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    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

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    肴飯のポイ箱

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    ワンドロ
    「髪の毛」
    isオーバー後の2人。まだ新しい道に慣れていないdndと、ひたむきにそんなdndと向き合ってきたkbnの話です。

    #kbdn
    #キバダン

    心を撫でるパチンと薪のはぜる音が、夜の帳が下りる中やけに大きく聞こえる。

    その気ままに跳ねつつも、静かに燃えている焚き火をダンデはアウトドアチェアに座ってぼんやりと眺めていた。

    「ダンデ。コーヒー淹れたけど飲むか。」
    「ああ、貰えるか。」

    ダンデはお礼を言いながらキバナから燻んだオレンジ色をしたカップを受け取る。チラリと目線をキバナの方に向けると、彼もカップに並々とコーヒーを注ぐところであった。キバナが持っているのは所々塗装が剥げた白色のカップだ。どちらもずっと子どもの頃から使い続けているので使い古された感はあるが、その一つ一つの傷やへこみを掌で撫でながら温かい飲み物を飲むこの時間がダンデはとても気に入っている。

    お昼頃から2人で始めたキャンプは、久しぶりということもあり人間達よりもポケモン達の方が大いに盛り上がり、ボールにポケじゃらし、果てはポケモン主体のダブルバトルまで満喫した。それを見ていたダンデとキバナも触発されて参加し、結局フルバトルをメンバーを入れ替えながら数回行った。最後にとどめと言わんばかりに全員でわいわい騒ぎながら大盛りの辛口ヴルスト乗せカレーを食べたことで疲れがピークに来たのか、今は焚き火番のリザードンとジュラルドンを残して全員素直にボールに戻っている。きっと今頃全員すやすやと夢の中だろう。

    焚き火番と言ってもテントの周りにはスプレーも撒いてあるので、野生のポケモンが迷い込んでくることはないだろう。それは分かっていても互いの群れのリーダーを自負する二匹は絶対にボールに戻らないという態度で火のそばに陣取り、今は静かに互いのテントのそばで目を瞑りつつ待機している。

    「久しぶりにキャンプしたけど、やっぱり良いなぁ。」

    どさりと腰をダンデの隣にあるチェアに下ろしながらキバナも同じように焚き火を見つめる。自分と同じように掌でカップをさするような仕草を見て、もしかするとキバナもカップに対して同じ気持ちを持っているのかと感じて少しむず痒い気持ちになる。

    「そうだな。こんなに喜んでくれるならもう少しスケジュール調整して、回数増やせたら良いのだが…。」
    「それは無理だろ。お前のタワー運営も落ち着いて無いし。」
    「だよな…それは分かってはいるんだ。」
    「まあ、お前が頑張っている事はポケモン達にも伝わってるよきっと。もう少ししたら運営も安定するだろうし、その時には目一杯遊べばいいさ。」
    「聞き分けが良すぎるから困ってるんだぜ…タワーを作ったのも、委員長になったのも俺のわがままだ。そのわがままに付き合わされて、彼らが変なストレス溜め込んで無いかと不安になってしまう。」

    つい、弱気な言葉と共に顔が伏せられる。それに合わせてライラック色の長い髪の毛が彼の顔を隠すように垂れ下がる。

    敢えて言葉をかけず、キバナは意外と猫っ毛なダンデの髪を撫でながら丁度いい温度になったコーヒーをまた一口飲む。
    掌で整えるように
    手櫛で毛の流れを整えるように
    毛先を指でくるくると纏めながら

    髪の感触を楽しみつつ、ダンデの気持ちが落ち着くのを待つ。

    「君と一緒に居られる時間も減ってしまった…。」

    根気よく待った後、漸くライラック色の隙間から聞こえてきた言葉は、小さくとも寂しさを含んだ声だった。

    「お互い忙しい身だし、それは仕方ない事だろ。それでも、今こうして時間を絞り出して一緒にいる時間を作ってくれているだけで嬉しいよ。」

    なるべく優しい声色を出しながら引き続き髪の毛を撫で続けたが、それでも納得できない男は益々体を縮めてしまう。最後にはとうとうチェアの上で足を抱えて蹲ってしまった。忙しさにかまけて伸ばしっぱなしにしていた髪のせいもあってか新種のポケモンのようにも見える。

    「…それでも俺は寂しい。おかしい。前まではこんな気持ちになんてならなかったんだぜ。ハロンからシュートで一人暮らしを始めた時もこんな気持ちにはならなかった。君と一緒に過ごして、恋人になって…忙しくなって…会えない時間ばかり数えてしまう。本当は今だってこんな事を君に言うはずじゃ無かったんだ。」
    「ダンデ。」

    キバナは湧き上がる思いのまま立ち上がり、衝動的にライラック色の愛しい塊をチェアごと力一杯抱きしめる。

    ポケモン以外に殆ど興味が無く、ほぼキバナの押しかけのような形で付き合う事に漕ぎつけたこの関係。初めて踏み込んだ男の家。異様な程伽藍堂なリビングの中央で「恋人って何するんだ。」と小首を傾げていた男の、心の中に持っていた小さな種を、キバナは時間をかけて大切に育ててきたつもりだった。その恋心と言う小さな種はしっかりとダンデの心に根付き、漸く蕾が開いたのだろう。寂しいと言うダンデの気持ちを聞いて、嬉しいなんて思ってしまうのはなんだかとても酷い男になった気もするが、その気持ちを吐き出したのがキバナであると言う事に言いようのない喜びを感じたのもまた事実だった。

    「オレさまも寂しいよ。」

    体を少し離してライラック色の髪にありったけの気持ちを込めてキスをする。花が綻びますように。香りが広がりますようにと。


    やがて、チラリと隙間から琥珀色が見えた。


    「キバナも。」
    「うん、寂しい。」
    「そうなのか…。」

    暫く考えていたダンデは、そろりと両手を伸ばしてキバナの背へと腕をまわす。

    「あったかいな。」
    「…うん。」
    「君の髪の毛、結構硬いんだな。」
    「うん。」
    「ちょっと煙の香りもする。」
    「うん。」
    「君と一緒に暮らしたいな。」
    「うん…う…ん?!」
    「ふふふっ、言質取ったぜ。」

    悪戯が成功した子どものように歯を見せて笑いながら頬に擦り寄ってくるダンデに、キバナはポカンとした顔で見つめ返すことしかできなかった。

    「朝起きて君に一番におはようと言いたい。夜寝る時、一番最後におやすみと言いたい。」

    湧き上がるこれは、恋人として間違った気持ちなんだろうか

    そんな事を尋ねるダンデに感極まったキバナが体重をかけて思い切り抱きつき、並んだチェアごと地面に転がった。服は土だらけになったし、倒れた背中は痛かったが、ダンデの瞳からこぼれた涙はそれだけが理由では無いはずだ。地面に背をつけながら2人で一緒に声を出して笑う。キバナの瞳に滲む涙も、同じ理由であれば良い。



    そう願いながらダンデは空に広がる星達を眺めた。








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    肴飯のポイ箱

    DONEREVELЯY2411「COUNT DOWN vol.2」の書き手クイズ企画に提出した作品となります。
    お題「催眠 付き合ってないキダ」
    開催中はドキドキとしながら過ごしておりました!すごく楽しい企画でした☺️✨ありがとうございました!
    夜空、星二つ ガラルにしては気持ちの良い、からりとした青空が朝から広がっている日だった。ブラックナイトに関する諸問題で暫く奔走を余儀なくされていたキバナは、ようやく業務もひと段落し始めた。屋外での作業は晴れの少ないガラルでは何よりも優先したい事柄だ。そんなこともあって、キバナは温かな陽気の中、ナックルジムの中庭で膝と頬を土で汚しながらせっせと植物の剪定に明け暮れていた。元が城ということもあり、一般の人々が立ち入らない場所には未だに当時の面影を残す部分が多い場所だ。キバナが居る中庭もその一つで、ナックルのジムリーダーが代々手入れをしていくことがいつの頃から習わしとなっていると聞いていた。初めてその役割を聞いた時には正直乗り気では無かったキバナだったが、元々好奇心旺盛な方だと自覚していることもあって、やり始めてみればなんだかんだと楽しみを見つけ出し、気付けば少しずつこだわりも持つようにもなってきた。
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    肴飯のポイ箱

    DONE12月オンイベ展示作品その②(新しいお話)
    みんなが寝静まった夜。こっそりひっそり楽しく過ごす不思議な生き物のキバナとダンデのお話
    「🎄ホリデー編🌟」
    ※ポ世界のクリスマス概念が曖昧な為、あえてクリスマスから正月までをホリデーと設定してお話をかいています。細かく考えず緩くお楽しみください🌟👻👻🎄
    それは賑やかな すっかり夜の帳が下り、静まり返ったとある家のキッチン。小綺麗に整頓されたそんな場所を小さな林檎程の大きさの何かが二つ、白い布を頭から被ってチョロチョロと薄暗いキッチンの中を動き回っている。
    「キバナ、息が真っ白だ!寒いなぁ」
    「今日も月が大きいなぁ。でも、流石に今日はみんな寝てるだろ」
     月明かりに照らされたキッチンを、キバナと呼ばれた大きい方がそれよりも少し小さなダンデの手を引きながらずんずん進んでいく。
     少し前にお菓子を貰ったキッチンは、同じように整えられていた。水切り籠にはジュラルドンとリザードンが描かれたカップが逆さまになって雫を落としていた。今日は、それ以外にもカラフルなカップや皿がたくさん並んでおり、いつもは食器棚の一番上で偉そうにしている白地に金の模様が入った大きな皿も、ピカピカに洗われて月の光を反射している。
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    肴飯のポイ箱

    DONEオンイベ開催、アンド素敵企画ありがとうございます!
    この作品は、12.3歳ごろの2人がナックルシティの片隅にあるとある喫茶店を舞台にわちゃわちゃとしていくお話となっています。
    ※両片想いほのぼのです。
    ※ガラル市民がたっくさん出ます。
    ※視点がコロコロ変わるお話です。
    少しでも楽しんでいただければと思います☺️
    とあるナックルの片隅で◆ライラック色の髪をした少年の回想

    「あ、チャンピオンだ!」
    「チャンピオン!」
    「何かイベントでもあったっけ?」
     困った。
    俺は、大きな街の真ん中で冷や汗を掻きながら、どうしてこんなことになったのかをひたすらに考えていた。
     今日は午前中にシュートでのチャリティイベントに参加した。午後はスポンサーの会社が行うガーデンパーティへの参加が予定されていたが、そちらが主催者側の事情でのキャンセルとなったので、突発的に午後は丸々オフとなった。予定されていた休みより、こういうイレギュラーな休みって得な感じがして俺は好きだ。せっかくだから前々から欲しいと思っていた物を買おうと意気込み、勢いのままユニフォームで飛び出した。自分なりに人目が少ない道を探しながら、地図アプリと睨めっこ。しかし、俺の努力も虚しくうっかり路地から大きな通りへと出てしまった。途端に集まるキラキラとした眼差しの人、人、人。応援してくれる人達の期待の眼差しを裏切ることはできず、突発的に始まってしまったファンサービス。握手に写真、サイン。もみくちゃにこそされないけれど、このままだと行きたい場所に行けないまま休みが終わってしまう。顔には出せないが内心焦りつつも人混みは消えるどころが増えていく。どうしたものかと困っていると、人混みの奥から良く通る声が聞こえて来た。
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