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    名無しさん

    @nanashi_hq

    25↑ 夢女🚺【書⇒HQ】【♡🔖⇒HQ.呪.青檻 】──好きなものを思いついたままに呟いてる垢。

    Xに入り切らなかったお話をこちらに投稿しています。

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    名無しさん

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    Xに上げたものです。

    ささっと書いたので、まずこちらに投稿させていただきます。

    #HQプラス
    hqPlus
    #819プラス
    819Plus

    女避けの為に付き合っていると勘違いした話。スナと付き合って数ヶ月。それなりに恋人らしい事もしてきたから彼は私のことが好きで付き合ったんだと思ってたけど、どうやら私はただの女避けらしい。


    バレー強豪校の稲荷崎に推薦で愛知から来たという彼は、その容姿も相まってたちまち人気者になっていた。クラスは違えど、同学年や先輩問わず女の子から言い寄られてる噂をよく聞いていたし、その現場を目撃する日も多々あった。かくいう私もスナくんの事が気になる女子のひとりだったわけだけど。

    周りの華やかな女の子達みたいにスナくんに話しかける勇気もないから遠くからそっと眺めるだけ。
    自分の意気地なさ故に接点を作れないで居る癖に、可愛い女の子達に嫉妬したりして、これは甘酸っぱいどころか塩っぱい青春になりそうだなぁ、と思っていた。

    それなのに、皆がやりたがらない面倒臭さ満載の図書委員に立候補して委員会に向かえば、隣のクラスからはスナ君が参加していて驚いた。意識している分ドキドキしてしまうのに、放課後の図書当番のクジ引きはスナ君とペアになってしまってさらに緊張してしまう。「🌸さんとペアだったんだ。よろしくね」と爽やかに微笑まれたら心臓が跳ねて、これがイケメン…眩しすぎる…!と溢れそうになる心の声を押し込めて「こちらこそ…!」と在り来りな返事をするのが精一杯だった。

    その日から定期的に放課後を一緒に過ごすようになったスナ君に、「ここは私に任せて部活優先していいのに、練習で忙しいでしょ?」と聞いたことがあったけれど、「練習サボるための委員会だよ。ここに居させてよ」と意外な答えが返ってきた。だってうちのバレー部と言えば全国レベルで有名だし、そこで1年でレギュラー入りってとっても忙しいはずなのに…と思っていれば顔に出ていたようで、「サボりたいって言ってたの、内緒ね」といたずらっ子みたいな顔で人差し指を立てる姿に少しキュンとしたりして。

    けれど、スナ君と図書当番をする日の放課後は、図書室がいつもより騒がしくなる。借りたい本も無いだろうに女子生徒たちが入れ代わり立ち代わり現れて、カウンターでお話しをするのも順番待ちが出来るくらい。モテモテな人気者って凄いなぁ…と横目に見ながら、カウンターから離れた場所で本棚の掃除、並べ替えをする。あの場所に座ったままでいたら、華やかな女子達に「なんであんたが…」と睨みつけられて怖いから。

    そんな日も続けばスナ君との距離は近付いて、スナ君が私を呼ぶのも苗字ではなく名前になった。委員会が終わったあとに昇降口まで見送られる日もあってドキドキする。「じゃーまた、来週ね」と手を振るスナ君の笑顔は日に日に眩しく映るけれど、最近は私も手を振り返せるようになった。

    それでも当番中に現れる女子たちは変わらず、スナ君の苛立ちを察してしまう日もあって、委員会の後に「大丈夫?」と声を掛けた日、どこかホッとしたようなスナくんがカウンターに突っ伏して息を吐きながら「🌸ちゃんといると安心する…」なんて言うのでドッと胸が音を立てる。
    ぶわぁっと顔が赤くなった気がして目を逸らすと、「へぇ、可愛いとこあんじゃん」とからかわれる。
    前から意識していた分、そんな言葉を掛けられれば簡単に心が落とされそうになって、まともにスナ君の顔を見られない。
    赤くなる頬をパタパタと仰いでいると、私を見上げるスナ君に手首をやんわりと掴まれて、「ねぇ、🌸ちゃん。俺と付き合ってよ」と少し頬を染めたスナ君が言う。

    …聞き間違いかな?と視線をさ迷わせていると、「🌸ちゃん、聞き間違いじゃないよ。俺、いま🌸ちゃんに告白したんだけど。ね、好きだから付き合って。」
    少し頬を染めたスナ君がムッとしながらそう言うので、あまりの破壊力に頷くことしか許されない気がした。

    そうして付き合い始めた翌日からはスナ君が誰と付き合い始めたのか、という噂で持ち切りだった。告白された時に私から、「スナ君は人気者だから、私と付き合ってることは内緒にしてね。卒業したら、親しい人にだけ報告しよ?」とあざとさを意識してお願いすると、渋々了承したスナ君のおかげで彼女が私だとは周りにバレていない。

    彼女出来た、邪魔する奴は報復覚悟でよろしく、とスナ君が宣言した日から、周りを女子生徒が囲むことも少なくなって、今はバレー部の面々と一緒にいることが多いスナ君。

    図書委員の仕事も2年に上がってからは担当が外れて放課後を一緒に過ごす時間も少なくなってしまったけれど、購買でこっそり時間を合わせて待ち合わせをしたり、練習試合を見学する女子に混ざってみたり。
    休みの日はこっそりデートをしたり、スナ君の寮の部屋にお邪魔したり、恋人らしい時間も過ごしてきた。

    それなのに。
    スナ君と待ち合わせはしていなかったけど購買に向かった日、パンが並ぶ棚の前にスナ君をはじめとしたバレー部の面々が揃っていて、その身長に少し圧倒される。順番待ちに並ぼうと近付いた時、アツム君の元気な声で、「スナに彼女はビックリしたけど、ええ感じに女避け出来てるやん、よお考えたなー!」と言っているのが聞こえてきた。

    女避け……?


    どうか否定して、お願い、と祈る私の思いも虚しく、スナ君は一つ大きなため息をついただけだった。
    その姿を見て、私の思考は嫌な方向に振り切っていく。

    なんだ。私のことが好きだから、じゃなくて、女子生徒がまとわりつくのをどうにかしたくて適当な私を引っ掛けた、って事だったのか。
    キスをしたり体を求めたのも、それなりに恋人らしいことをしておかないと、私が逃げるとでも思われていたのだろうか。
    そんなはずないのに。私はすっかりスナ君に惹かれて、日に日にスナ君の事が好きになっていくばかりだったのに。

    購買に向いていた足は反対に向けて、今日はお昼ごはん抜きでいいや、と途中にある自動販売機で飲むヨーグルトを買って教室に戻った。

    5限、6限も不思議と空腹は感じなくて、ただひたすらにこの場所から逃げたくて、早く放課後になれば良いのに、と願っていた。

    そして放課後のチャイムが鳴って教室を出ると、スナ君がこちらに歩いてくるのが見えた。
    私に気付いて控えめに手を振るスナ君に、(本当は私の事なんて好きじゃないくせに)と可愛くない心が顔を出す。
    心をかき乱された苛立ちから手を振り返す気にもならなくて、その日初めてスナ君を無視してしまった。

    なんの理由もなく顔を逸らして歩き出した彼女にどう思っただろうか。
    はっ、可愛くね〜、なんて思ってるのかな。
    好きじゃねぇのバレた?つか今更?とか思ってるのかな。

    嫌な想像が浮かんでは消えて、頭の中を空っぽにするようにただひたすらに昇降口に向かってずんずんと歩く。
    下駄箱からローファーを出したところで、いつかのように手首をぱしっと掴まれる。

    「…🌸、なんかおかしくない?どしたの?何かあった?」

    心配するような演技、上手いなぁと、また可愛くない事を考えてしまう。

    「……何もないよ」
    「嘘。だったらそんな悲しそうな顔しないだろ」
    「……、人目もあるし離して」
    「無理。理由聞くまで離さないから」

    放課後の昇降口。人の数は増えるばかりで、特に女子生徒からの視線が痛い。
    あいつが彼女なんじゃね?と聞こえて来た呟きに、もうすぐ彼女じゃなくなるので大丈夫ですよ、と心の中で返事をする。

    「分かった、話す。でもここじゃ嫌だから、中庭行こ?」

    そう言うと私の手首をしっかり掴んだまま、中庭に繋がる渡り廊下を進んでいくスナ君。
    こんな時にも私の歩幅に合わせるなんて、律儀な人だなぁと思う。

    「で、どうしたの。俺なんかした?」
    「……なんか…、ね、」
    「なんかしたなら言って。すぐ直すから。…だから、無視しないで。苦しくて頭おかしくなりそう」

    そう言って眉根を寄せて苦しそうに話すスナ君に、私の心はぐちゃぐちゃになりそうだった。

    「…スナ君、私を女避けに使ってたって、ほんと?」
    「……ッ!?」

    息を飲んだスナ君に、あぁ本当だったんだ、嘘でもいいから「そんな訳ない」って言って欲しかったな。
    ぼろ、と流れ始めた涙に目の前のスナ君の慌てた様子が伝わってくる。

    「ちょ、女避けって何?俺そんなこと思ったことないんだけど」
    「……そう、ッ、盗み聞きするつもりは無かったんだけど、今日のお昼、購買でアツム君と話してるの聞いちゃって…、女避け、って聞こえた…」
    「…あ、あの時か……」
    「ごめんね、本当に聞くつもりなんてなかったんだけど、…ごめんね、私はスナ君の事本気で好きになっちゃってるから、女避けには使えないよ。…だから、別れッ」
    「それ以上喋ったら怒るよ。」
    「……っ!」

    スナ君のしなやかな指先が私の口を覆って、低い声でそう呟く。その眼光は鋭くて、以前一度だけ私が自分を卑下した時に怒られた時と同じ色をしていた。

    「女避けなわけないだろ。俺だって本気で🌸の事好きだし、そうやって逃げようとしたって絶対逃がさねぇって思ってるし。…女避けってのは、アツムが勝手に言ってることだから気にしないで。あいつ人でなしだから、平気でああいう事言うんだよ。何回も何回も説明したって聞かないから、今日の昼も否定しなかったけど……🌸が聞いてるって知ってたら、その場でアツムに怒鳴り散らして一発殴ってたよ」

    スナ君の言葉に、さらに涙が滲んでくる。
    泣かせてごめん…、と親指で目尻を拭われて、震える頬を両手で包まれると優しくキスを落とされる。

    「好き。何回言っても足りないくらい。キスだって1回じゃ足りないし」

    そう言って顔を近づけてくるスナ君にじわじわと熱くなる頬。その唇を指の先で優しく止めて、「ここ、学校だから、」と見上げれば、「ングゥ……」と耐えるように目を閉じたスナ君。
    ほっとして指を離した途端にまた頬を掴まれて、唇を溶かされちゃうんじゃないかってくらい、熱いキスが降ってくる。

    「分かった?俺🌸のこと閉じ込めて誰にも見せたくないくらいには本気だから。安心して捕まっててよ」

    鍛え上げられた腕と厚い胸板に文字通り閉じ込められて、さっきまでの悲しみや不安はすぅっと溶けて消えてしまった。
    私の耳元で「だから離れないで…」と震える声で呟いたスナ君の、いつもは届かない頭に手を伸ばして優しくさらさらと撫でる。

    もう不安になることなんて、何も無い。

    生まれた隙間をしっかりと埋めるようにぎゅうぎゅうと抱きしめ合った2人を、生い茂った枝葉が隠していた。





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