愛してる、って言ったら満足?(マコタツ)復讐を終えた真虎さんはどこか欠落していた。生涯をかけてでも達成したかったことができたはずなのに。
真虎さんと離れたことで好きだと気付いたオレは、一通りの事情聴取が終わった後に告白をした。真虎さんはいいよって言ってくれてオレたちは付き合い始めた。弱っているところにつけこんだようで心が痛かったが、真虎さんをこのまま一人にさせておくほうが心配になる。
魂が抜けたように生きていると思いながら、オレは真虎さんへ今までみたいに振る舞った。真虎さん自身で気付いて、変わる日まで見守ろうと思っていた。
きっかけは何だったか覚えていない。すごく些細な事でムカついて、オレはつい、真虎さんにつっかかるようなことを言ったのだ。
真虎さんは怒ることもなくそれを受け入れて、オレはそれが余計に腹が立った。悔しくないのかとオレが声を荒げたのに、真虎さんは気にする素振りもなくて、それが余計にムカついて、オレはずっと黙っていたことをぶちまけた。文句を言ったってしょうがないのに、一度滑った口は止まらなくて、それは優しさによる言葉というよりただの愚痴でしかなかった。
『愛してるっていえば満足か?』
オレの言い分を黙って聞いていた真虎さんが皮肉めいて笑う。
そんなことを聞きたいんじゃないと思ったのに、オレは涙が出てきて何も言えなかった。