視線の先「俺のモノなると言え。」
「……」
「国広、言えるな?」
自分を壁に追いやり後ろから挟む形で突いてくる男の顔をちらりと振り返って、覗いてみた。刺すような鋭い眼光。怒っているのか?大倶利伽羅がこんな顔をするのは必死に何か自分に訴えている時だ。国広は先程の問に首を縦に振る。この男の圧に負けたせいではない。もっと別のものに負けてしまった。情けない、国広は頷いた瞬間に後悔した。思考はぶれぶれ、大倶利伽羅の腕の強さに間違いなく幸福を感じる。脳の奥がじんわりと麻痺していくのを感じた。ぐ、と奥まで性器を突き立てられた。銛で突かれた魚みたいに体が跳ねる。国広の細い腰が小刻みに痙攣している。足の指も一本ずつ感じているかのように丁寧に震える。吐く息は絶え絶えで、もはや気持ちいいのか苦しいのかすらわからない。次の瞬間には全身を痙攣させながら深く達していた。死んだと、刀身に罅が入ったのでは無いかと思うくらいの衝撃だったと後で語る。それを良しとしたのか、目の前の恋刀は動きを強くした。両肩を押さえ込むように抱き締めてくる。耳元で聞こえる吐息がまるで獣のよう。ああ、喰われてしまう。自分の身体は成人男性のはずなのに、食われることを望んでいる。これではまるで女ではないか。国広は気がつけば自然と脚を大倶利伽羅の腰に絡めていた。お互いの粗い息づかいが熱に浮かされた頭に響く。荒々しい竜の動きが止まって、腕を掴む力がまた強くなった。
「いっ…」
ああ、これでは身動きが取れない。押し込まれた性器が跳ねているのがわかる。びくっと奥に体液を注ぎ込まれる感触…完全にこの男ものにされたのだと思った。
大倶利伽羅の眼を見ると腹の奥が燃えるように熱い。視線だけで脳全体が震え、歓喜してしまう身体になったことをようやく理解した。
「伽羅、もっと俺を見てくれ……」
「なら言えるだろう?うんと、うんと言え。」
「俺っ、は、伽羅の、ものだっ…!」
もう何度目かわからない絶頂の波がきそうだった。国広は必死で頷いた。体も限界だったし、快感に晒され続けて、でも一番いいところには触れてもらえない気がして。掻きむしりたいのに手が届かないみたいな、気の狂いそうなもどかしさが募っていく。
「顔っ、目がみたい…っ」
「まだだ」
この竜は激しくねちっこい。
瞳を見た瞬間脳が激しく揺れた。まっしろな世界。俺とあんた、二人きり。思い出すのはそのどろどろにとけた熱。