【過去編】那由多VSアクラシア⑤-----------------
「ユウト。オマエはナゼそんなニ無駄なことをする……」
「無駄?僕、無駄って思ってしてないけど」
「いや、してイル。オマエの行動は全て無駄だ」
「………相変わらず酷いな、アクラシアは」
絶有主高校の(裏)生徒会室でいつものような会話が繰り広げられる。
薬師河悠都は事あるごとに政府の命令に背き、悪のレッテルを貼られていく。強さが認められている為生かされてはいるがいつ殺されてもおかしくない状況を自分から招いている事をアクラシアは理解できなかった。しかし、薬師河はアクラシアからの問いかけを歯牙にもかけないようすで犬の姿をしているクロコッタを撫でていた。薬師河から答えを求められないと諦めたその時不意に思い出したように薬師河は話を続けた。
「あ。一度だけあるかな。
大事な人を殺しそうになったとき。
自分が殺そうとしてる相手が大事な人だったって気付いたときにはもう遅くて、色々ね…考えてみたんだけど多分どのルートを選んでも間違いなく死ぬのは相手で僕が生き残るしか道は無くて……、でも受け入れたくなくて足掻いてみたらこんな事になっちゃったんだよね。あの時ばかりは必死にしたかな、無駄な悪あがき」
「…………無駄なことをした結果がソレか」
「そうだねー……。一瞬の事だったんだけど、僕にとってはとても長くて必死で、……最高に苦しい時間だったよ。幸い相手は死なずに済んだから無駄なことをするのはいい事なんじゃないかな?」
「……………ナゼそんな体になったのに、その結論になる。ソイツが死んでオマエが普通に生き残ればよかっとは考えないのか?」
「うー………ん。難しい事なんだけど……僕はどうしても殺したくなかったし、死んでほしくなかったから……」
「やはり理解デキナイ、相容れない、シネ……」
「……わっ、……うーん、いきなり戦闘モードに入らなくても……と」
アクラシアからERROR音が発生すると同時に鞭が撓りを上げて薬師河に襲いかかる。薬師河はクロコッタを抱きかかえたまま窓枠に飛び乗るとそのまま外へと飛び出し、地面へと着地する。
窓から下を見下ろすと、クロコッタの手を持ちこちらに振っている薬師河と視線が合った。
「アクラシアも会えるといいね、自分の全てを狂わせてくれる人に」
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