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    ぎの根

    書きかけポイ用

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    ぎの根

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    猫の日かいてんもどき。

    「かい、どうした?」
     ヽ蔵の声にはっとしたかいは慌てて開きっぱなしだった口を閉じ、手の甲でごしごしと目を擦った。が、今目にしたものはやはり変わらずそこにあった。つまり、ヽ蔵の頭の上に、獣のものらしき三角形の耳が生えていた。
    「てっ、てんぞう?」
    「なんだよ」
     がしかし、ヽ蔵本人は何の気にもしていない。不審そうにかいを見やり首を傾げている態度はいつものヽ蔵だ。それなのに、頭の上でぴこぴこと揺れている耳だけがいつもとは違う。
    「その、耳? 耳、だよな、それ」
     おそるおそる頭の上を指差すも、ヽ蔵は何のことだと言いながらかしかしと三角形の耳を爪でかいていた。
    「おれの耳がなんだよ」
    「いや、変、じゃない?」
    「あ? 変なのはかいだろ」
     むうと顔をしかめたヽ蔵が腕を組んでかいを睨む。ヽ蔵の後ろでたしんと響く音。背中の向こうでゆらゆらと長くふさふさした尻尾らしきものまで揺れている。
    「何言ってんだ全く。良いからこっち来て座れよ」
     戸口に突っ立ったままだったかいは呼ばれるがままに草履を脱いで板間に上がり、ヽ蔵から少し距離を取った位置に腰を下ろした。ヽ蔵は不満そうに尻尾でたしんとまた床を叩き、床に手をついて這うようにかいに近づいてきた。そのままかいの胡座をかいた膝の上に乗り上げてくる。
    「へっ、てっ、てっ!?」
    「何だよ」
     あわあわとヽ蔵を呼ぼうとしたものの、顔を上げたヽ蔵のあまりの近さにかいの声は情けなくひっくり返った。かいの膝に手をついて乗ったまま首を傾げたヽ蔵は動揺したかいが立ち直る前にごそごそとかいの太股を手で探り回り、収まりの良い場所を見つけたらしくかいの太股を枕にごろりと横になってしまった。
    「てんぞう?」
     慌てて気を取り直したかいが呼んでも、ヽ蔵から返ってくるのは静かな寝息だけだった。かいの足に寄りかかっている胸元からはぐるぐると喉を鳴らすような振動まで響いてくる。
    「え、うそ」
     本気で寝てる。かいはヽ蔵を起こすに起こせず、獣の耳や尻尾に触ってみたいが触れずにただの枕に徹するしかなかったが、ヽ蔵の温もりと吐息につられていつの間にかそのまま寝てしまった。
     ごんと響いた音と頭の痛み。
    「いっ、て」
    「おい、いつまで寝てんだ」
     涙目になりながら目を開けると、目の前に不機嫌そうなヽ蔵がいた。が、その頭にあったはずの獣の耳は姿を消していた。
    「てんぞう?」
    「おう」
    「えっ、耳! 耳は?」
     慌てて両手を伸ばしてヽ蔵の頭を掴んで喚くと、ヽ蔵に容赦なく振り払われた。
    「わっ、何しやがる。寝ぼけてんのっ、わっ」
     かいは答えずにヽ蔵の肩を掴んでヽ蔵をひっくり返した。尻尾もない。
    「ない」
    「何がだよ。やっぱり寝ぼけてんな」
     呆然と呟くかいの頭を、起きろとばかりにヽ蔵が思い切り叩いた。
     
     
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    ぎの根

    DOODLE現代AUオメガバコントのコトゥ仁できてるルート。中の人のあれでとちくるったから書いたったん。ひたすら甘い。「甘い、な」
     散々貪られた仁は息も絶え絶えだと言うのに、平然とした顔でコトゥンが呟く。ソファに座っていた体からはすっかり力が抜け落ちていて、支えになっていたコトゥンの体が離れた途端にずるずると座面に倒れ込んでしまった。震える手を持ち上げて、べとついている口許を手の甲でぐいと拭う。味わっていたはずのチョコの味もすっかり薄れて消えてしまった。
    「あたり、まえ、だ」
     むう、と唇を尖らせてコトゥンを睨む。
     たしかに最後に残ったひとつをコトゥンの承諾なしに食べたのは、仁の落ち度だ。とは言えテーブルに置かれた高級そうなチョコレートの箱に興味を示した仁に、貰い物だから食べても良いと告げたのもコトゥンなのだから、仁は悪くない、はずだ。
     しかしコトゥンは仁が食べたと知った途端、いきなり仁に口付けて口のなかのチョコを奪ったのだ。重ねられた口のなかでチョコがすっかり溶けてなくなってもコトゥンに解放されることはなく、唇から舌、喉までも余すところなくしつこく舐めつくされた。抗議しようにも唇は塞がれていたし、コトゥンの大きな手に顎を掴まれた上に後頭部も掴まれてのし掛かられては、身動ぐことすらできなかった。 1775

    ぎの根

    DOODLEコントのコトゥ仁ルート、できるまで(?)こうしてふたりで飲むのも、幾度目か。今日の仁はひどく落ち込んでいた。コトゥンを前に悪酔いし、ぐずぐずと泣き言を漏らして管を巻く。どうやらまた竜三に振られたらしい。いい加減、どちらかが諦めて決着をつければ良いものを。思い切れずに毎度揉めては、仁はこうして塞ぎ込んでいる。
    「りゅうぞうの、ばか」
     テーブルに載せた腕の中に顔を伏せ、仁がぐすりと鼻を鳴らして罵る。黙って手を伸ばし、仁の髪をくしゃりとかき回す。この前は、竜三に会うという仁の発情を誘発してやったはずだが。
    「噛んでくれと、言ったのに」
     まさか発情した仁を前にしても、竜三は拒絶したのか。さすがにコトゥンも思わずため息を吐かずにはいられなかった。
    「俺には、無理だって」
     ぐす、とまた仁が鼻を鳴らす。竜三め、せっかくお膳立てしてやったと言うのに。それとも、単にもう限界だったのか。あれは仁よりも脆いところがあった。どうやら現世でもそれは変わっていなかったらしい。
    「そうか」
     優しく髪を撫でる手の下で、仁が小さく震える。
    「やっぱり、駄目だった」
    「ああ」
     竜三も仁に気持ちはあるだろうに、前世の記憶に苛まれて仁の手を取れなかったの 4106