幼児退行🌸ちゃんとmtyピピッ
「38.7℃……インフルだな」
「いんふる……。」
体温計が測り終わった合図が鳴る。少し熱で頭の回らなさそうな彼女は舌っ足らずに言った。
「もう夜も遅いから明日病院に行こうな。」
「びょういん……や!」
「なまえどうした?」
「びょういんちゅうしゃしてくる……」
「多分注射はしねぇから安心しろ。」
熱に浮かされたなまえは幼児退行でもしているのか発言や行動が幼い。なまえの親は仕事が忙しく小さい頃から熱が出ようが風邪をひこうがなまえ一人で病気と戦ってきた。だからなのか付き合ってからは元々病気の時は甘えたになりがちだが今回は高熱だからか甘え方といい全てが幼い。
「なまえ冷えピタ貼ろう。」
「や!べたべたするもん!」
やだやだと駄々をこねるから仕方なく冷水にタオルを浸してからなまえのおでこにのせる。寝返りを打つ度にタオルがズレて落ちてしまうから冷えピタの方が助かるんだがな……と思いながらも温くなったタオルをまた冷水に漬けて冷やしてはなまえのおでこにのせる。
「たかちゃ、だっこ。」
「ん、だっこな。」
腕を広げてやるとすっぽりと腕の中に収まるなまえ。熱を測らなくても分かる熱い、体温が上がってきている。
正直いつもはあまり甘々なカップルではない俺たち、お互い自立したいい大人だ。そんななまえが甘えたになるのは正直言って可愛い。デロデロに甘やかしたい。
「一人で寝れる?」
「たかちゃ、いっしょにねて。」
分かったと言ってなまえのベッドに滑り込む。布団の中はなまえの体温でホカホカだと言うのになまえは寒い寒いと言って俺にひっついてくる。
「寒い?」
「さむい……。」
ぎゅっと抱きしめて暖を取ろうとするなまえを抱き返して眠りにつく。
「なまえ、なまえ起きて病院行くよ。」
「ん、びょういん……。」
まだ本格的に覚醒していないなまえに服を着せてタクシーで病院に行く。
寝ぼけたままつれだした俺も悪いが寝ぼけたまま出てきたなまえはベッドに飾ってあった前に俺が作ったウサギのぬいぐるみを抱きしめてタクシーに乗っていたようで幼さが更に助長される。
「なまえぬいぐるみ持ってきたのか?」
「だって……びょういんでしょ?」
そう言うなまえは不安そうにぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。まだ注射されるとでも思っているのだろうか。
名前を呼ばれ診察室に入れば医者は受付で予め測っておいた体温を見て「たぶんインフルだね〜」と呑気に言う。
「じゃ一応だけど検査しようか。」
そう言うと長い綿棒のような物をもってなまえの鼻に入れようとする。
「や!」
「大丈夫大丈夫、ちょっとお鼻こちょこちょするだけだからな〜」
「たかちゃ、こわい……」
「ちょっとこちょこちょするだけだらな?頑張れるか?」
「ん……。」
はいじゃあ入れますね〜と言う医者の言葉を合図に無遠慮に綿棒を突っ込まれる。
思ったよりも奥を綿棒でグリグリされるなまえは涙目だ。
「はい終わり〜!」
「頑張ったな、なまえ。」
いい子いい子と頭を撫でると緊張が解けたのかボロボロと涙をこぼすなまえ。普段大したことじゃ泣かないなまえだが幼児退行しているからな涙腺もゆるゆるである。
「ふぅっ……ぐすっ。たかちゃ」
「おーおー頑張っな偉いな。」
抱きしめて背中をさすり落ち着いたところで診察室を出て家路につく。
「頑張ったな、お昼は何食べたい?」
「みかんぜりー……」
「ん、みかんゼリーな。」
その後みかんゼリーを幼児用スプーンで美味しそうに食べるなまえを録画し永遠に見てる三ツ谷隆がいるとかいないとか。