サラダボウル〜ラウルとシリル〜 まだ太陽も目覚めたばかりの頃、シリルの意識はぼんやりと浮上した。
近くに身を寄せていたピケとトゥーレは随分前に目覚めたようで、寝ていた形跡はもうなかった。彼らは精霊なので人間のようにたくさんの睡眠を必要とするわけではない。シリルの監視下にいるが、おそらくこの家の主と共に起き、畑にいるのだろう。
サザンドールで起きたあの災害以降もシリルは図書館に訪れていた。
勤めのこともそうだが、書物から学ぶのはシリルの 性に合っていて知識を増やすべく時間を作っては通っている。通うのに辛い距離ではないがここ数日は悪天候が続き、馬車にしても馬や御者の負担は多い。
なので、近場で宿を取ろうとしたのだが、とある家主の勢いに乗せられ、最終的には手厚すぎる厚意に甘えて泊めさせてもらっている。
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