植木鉢に植わった山姥切国広に如雨露で水をかけたら、ゆるゆると目を開く。翡翠色が太陽の光に照らされて、頬が水を弾いて美しい。睫毛にに水滴がきらきら光っている。
起きたらこうして一番初めに水やりをする。昼まで放置するのは絶対だめだ。
縁側へ降りると、国広が水をくれと煩い。今朝は珍しく寝坊をしてしまい朝と言うには日が高い。国広のプランターへ指を突っ込むと太陽熱で土が熱くなっていた。水をあげたら土に水が温められて熱湯になってしまうから国広が弱る。可哀想だが水はあげられない。国広は、ずっと苦しそうだ。
「おおくりから」
国広が俺に囁く。
「みずほしい」
「すまない、今はやれないんだ。」
「ぅ、ひからびてしまう。」
愛おしくて可哀想で、撫でていたら怒ったのか植木鉢の国広が噛みついた。それも愛おしい。大倶利伽羅は根負けして白くねっとりした水を顔にかけてやった。粘着性のあるそれを一生懸命吸収する姿も愛らしい。
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