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    何番地ばん

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    162th 煉猗窩版ワンドロワンライ
    【指先】【蒼白】
    +10分

    #煉猗窩版ワンドロワンライ
    #煉猗窩

    つまらない気付き162煉猗窩版ワンドロワンライ【指先】【蒼白】


    時間に取り残されたような蒼白い頬も、全てを壊そうとする夜闇の指先も、今の彼には無い。
    頬の薄紅は血の息を感じさせ、指先は日向でうとうととする野良猫を撫でている。
    まるで違う。何もかも。彼とは、あの鬼とは。


    だというのに何故こんな感情になるのか。

    喉を鳴らす猫に目を細める猗窩座を眺めながら、杏寿郎の中にはそんな独り言がこぼれる。
    僅か目を見張り、それをすぐさま打ち消し、訂正する。

    俺は今、なにを思った?
    だからこそ、の間違いだろう。俺は今この世に生まれた、この人の身と心の彼だからこそ。

    「つまらん奴だなあ」
    そんな声にぎくりとして意識を猗窩座のほうへ戻すと、相変わらず気持ちよさげにうとうとと微睡んでいる猫に掛けた言葉のようだった。指先でつんつんと突いて笑う顔は、寝てばかりの猫にしかし悪くないと感じているのが見て取れる。

    じつに平和な昼下がりだ。
    あの頃の彼であれば鼻で嗤うような。

    「なあ君、俺がもし寝てばかりの男になったらつまらないか」
    特に意味はない、何の気なしに聞いてみただけだ。どこか自分に言い聞かせながら、杏寿郎は猗窩座に尋ねる。
    対して猗窩座は、ふむと一拍考えるようにしたあと答える。

    「つまらんはつまらんが。その時は寝てばかりになったお前のほうがつまらんだろう。」
    だから寝ていても退屈せず済むような物を用意してやるし、四六時中話しかけてやろう。そう宣う猗窩座の笑みは無邪気にも悪戯っぽくあの頃の面影のままであったので、杏寿郎は頭を抱えたい気持ちながらも認めざるを得なかった。

    君は昔からどうしようもなく愛らしかったのだ。
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    DONE■女子高生の猗窩座♀ちゃんと教師の煉獄さん。ひとつ前の話しと同じ世界です。
    ■男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす。(俵/万/智)
    バレンタイン・デーになると思い出す歌です。こちらを女子高生の猗窩座♀ちゃんに贈りたくて書きました。
    ■猗窩煉のオタクが書いています。
    革命とは、いつも弱者が強者に向けて行うものだ。

    *

    「杏寿郎。」
    「どうした、素山。」
    「…、猗窩座だ。」
    「?知っている。」
    「猗窩座と呼べ!」
    「なぜ!」
    「…名前で呼んで欲しいから。」
    「断る。生徒は名字で呼ぶことに統一している。それから君は、せめて呼称に先生と付けるように!」
     それじゃあ、と片手を上げてさっさと職員室へ向かう煉獄杏寿郎の背中は暗にこの話はこれでおしまいだ!と言っているものだった。

     素山猗窩座、良くも悪くも学内で彼女の存在は知れ渡っていた。偏差値がそれなりに高く、中高一貫でほとんどの生徒が顔見知りという狭いコミュニティの当校に、二年生の秋口という中途半端な時期に編入をしてきた転校生。手足が長く、目鼻立ちの整った生徒であると言うこと以上に、全校生徒揃いのブレザーに身を包む中で一人だけこの辺では見掛けない真っ黒のセーラー服に真紅のタイを結った出立ちなのも目を引く要因だった。
     何をしていても自然と目に着いてしまう素山の動向は、当人の意識よりもずっと広く知れ渡っていた。両親が居ないということ、前の学校では暴行事件を起こしたということ、噂の域を出ないあれこれから 4128