ちゃんと仲直りした 途中しっかりタクシーを使ってシンジュクに降り立った頃にはすっかり夜で、カブキ町はこれからが本番、といったようにギラつくネオンが幻太郎を迎えてくれた。正直派手に人工的にギラギラしている様子はあまり得意ではないが、それでも彼がいる街、と考えると途端に愛おしくなるから不思議だった。
タクシーに揺られている間もずっと一二三のことを考えていた。
少しずつ冷静になっていく頭で考えるのは、もう一度一二三に会えるならなんと言葉を告げるか、と、まだ間に合うだろうか、ということだった。あの日の一二三は今まで見たことのない冷たい眼差しだった。いつもとろけるような甘い眼差しからあんな冷たいものが出るのか、というのも驚きだが、今から会えたとしてまたあの冷たさに耐えられるか自信がなかった。
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