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    harkas_

    ゲームのスクショが無いよ。

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    harkas_

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    テキスト投稿テストを兼ねて。
    アルタイル憑依状態のティズ×リングアベルのR-18(導入のみ)。
    肉体的にはティズリンだけど精神的にはアルタイル×リングアベルで、ティズさんに言葉責めして欲しいって書き始めたけど、導入書いてるうちに我に返った。

    【Lunatic】


    不死の国、エタルニア。北方の厳高地にあるこの国は1年を通してほぼ冬のような気候だ。降り積もった雪がそこかしこに残り、春すら未だ訪れていないのかもしれない、そんな気にさせる。
    時間的な要因もあるが市街地にすら人通りはほぼ無く、まばらに見える人影も皆外套と帽子、手袋などの防寒具を身にまとっている。そんな中に1人、異様とも言える風体の男が居た。

    まるで医療施設から逃げ出してきたかのような白い装束。肩も脇腹も丸出しで、所々に千切れたチューブがぶら下がっている。柔らかい栗毛が伸び放題で、寝癖までついたままだ。
    彼の名前はティズ・オーリア。次元管理官である俺の監視対象だ。2年ほど前、カルディスラで突然眠りに落ちたまま、ここエタルニアの魔道プラントで延命措置を受けていた。それがつい先日、神界の魂を封じていると言われる霊石の力を借りて目を覚ましたばかりだ。
    ここ数日、これと言った変化は無かった。だからこそ、深夜突然に宿を飛び出した彼に言い様の無い不安を感じている。

    何かを探すように時折きょろきょろと辺りを見回しながら、市街地を足早に通り抜けていく。俺はそんな彼を見失わない様に、物陰を選びながら後をつけて行く。その足が遮蔽物のない雪原へとさしかかった辺りで、彼は明らかにこちらへと視線を向けた。どうやら後をつけている事に気がついているようだ。本来ならば次元管理官たる者、監視対象に接触するべきでは無い。けれど、勘のような物が騒ぐのだ。意を決し、息を吐く。それから、彼の前に歩み出る。

    「…いつから、気がついていた?」
    顔をまるごと覆う仮面のせいでくぐもった声になる。全身を覆う黒い鎧をつけている今、俺をリングアベルだと思う者は居ないだろう。エタルニアに暗黒騎士がいる事は何の不思議も無いのだし、上手くすればこの世界の俺──暗黒騎士アナゼル・ディーとして、誤魔化す事ができるだろう。

    ゆっくりと彼が歩み寄る。青白い月の光を雪が反射して、夜だと言うのに照明など無くても顔が良く見えた。どこかぼんやりとした印象だった昼間とは違う、ピンと張り詰めた雰囲気。2年間眠ったままだったとは思えないような筋肉の付き方をしている。いや、むしろ以前より肩幅もがっしりとして身長も伸びたようだ。身に纏う空気と瞳の色こそ違うが、それでも、俺には彼はティズにしか見えなかった。

    「君の尾行の腕のせいでは無いよ。」
    俺の知っているティズの声よりずっと渋味のある、低い声。霊石に封じられていた力の影響だろうか。腕を組み薄く笑うその顔は、ティズでいてティズでは無い。
    「こんな状況で監視がつかない訳は無いだろうと思ったのでね。君には悪いが、おびき出させてもらった。次元管理官絡みの案件なんだろう?」
    その言葉に、俺は目を見開く。
    「あ、貴方は、一体…」
    狼狽える俺に満足気に笑う。
    「簡単な話さ。私はね、君の同僚…いや、先輩になるのかな?」
    少し砕けた顔で、俺の先輩に当たる彼…次元管理官アルタイル博士はそう答えた。



    これまでの経緯をおおまかに説明する。眠りに落ちたティズの事、神界の霊石で目を覚ました事。ティズ達がアニエス救出の為に旅をしている事を伝えると、陰ながらのフォローを申し出てくれた。正直な話うちの組織は人手不足で、ティズの監視以外にも色々と仕事を抱える俺にとって、とても有り難い話だ。

    それ以来俺達は、時折皆の目を盗み顔を合わせていた。何回かの検証の結果、アルタイル博士は月の光を浴びている間だけ表層化する事がわかった。
    博識で見識が広く、それでいて気さくでおどけた一面すら見せる。数回顔を合わせた程度で、俺はすっかり彼に気を許していた。彼の外見がティズである事も関係しているかもしれない。とにかく俺は、彼の前でだけはリングアベルでいられたのだ。



    そんなある日。
    俺が差し入れと言う体で夕飯の残りの牛スネ肉の煮込みを拝借していた時の事だ。
    『サジッタの里に行く』、博士からそう告げられた。そして、多分もう会えないとも。

    「次元管理官になった時に名前くらいだが聞かされた。月から移住して来た人々の子孫が暮らす隠れ里なんだろう?危険な所なのか?」
    カラトリーを洗いつつ尋ねる。つまみ食いの痕跡を完全に消さないと、彼ら、いやイデアに殺されかねない。
    博士はそんな俺に呆れたように笑いながら、息を1つ吐いて言った。
    「私も行った事がある訳では無いが、案内人を見た所、特に危険な場所と言う事も無いだろう。」
    「なら、何故…」
    「うん、そろそろ頃合いだと思ってね。」
    そっと視線を下げる。
    今まで、ほんのりと存在を匂わせるだけだった博士が、皆の前に姿を現すと言う事だろう。
    彼が表層化していられる時間は短い。その短い時間をイデア達と過ごす事になれば、もうこうやって皆の目を盗み顔を合わせる時間は取れないだろう。

    別れはいつだって突然なのだ。イデアの時も、ティズの時も。さよならを言う猶予のある今は、突然の部類に入らないかもしれないくらい。
    「そう…か。寂しくなるな。」
    ぎこちなく笑う。もう二度と会えない訳では無いのだ。笑って別れるのが最適解だろう。そう思うのに、上手く笑えない。
    次元管理官として全てを捨てて、1人で生きていく覚悟は出来ていた。なのに、事情を知って、受け入れてくれる人が出来てしまった。相手はまだ目の前にいて、引き止める事だって出来るのだ。命を落とした、彼女達と違って。
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    Replies from the creator

    harkas_

    MAIKINGタイトル未定、白鳩戦でフォーリンラブが解けなかったリングアベルが襲い受けする話。
    導入途中(R-18になる予定)
    どこか遠くから、誰かを呼ぶ声が聞こえる。トーンが高く、良く言えば耳に残る声。ティズ、ティズと泣きじゃくるようなその声が自分を呼んでいるのだと唐突に理解する。あれ、僕はどうしていたんだ?思考にもやがかかった様にはっきりとしない。動物の毛が焼けた様な匂いと、べったりとまとわりつく鉄の匂いにここが戦場であった事を思い出した。指の先、足の先、それぞれがある事を、動く事を確認して、それから息を吐く。上手く出来なくて少しむせて、それからゆっくりと重たい瞼を開いた。
    「イデア…そんなに…揺すらないで…」
    僕を呼んでいたのはイデア。僕は彼女にずっと揺さぶられていたようだ。軋む身体を懸命に起こすと、半泣きの彼女に抱きつかれた。
    「ティズ!気がついたのね!」
    そう言ってわんわんと泣きじゃくる。その様子からすると、僕は蘇生されたのだろう。あの大きな鳥の骨がベールを被った様な魔物に何らかの魔法をかけられたところまではぼんやりと思い出したが、その後の事がさっぱりだ。倒せたのか、倒されたのか。いや、そんな事より。
    「イデア、君1人だけ?」
    問い詰める様に言うと彼女ははっとして、
    「だ、大丈夫、アニエスは近くの川ま 1100

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