消灯のチャイムが鳴ったら(マコタツ)病院の個室で一人、真虎は考え事をしていた。復讐を心に誓い、進んできた道にできた迷いが、真虎の決意を鈍らせる。
タツヒコからメールが届いていたが、真虎は開いていない。件名から察するに、体調を気遣う内容らしいが、真虎はそれを読む気にはなれなかった。山城兄弟にしたことをタツヒコだって許せているわけではないだろうに、憎い相手の体を心配するなんて、真虎には理解できないことだった。
昼間、馬頭が病院まで真虎に会いにきた。タツヒコの話をされて、真虎は内心悪態をつく。何もかも捨ててただタツヒコと一緒にいられたらと思う反面、そんなことできるはずがないと一蹴する。
病室にいる真虎は眠れなかった。夜の街に生きていた真虎に、病院の消灯時間は早すぎる。暇潰しにテレビもつけれず、外出もできず、真虎は時計の針を見ながら、ただベッドの中で夜が明けるのを待っていた。
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