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    さくみ

    @393online

    随時ラクガキか小説更新。大分やりたい放題。なお、勝手に消すことあるます。気に入った、刺さったものあればリアクション、感想等どうぞ🌠

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    さくみ

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    心配している事があります。

    心配事「かーなーた!ごめん和英の辞書貸し…て…っていない」
    土曜日の午後。課題を進めようとしたが、肝心のヘルプアイテムを学校に置き忘れて来ており、ならばと駆け込んだ。彼の部屋が開けっ放しだったので、まぁそれでもいるかと思いきやそこの主はおらず。しかし今日は何処に行くかも何も言ってないなかったし、聞いてもいなかったので多分家の中のどこかにはいるハズである。
    「ん〜…」
    可能性があるとすれば、本堂、台所、風呂場のどれかだ。この時間帯なら、
    「多分台所!」
    パタパタ駆けて台所に到達したが、いない。飲みかけの水が入ったコップが1つテーブルに置かれたまま。
    「……むう」
    ならば、もう風呂場だ。恐らく風呂掃除当たりが妥当だろう。
    「彷徨〜いる〜?」
    一応ノックしたが、返事がないので脱衣場をゆーっくり覗く。やはり、脱衣場にはいない。しかし奥の風呂場で動く影。間違いなく風呂掃除だ。
    「やっぱり風呂掃除ね」
    その戸を開けようと手を掛けたら、戸が先に開いた。
    「」
    現れたのは、濡れてるのにサラサラしてそうな茶髪。中学の時より明らかに引き締まった背格好。整った顔をした裸体と鉢合わせた。
    「えっ、うわっ」
    下半身はドアで偶然隠れてくれたものだから事なきを得た。が、
    「きっ…」
    勿論未夢の大絶叫が響き渡る。バスタオルは取れず、致し方なく1度風呂場に身を置いた。
    「なっ、なっ、なんて格好よいやー!」
    「風呂入ってたんだよしょうがないだろつか、身体拭きたいから早くそっから出てくんない?熱いんだよ」
    「バカー変態」
    「へんた…見られたのはこっちなんですけど…じゃあもうそこのバスタオル投げて」
    分かっていたかのように、思いきりバスタオルが飛んで来て未夢はバタバタと走り去った。
    「ホント…風呂場に縁があるな…」
    一方未夢。逃げるように玄関までは来たがその場で座り込む。思い出される彼氏の、ますます大人に近付いて成長して来ている裸体。まじまじと見た事がある訳じゃないので恥ずかしくて仕方ない。
    「うわーん、なんなのよもー」
    全く無駄な肉がない引き締まっていた身体。高校でも特に部活をしている訳じゃないのにバランスのいい体格を維持している。中学卒業間近から一気に身長が伸び、急激に加速した成長期を経ていた彼は、未夢の頭1つ分以上飛び抜けている。
    そう言えば少し前は毎日腕や足が痛いとか言っていたし、今は手を繋いだ時少し骨ばって自分の手は隠れる大きさだし、抱き締められた時は自分の身体をすっぽり隠してしまう程の肩幅の広さだってある。
    「前より…カッコよくなってる、よね。うわー見ちゃったよー」
    ドキドキしつつも、目的を思い出した。顔の熱冷めやらないまま、Uターンして彷徨を再度探す。部屋の方から音がするので、自室だろう。
    先程の事もあるので流石にノックした。
    「ねぇ、彷徨〜…あ、あの開けていい…?」
    返事が聞こえる前に部屋の引き戸が開いた。
    「何?」
    チラッと見た格好。タンクトップにハーフパンツ。完全に家着。ちょっとホッとした。
    「わ、和英辞典、貸して欲しくて…」
    「和英?あったっけ?」
    本棚から探している。さっきの事は突っ込んで来ない。もう気にしていないのだろうか?自分だけ強烈に意識していてバカみたいに思ってしまう。
    「あった。ほれ」
    「あ、ありがと…」
    なんとなくソワソワしているような未夢に違和感。
    「何?さっきの気にしてんの?」
    「ば、バカ」
    「いや寧ろ見られたのコッチだから」
    「そうじゃなくて!な、なんて言うか…元々カッコいいなって前から思ってた事もあったけど…余計カッコよくなったよね…」
    「は、はぁ?」
    「まず、身長…」
    手を伸ばして彷徨の一番高い所。指先を伸ばしても足りないくらい差がついた。
    「手も…」
    その手を取って眺める。少し骨張ってきていてゴツゴツ感があるが頼もしい手だ。
    「中学の時とは全然変わっちゃったよ」
    「…変わってくれなきゃ困るって…やっと身長伸びてくれたんだから」
    「それはそれで置いてかれてる感…」
    「何の心配してんだよ…あぁ、幼児体型の事?」
    「よっ…う、じ…な、なによお」
    怒鳴りたくなるがポツリと呟きを耳が拾う。
    「全くどこが幼児だよ…ホントに…」
    「え…?」
    「だから自覚ナシって思われんだよな~…いい加減理解して欲しいし…」
    「彷徨、サン?」
    ブツブツ何か言ってるがよく聞き取れない。
    「何でもない!じゃあな」
    「えー…なによそれーちゃんと言いなさいよー」
    黙るに限ると言わんばかりの彷徨であった。
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