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    sushiwoyokose

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    sushiwoyokose

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    アからの手紙大事にしてるユピはなんぼあっても、ええ!!(アルユリ)

    一縷の絆すっかり元気を取り戻した友が「研究室を片づける」と言うので、休みを取って付き合うことにした。親友殿はしっかり者だが、貴重面では決してない。ひっきりなしに引っ張り出される資料はいくつもの山を作っており、研究道具の入った木箱がところせましと転がっている。寝泊まりをするための生活用品が揃っていることもあり、どこも荘厳な雰囲気を漂わせるサントレザン城において、ユリウスの研究室だけは雑然とした生活感に満ちていた。改築を繰り返したと言って窮屈な部屋である。そこに私物がぎっちりと収まっているものだから、研究室は別名「ユリウス様の聖域」などと呼ばれているらしい。対策本部室の関係者であっても、この部屋に入るには若干の躊躇いがあるというからなるほど的を得た異名である。
    聖域の主はこの部屋の散らかりっぷりをいたく気に入っており、いくら「整理しろ」と言っても聡明な耳が言うことを聞いてくれることはなかった。故に、彼が唐突に上げた片づけ宣言は俺にとって大変衝撃的なものであったというのは言うまでもないだろう。が、同時に理由の推察もすんなりとついている。――星の眼をめぐる資料の盗難、だ。ものが盗まれたから警備を強化しようなどという気ではあるまい。純粋に、不可侵を踏みにじられた心地悪さがあるのだろうと思う。恐らくユリウスは、根城に深く手を入直すことによって他者の気配を無くそうとしているのだ。
    「おい、窓辺で何か枯れているぞ」
    手伝いと言って、俺にできるのは妙なものがないかどうかの巡回とうっかり書物を読み始める親友に注意を送ることだ。今のところは書棚と真剣に向き合っているユリウスをほっぽり出さないようにしつつ、踏みどころのない部屋を慎重に歩き回る。と、懐かしの小窓に小さな鉢植えがあるのを見つけた。入った土はカラカラに乾いていて、植物だったのであろう茶色い何かがこちらもカサカサに干からびている。
    「ああ……クリアハーブの株だな。水をやれば元に戻るから、霧吹きかなにかで吹いておいてくれ」
    「霧吹き……?」
    「~♪」
    そんなものがこの部屋にあるのかと問う前に、デストルクティオがひょいと目の前に顔を出した。牙の鋭い口は、丁度空になった霧吹きを咥えている。ユリウスが命令を与えたにしては発見が早い。会話を聞いて探してくれたのだろうか。全力を出した獣の恐ろしさを知っているが故に、まだまだ異形に対して気を抜ききることはできないが、親友の丁寧な教育を受ける触手は利口も利口に育っているように思う。
    「見つけてくれたのか? ありがとう。よし、水を入れてこよう」
    「~♪」
    親友殿曰く。この獣には、空を好きになってもらいたいのだと言う。間違っても再び脅威とならない様に、共に生き、共に過ごし、空を好いてもらいたいと。確かに、好意というのは得てして大事なものかもしれない。彼が何かこの空で気に入るものを見つけ、その身に宿る力を自発的に空を想って使ってくれるようになれば万歳だ。寄生先の悪意ばかりでなく、星晶獣自身の意思と頭脳が露見している今ならば不可能ではない策だろう。俺も、友に賛成だった。もちろん迷いはある。星を宿した身体は本当に強化ばかりで悪い影響を受けないのか、狂気の原因を宿し続けるのに苦痛はないのか。心配を浮かべれば数えきれない。だが、ユリウスが爆弾を飲むなどという惨く虚しい考えを「二度と」抱かなくて済む未来を考えるなら、やはり獣自身に力を抑えてもらうのが最適解であると思う。例えばグランサイファーに乗る多くの星晶獣と同じように、空の友となってくれたらいい。凶悪な力は、強大な力だ。味方で居てくれるのならば、それはきっと友を守る鎧にだってなれるだろう。
    「ついて来たのか。あんまり覗くと水がかかるぞ」
    「~?」
    ――などと。こちらが必死で頭を回しているというのに、当の触手ときたら呑気なものだ。にょろにょろと水道までついて来た異形は、俺の手元を覗き込んで微妙に口角を上げている。一向にどかぬものだから、そのままそうっと水栓をひねって水を出してやった。
    「~♪」
    「あ、こら!」
    一本道に流れる美しい水の線を、異形の頭が歪めにかかる。水遊びがしたかったようだ。思い切り水に頭を突っ込んだデストルクティオは、先ほどよりも大きく口を開けて嬉しそうにのたうっている。
    「悪戯っ子がどうかしたかね」
    「水に頭を突っ込んでいる。びしょ濡れだぞ」
    書棚の前から声が飛んでくる。大声で目の前の事実を簡潔に伝え返すと、朗らかな笑い声が帰ってきた。
    「最近水遊びがお気に入りでね。フフ、少し栓をして洗面台をプールにしてやるといい。満足いくまで遊んだら戻るから」
    「……濡れたまま伸びてきたら研究室が大変なことにならないか?」
    「心配は無用だよ親友殿。一度床を水浸しにしたのを叱ったからね、きちんと手ぬぐいの上で転がってから戻ってくる。風呂上りに髪を拭かないどこぞの雷迅卿にも見習ってほしいものだ」
    「……、ノーコメントで」
    「ふははは」
    けたけたと響く笑い声に眉間を寄せながら、ユリウスの言う通りシンクに水を張ることにする。ごまかさず、「それはお前が世話を焼いてくれるのを狙ってやっている」と返せば揶揄いではなく恥じらいを戻してもらうこともできただろうか。いや、ユリウスのことだ。俺の淡い下心なんてお見通しに違いない。無駄なあがきはやめずに拗ねたままでいるべきである。
    じわじわ水の溜まっていくシンクに、デストルクティオはすっかりご満悦の顔を浮かべて居座っている。長い身体が入っても溢れない程度で水を止め、当初の目的であった霧吹きの充填をようやく果たした。試し打ちを兼ねて何回か触手の顔に霧吹きをかけてやり、踊るように歓ぶそれに手を振って窓辺に戻ることにする。
    しゅ、しゅ、と枯れたクリアハーブに水をやると、うっすらとした緑がじわじわと枯草を彩り始めた。あらゆる邪気を払うこの草は旅人や戦士の必携品だが、その効能の根幹はこの不死身じみた生命力にあると言われている。常備薬替わりに鉢植えを持つ家も多く、力強さにあやかって観賞用にも好まれるらしい。最も、ユリウスがここにクリアハーブを植えている理由は「倒れそうになった時に齧ると目が覚めていいから」というどうにも不健康なものなのだが。
    (これが枯れてしまうほどに日が空いたのか。……、本当に、長い間を一人で過ごさせてしまったんだな)
    鉢植え周りを整理してやりながら、すぐ後ろにいる友を想う。国に残った俺には、背を支えてくれる仲間たちがいた。だが、悪意を一心に引き受けて去ったあいつはどんな気持ちで離別の日々を過ごしていたのだろうか。物言わぬ異形とたったひとり、空を渡るなどという無茶を犯して。考えるたびに胸が張り裂けそうになる。国に残り、意思を継ぐと言うのはユリウスが思い描く「正解」の行動であったかもしれない。だが俺が本当にするべきだったのは、すぐにでも駆け出してその身を抱きしめてやることだったのではないか。いや、そうして国を捨ててしまったら、きっとユリウスは自責でおかしくなってしまうんだろう。けれどやはり、あんなに長く一人にしてやるべきではなかった。
    「――あった」
    巡りに巡り、勝手に暗くなっていく思考を小さな声がぱっと晴らした。小声の独り言は、やたらと歓喜に満ちている。誘われるように振り向けば、ユリウスが書棚の奥から何か小箱を取り出しているところだった。
    「探し物か?」
    「え……。ああ……いや、これは……。……ふふ、見つかってしまったな」
    まるで、俺の存在を忘れていたかのような反応だった。驚きに目を見開きながら俺に答えたユリウスは、彼らしくもなく言葉を迷わせながら終いに呆れたような微笑みを零す。ずっと傍に居たのにあんまりじゃないか、と。不服を込めて幼稚なむくれ面を披露すれば、大股で近寄ってきた友に脇腹をこしょこしょと擽られてしまった。
    「そういじけてくれるなよ。今日の大掃除はね、これを見つけるための大掃除でもあったんだ」
    「初めから探し物だったのか? ならそう言ってくれれば、俺も検討を付けてあちこち掘り返したものを」
    「君に見せるには勇気の要る代物さ。だから、手伝いにくるというのも断ろうと思ったんだが……。見つかったら見つかったでそれまでかな、と思ってね」
    「本当に見られたくないというなら少し席を外したっていいぞ。……何か、危ないものだというなら一人にするわけにいかないが」
    「ふふふ、気遣いが上手くなったね? いいや、一緒に見よう。見てほしい。……もしこれが無事で在ったら、伝えようと思ってはいたんだ」
    言いながら、ユリウスは掌に乗る小箱を静かに開けてくれる。慎重な手つきだ。大事なものを扱う時の、柔らかな動き。常日頃堂々とした男が、開示に勇気がいるというのならいったいどれほどの代物が出てくるのだろう。思わず身構えてしまったが、小箱の中から現れたのは古ぼけた一本の鍵だった。あまり見慣れない形状の鍵だ。突起の多いそれは、少なくとも騎士団内で管轄する扉のものではない。
    「鍵……? これが何か、すごいものなのか」
    「いや、これは門番さ。お手をどうぞ雷迅卿。特別だよ、君にだけだ」
    友の顔から恥じらいが消え、悪戯が降ってくる。意地悪な笑みを湛えたユリウスは俺の腕をがしりと掴むと、そのまま研究室の奥へとずかずか歩き始めてしまった。強引なエスコートに思わず俺も笑ってしまう。足の踏み場の限られた部屋。歩くのは慣れているといえ、家主のそれにはかなわない。時折転びそうになりながらなんとか後ろをついていくと、そこは水場に近いただの壁の前だった。
    「鍵穴も何もないじゃないか」
    「私の特技をお忘れではないかね?」
    「特技……? 実験……研究……減らず口……」
    「最後のは余計だよ。それにどれも不正解だ」
    「お前の得手など山ほどあるだろう、当たる気がしないぞ。あとはなんだ、蘊蓄とか……」
    「惜しいね、最後の二文字は合っているよ」
    「……ちく?」
    「改築さ」
    持っていろと小箱を預けられたので、友に倣って丁重に包み持つ。何をするのかと見守っていると、両手を自由にしたユリウスは詠唱のような文言をぼそぼそと呟いてぼんやりと魔力を浮かべ始めた。呼応するように石壁が淡く光り出し、何の変哲もなかった行き止まりに扉の筋が浮かび上がる。
    「これだけ付き合ってまだ俺の知らない部屋があるのか」
    「ふふふ、隠し事の多い親友ですまないねぇ。だが、秘匿はこれで最後さ」
    悪戯な笑顔と、楽し気な笑顔。そこに恥じらいを少し織り交ぜ、複雑な顔でユリウスが笑う。一体何を見せてくれるつもりなのだろうか。どうにか予測をつけようと突っ立っていると、小箱がひょいと攫われて行ってしまった。現れた扉を悠然とくぐる友に慌てて続けば、扉の先には小さな倉庫のような薄暗い空間が広がっていた。
    (……! 火薬のにおい)
    一歩足を踏み入れた瞬間、鼻腔を不穏な香りが擽った。火薬というのは些細な刺激で暴発をする。思わず先を行く友を引き寄せると、俺が何か言う前に聡明な男はけたけたと楽し気に喉を鳴らした。
    「鼻がいいねぇ。安心したまえ、危険物は先んじて処理してある」
    「……火薬があったのか?」
    「元々、自決機構を開発するために作った部屋だ。誰にも知られてはいけなかった。誰かに見られるわけにもいかなかった。無論、君にだってね」
    「っ……」
    何故、ひとつも相談をしてくれなかった。どうして頼ってくれなかった。口を突いて出そうになる恨み言を、既のところでどうにか飲み込む。過去を責めてもどうにもならないのだ。国を、仲間を、何より俺を巻き込まんとした友の優しさは重々に理解している。だが、それでも。渦巻く憎悪は抑え込めない。わかっていたって、憎らしかった。一番に自分の幸福を考えることをしないその思考回路が。そういうふうに彼を育て上げた、理不尽なこの国の憎悪たちが。なによりその絶望の中から、友を救いあげるのに随分と時間をかけてしまった己が。
    「……俺が、もう少し聡ければ……。こんな部屋を作らせなくても済んだのか」
    「その問答はもうやめにしようと約束しただろう? 君は私を生かしてくれた。私は君の願いに応えている。それであいこと、納得したじゃないか」
    「……」
    「暗い話をしに来たんじゃないよ、アルベール。ともかくそういう部屋だったのは確かだが、その堅牢を見込んで今は異なる役割を与えられているんだ。例えば、こういうものをしまい込むためのね」
    暖かい手に金糸をわしゃわしゃと撫で転がされる。存外大きな掌は、逞しくもあり、優しくもあった。後悔を引きずる俺をあやした指先は、紅眼の視線を誘うようにそっと部屋の奥を指さして見せる。目を凝らすと、そこにはやや大きめの金庫が鎮座していた。
    「金庫……? さっきの鍵はあれの鍵か?」
    「そうとも。……差して捻れば開くよ」
    「……!」
    大切そうに守られていた鍵が、ずいと眼前に差し出される。君が開けろ、という言外の要望に思わずたじろいでしまったが、深呼吸をして静かに鍵を受け取った。
    「いいんだな?」
    「もし中身に拍子抜けしても、あまり笑ってくれるなよ」
    「約束する。宝なんだろ、笑わないさ」
    古びた鍵を持ち、金庫の前に歩み出る。どちらも、城のどこからか掘り出してきた骨董品なのだろう。薄闇に慣れた目で観察すると、錆や傷が目立って見える。間違っても壊さぬよう、慎重に鍵穴へ鍵を差し込んだ。力の入る方向を探りながら回してみると、カチリと小気味のいい音が鳴る。古いせいだろうか、金庫と言ってあまり複雑なつくりはしていないらしい。
    僅かに浮いた扉を、これまた慎重な手つきで引き開ける。それなりに容量のある金庫には、菓子か何かの小ぎれいな箱がちょこんと一つ仕舞われていた。これが、友の宝。一体何が入っているのかと手を伸ばし、その箱に見覚えがあることに気が付いてしまった。これは菓子の箱などではない。俺が昔、ユリウスの成人祝いにやった小刀の入っていた箱だ。
    ちらりと友の姿を振り返る。贈って以来、小刀は肌身離さずあいつの腰に収まっているはずだった。覚えの通り、ズボンを留めるベルトの片隅に黒いケースが鎮座している。つまり、ここにしまわれているのは小刀ではない。では一体何が入っているのかと、急く気持ちを抑えながら箱の蓋を持ち上げる。
    「……、ふ……」
    「雷迅卿? 笑わないという約束だったよ」
    「すまん、つい。……そうか、これが宝か。なるほど、これは確かに俺に言うには勇気が要るかもしれない」
    蓋が開くなり、宝はふわりと膨れて俺の膝上にあふれ出してしまった。手に取るまでもなく、目に入った途端それが何かを理解する。――俺が何かにつけてユリウスに送ってきた、とめどない手紙の数々だ。きちんと封筒に入ったモノもあれば、書置きに使った走り書きのメモも混ざっている。金庫にしまい込むまでもないだろう、日々の思い出の数々だ。
    「断罪の時は必ず来る。そう信じていたから、君との仲を示すものは全て燃やすか捨てるかするべきだろうと思っていたんだ」
    「……、俺よりよほど、現実を見ていたものな」
    「希望を信じるのが下手くそだっただけさ。現に今は、君の信じた二人の未来が叶ったじゃないか。それに、思っただけで捨てられなかった」
    肩が触れ合い、手が寄り添う。一つ、紙片を掬いあげたユリウスは愛おしそうに乱雑な文字のそれぞれを撫ぜた。帰ったら知らせろなんていう一言だけが綴られたメモだ。これのどこが宝なのか、万人が万人嘲笑うであろう何の変哲もないもの。だが、ユリウスの瞳に浮かぶ慈愛に嘘は決してなかった。ここに天雷剣があっても、雷鳴はじっと押し黙るに違いない。
    「苦肉の策で隠したんだ。私と仲が良かったという事実で、君が何か苦しめられない様に。……なんていうのは建前で、心のどこかではいつか戻ったときのためにを想っていたのかもしれない」
    「……」
    「無事に守られていてよかった。これでまた、宝の続きを集められる」
    照れくさそうな、幸せそうな。あたたかく、美しい笑顔が俺を覗き込む。春の日差しのように、希望に満ちた顔だった。そっと金庫に宝を戻して、その間浮ついた頭を精一杯に回してみる。何か気の利いたことを言ってやれれば格好もついたのに、結局うまい言葉は見つからなかった。衝動のまま、力いっぱい友をぐっと抱きしめる。
    「ユリウス」
    「ふふふ、馬鹿力」
    「……、箱、もう溢れているから」
    「うん?」
    「新しい、何か……、箱入りのいいものを強請ってくれ」
    「うふ、ふふふ、それをふた箱目にしろと。生憎だが、ふた箱目には目星がついているんだよ」
    「……?」
    「療養中にくれた対のグラスがあるだろう? 上等な箱に入っていたから、それを取ってあるんだ」
    「ああ……。じゃあ、三箱目のだ」
    「気が早い。どれだけ手紙を寄越す気だい」
    「毎日書いたって良い。小恥ずかしい文言は言うのも書くのも得意だ」
    「温存してくれ、私がどうにかなってしまう」
    「俺で?」
    「そうだよ」
    「……、そうか」
    彼の宝で在れて、よかったと思う。しつこく求めた握手が、しつこく求めた友という絆が、ようやくたどり着いた親友という呼び名が。全て、彼をこの世界に引き留める一本の命綱に繋がったのだろう。真っすぐ前を見てばかりの、おめでたい過去に後悔は多い。けれど、間違ってはいなかった。その純真は、間違いなくユリウスにとって安寧の光だったのだ。
    「何箱あっても足りなくなるくらい、ずっとそばで一緒に居たい」
    「そうだね。私も、一緒がいいな」
    願いが揃って一つになる。肩にうずまった友の唇が、淡く肌を食んだのはきっと誓いだったのだろう。
    「愛しているよ、アルベール。昔からずっと、これからもずっと」
    耳元で囁かれた愛の言葉に、信じられないほど心臓が煩く喚きだす。やはりこの男がいなければ、俺の命は巡らないのだ。三度、力を強くした抱擁の先。触れ合う身体から伝わるユリウスの鼓動もまた、俺のものと同じくらい煩く、速く駆けていた。
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