狂月 二夜 初めて人前で肌を晒し身体を暴かれる相手が想い人ではなく、憎くて憎くて仕方がない人物だと誰が想像できただろうか。屈辱と拭いきれない殺意が胸の奥底で煮え滾る。
ノクスは予め用意していた油を指に塗り、ダスクのまだ固い蕾に指先で触れる。びくりと警戒するように跳ねるそこに油を馴染ませ、滑るように一本埋めた。
「っ……ふ……ッ」
せめてもの対抗心からなのだろう。声が漏れないようにきつく口を閉じれば皮肉にも体は強ばり、自らを開こうとする指の圧迫感は増すのだった。
「我慢はよくないぞ」
空いている手で突起をつまみ、指先で弄りながら、ダスクの首筋に顔を埋める。幼い頃から戯れに嗅いできた髪の匂いに汗が混じり、言いようも無い色香がぐるると喉を鳴らした。鼻先を掠めるさらりと整った髪を心地よく感じながら、白い喉元へ食らいつくように歯を立てた。
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