーツケーキにクレープなど、甘いものもある。
     昼からかなり豪華だ。きょうはなにか特別な日なのだろうか。そうでなければ、これほどの量を用意する意味がわからない。ブレは外で次々と料理鍋に放り込み、出来たものを運び込んでいる。鼻歌交じりなので、機嫌はいいらしい。ひとりで考えていても仕方がない、本人に直接聞いてみるか。
    「ブレ、きょうはなにかあるのか?」
     新たな品を手にし、入ってきたところで声を掛けた。
    「なにかって、なんで?」
    「明らかに作りすぎだろう、これ」
     俺が料理でいっぱいの机を指で示すと、首を傾げていたブレがにんまりと笑った。机に皿を乗せ、いまなお場所を空けているからまだ作るのか。
    「オレとトワさんなら、昼と夜で食べ切れるでしょ」
    「それでも多いように思うが、材料なくなるぞ」
    「大丈夫だよ。このためにここ数日、食材もたくさん集めてたし」
     確かに思い返せば、ここ何日かは祠などの探索よりも、狩りや森での採取が多かった。ブレがやりたくてやっているのなら、無理に止める必要もないか。それより、邪魔するほうが野暮だろう。好きにさせることにした。
     俺の好きな料理も並んでいるので、出来上がるまでおとなしく待つか。いい匂いに唾を飲み込み、ブレが忙しなく動く音を聞きながら。
    「トワさん、食べましょう」
     二階で適当な本で時間を潰していると、用意が出来たようだ。返事をするように腹が鳴る。呼びに来たブレからいい匂いがして、喉まで鳴った。誘われて手を出したところで、実際に食われるのは俺なんだが。なんていらないことまで思い浮かべてしまい、俺は慌てて頭を振った。
    「ずいぶんと作ったな」
    「トワさんの好きなものも、結構あるでしょ」
     ブレと向かい合って座り、改めて並ぶ料理を眺める。あれとかあれ、と指で示される料理は、間違いなく俺の好きなものだ。その通りなので頷けば、ブレに楽しげに微笑まれた。
    「やっぱり! それ食べてる時のトワさん、嬉しそうな顔してるから」
    「なっ」
    「真っ赤になって可愛いですよ、先輩」
     にやにやと、憎らしいほどの笑顔をこちらに向けるな。せめてもの抵抗に顔を逸らすも、頬が熱いのできっと隠しきれていないだろう。俺のことをよく見て、覚えているんだなと、喜ぶ心は押さえつける。ああ、余計に熱がこもる。
     このままではせっかくの料理が冷めてしまう。俺が手を合わせれば、ブレも同じ動きをする。温かい食事に手をつけ始め、ちらりと盗み見れば目が合った。
    「トワさん、おいしい?」
     先程までのからかうような笑みは消え、眉を下げて不安げな表情だ。ブレの料理は何度も食べたことがあるのに、心配するなんておかしなやつ。
    「お前の作る料理、いつもうまいと言ってるだろ」
    「そうだけど、きょうだから余計に気になる」
    「やっぱり、きょうはなにかあるのか?」
     そういえば先に聞いた時は、結局答えをはぐらかされていた。しかし、こんなに料理を用意する祝い事など誕生日くらいだが、きょうではない。大体、俺もブレもお互いの生まれ日は知らない。一応もなにも付き合っているが、話題に出ることもなかったんだよな。
    「これはいつもわがまま聞いてくれるトワさんに、お礼も兼ねて」
     髪をがしがしと掻き混ぜ、照れくさそうに話すブレは、正直言うと可愛らしい。自分の身の丈以上の大剣を振り回し、拠点に連射弓で矢を容赦なく放つ姿は可愛くないが。
    「色々考えたけど、食べ物が無難かなと思って」
    「うまいメシが食えるのはありがたいからな、いいと思うぜ」
     この世界は食材や素材の種類が豊富だから、実に様々な料理が作れる。見た目もよく、とてもうまい。俺が過ごした世界でビンに入れられる物のことは、いまは考えたくない。
     自分の何気ない行動に礼をされ、少し照れくさい。そんなブレのわがままは可愛らしいもの、ばかりではないな。メイド服とか、胸を触りたいとか、時々どうしようもないことを言ってくる。なんでも許してしまう俺は甘いなあと思うも、こうして気遣われるのだから、きっと直らない。惚れた弱みとかではない、多分。
     口に運んだ料理を噛み締め、飲み込む。極上ケモノ肉を使っているだけあって、とにかくうまい。腹が減っていることもあり、意外と俺とブレの胃に収まるかもしれない。
    「トワさんもっと食べて、これとか、これとか!」
     ブレが俺の前に差し出してきた皿に乗ってるのは、こんがり焼けた肉と山菜。
    「あ、水減ってるけど足す? ミルクがいい?」
    「水でいい」
     俺が食べる様子をにこにこと見ながら、水差しから注いでくれる。ブレになら、世話を焼かれるのも悪くないな。俺のために、こんなに張り切って料理を作ってくれたし。
     勧められるまま食べていると、身体に違和感を覚えた。体力と気力が、限界を超えて満ちている気がする。この世界にやってきた存在である俺も、適応されるのか。驚きから、思わず両手を目の前で握ってみる。どうやら間違いなさそうだ。
    「トワさん、どうかした?」
    「ブレ、お前この後なにする気だ?」
    「なにって」
    「こんな料理食わせて、なにする気なんだって聞いてんだ」
     呆れた俺の視線などものともせず、ブレはくすくすと余裕の笑みを浮かべている。あれはマックスラディッシュを包んで焼いた肉と、ガッツニンジンの山菜だとネタばらしをされた。
     出掛ける用事もないのに、わざわざ強化する意味はない。だから最初からそのつもりで用意したように思ったが、違うらしい。色々な料理を並べようとして作り、ふたつ揃って勧めたのも偶然なのだと。単にうまかったから、俺に差し出しただけ。
    「あ〜あ、トワさんのせいですよ」
    「俺のせい?」
     ブレは椅子から立ち上がり、ゆっくりと俺の傍まで来た。
     後ろから抱きつかれ、腕の中に閉じ込められる。耳を尖った先までべろりと舐め上げられ、ぞくりとした。もしかして、ブレのスイッチが入ったのか。
    「先輩が言わなかったら、その気にならなかったのに」
    「ブレ、ちょっと待て」
    「だってそう考えるのは、トワさんがしたいからでしょ?」
     俺が、したい。なにを。なにをってことを、俺が、ブレとしたい。いや、いまの俺にその気はない。頭の中の俺は、めいっぱい首を振って否定する。
    「お前がすぐに、そういうことばかりするからだろ」
     なにかと手を出してくるブレのせいで、そっちに予測する癖がついてしまっただけだ。和やかに食事を楽しんでいた空気が、明らかに変わってしまっている。やばい、このままだと俺まで飲まれてしまう。ああ、耳に息を吹きかけるな、スプーンが音を立てて落ちた。
    「それはトワさんが可愛いからですよ」
    「自分よりでかい男に、なに言ってんだよ」
     可愛いという言葉は俺より、まだブレのほうが似合うだろ。わずかだが、背が高いのは俺だ。それがよくなかったのか、唇や舌、指でふたつの耳を執拗に弄られて落ち着かない。すっかり食事の手は止まってしまった。
    「……トワ先輩」
     急にねっとりと艶を含んだ音を流し込まれて、息を呑んだ。悪化する一方の状況に、目の前の料理を楽しむのは一旦お預けだと察する。
     どうやら、ブレのスイッチは完全に入ってしまったようだ。
     せっかく俺のために作ってくれたと言うのに、どうしてこうなった。ブレに釘を刺すつもりで、口にしたのがいけなかったのか。いやでも、あれは突っ込みたくなるだろう。それに気づかない振りをしたところで、今度はその気なブレにネタを明かされる展開も考えられるわけだ。
     ごちゃごちゃ考えたところで、この空気を変えるのはもう無理だ。ブレはやる気になっているし、こうなったら付き合ってやるよ。
    「どうした?」
    「先輩は自分より小さい男に抱かれて、可愛くないているんですよ」
     忘れないでくださいね、と首を撫でたブレの手が、するりと服に中に入ってきた。


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