不倫の子🌸ちゃんとmty「不倫ってどう思う?」
「んー良くねぇとは思うけどな。」
「汚いと思う?」
「綺麗ではねぇだろ。」
三ツ谷くんに言われた、不倫は綺麗ではないと。私は綺麗な存在で居たかった。純粋無垢な存在で居たかった、でもどうやってこれから生きていたって私の血筋は変わらない。浅ましく不倫した女とそれに誘惑された浅ましい男の救いようがないDNA。真っ直ぐ生きる三ツ谷くんには相応しくない。徐々に私は三ツ谷くんを避けていった、三ツ谷の傍には純粋無垢な女の子がお似合いなのだ。それは東京卍會に守られるエマちゃんやヒナちゃんの様な……。
発想は簡単だった、汚いなら出してしまえと。それから私は腕に二の腕太ももに腹、沢山切り刻んで汚い血を膿を出すように流す。
流しても流しても綺麗にはならないこの身体。あぁ死にたい。
シューーーッ
シューーッ
カッターの歯が私の身体の上を滑る。その後ぎゅうと傷口を摘むとポタポタと血が滲み出る。
あぁこれで綺麗になれたかな?三ツ谷くんに近づけたかな?一人で妹たちの面倒を見ても優しく包み込む聖人君子のような三ツ谷くんに近づけただろうか?
三ツ谷くんに近づけるだけでよかった、それは付き合うとか別にそんな恐れ多い事は願わない。毎日毎日膿という血を流す行為は堂々と綺麗な三ツ谷くんに会うためのおまじない。それでもおまじないが出来ない時は三ツ谷くんを避けまくったそんなある日だった。
「なぁ、なんで最近避けてるわけ?」
私を捕まえて直球で聞き出す三ツ谷くんはどこまでも真っ直ぐだ。
だめだめだめ、だめ。今日はまだ膿を出てないの。来ちゃだめ汚いから。
「ちょ、ちょっと待って!」
そう言うと女子トイレまで走ってカッターを腕に滑らせる。膿が早く出るよう沢山切るうちに手が滑ってざっくり切れてしまった。そこから覗くのは黄色い脂肪、脳では分かっていてもこれが膿だとしか思えなかった。そりゃ綺麗になれないわけだここまで深く切って黄色い膿を出さなきゃだめだったんだね。
直球すぎたか?避けられてる理由を聞き出そうと話しかけると走って女子トイレまで逃げられてしまった。
「🌸?」
悪いと思いつつ女子トイレを覗くとそこには腕を血まみれにした🌸がいた。俺にも気が付かず必死に深く切った切り傷の脂肪を摘み出そうと抉っている。真顔で切り傷を抉っている姿には狂気すら感じる。
「何やってんだよ🌸!!」
「あ三ツ谷くん待ってね!今綺麗になるから!」
「綺麗になるってなんだよ!」
「不倫は綺麗なものじゃないんでしょ?私不倫でデキた子どもだったの。だから汚い血は出しちゃえばいいかなって。」
なんでもないようにこうやって膿を出すみたいに出すんだよと傷口を抉る🌸。
🌸に言われてハッとする自分の失言に。
「ごめん🌸。」
「🌸は綺麗だよ。」
「🌸は🌸じゃん親関係ないよ。」
「俺はそのままの🌸が好き。」
俺は抱きしめて思いをぶつける。
「や、汚いから離して。血がついちゃうよ。」
「🌸の血だったら全然いーよ?」
証明と言わんばかりに垂れた🌸の血を舐める。🌸の血は思ったよりも甘かった。