「うわ」
すごいね、と呟いた暁人の前を、仮装行列が通っていった。
「だろ」
しかし頷いて見やった先にいるのは、仮装した人間ではなく、ここぞとばかりに紛れ込んだマレビトだ。隠すこと鳴く姿を現し、意気揚々と行列に混ざって闊歩している。まるで人とマレビトの百鬼夜行だ。
「あんなにいるんだ」
「普段隠れてる連中まで出てきてるからな」
のんびり観察している前を、行列が通過していく。この時ばかりはマレビトも何もせず、ただ楽しんでいるので退治することもなく見守るだけだ。
「仮装してくればよかったかな」
そう首を傾げる暁人とKKはいつも通りの黒尽くめだが、周りが派手な今日に限っては逆に悪目立ちしている。
「不本意だがなぁ」
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