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    Rm_yk04

    @Rm_yk04

    きつね!!ドッ

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    Rm_yk04

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    捏造いっぱい

    狐雪の過去話独特ない草の匂いに、家に染み付いた鉄の匂い。それと、鼻が曲がりそうなほど強い金木犀の匂い。目を覚ませばいつもこの匂いたちが私を出迎えてくれた。起きて外を見る。雲ひとつない青空に、金木犀が映えていた。小さい頃に、誕生日だからと強請った金木犀。母さんは困ったように笑って、私に金木犀を贈ってくれた。あの頃の金木犀はもう枯れてしまったけれど、強かに種を残していたらしい。今も庭に美しく咲いている。
    「おはよう、お母さんお父さん」
    台所の方向へ声をかける。返事はない。返ってこなくなったのはいつからだったっけ。布団を片付けて服を変える。畳に残った黒ずみはもう消えそうにない。畳を変える気も起きなくてそのままだ。いつからこんな黒ずみ出来たんだっけ。確か最近だったはず。ああそうだ、父さんが死んだ時に
    「…」
    家を出ようと思った。荷物は既にまとめてあった。沢山のお気に入りの服たちに、沢山の装飾品。母さんがよく着てた割烹着と、父さんが最期に残した時計。ごつくて私にはとても似合わないその時計は、こっそりとポケットに入れておくことにした。家を出る理由なんて単純だ。旅をしたくなったから。ただそれだけ。ちゃんと玄関から外に出て、最後に庭にだけ寄り道する。隅の方に置かれた石の前に酒を置いた。父さんが好きでよく飲んでた酒だ。
    「……いってくるね」
    とりあえずは稲妻を出よう。ここにいてもきっと何も変わらない。たしか璃月という国が海上隣国だったはず。どうやってそこにいくかはわからないけど、船に乗ればきっとつくだろう。船に乗るなら離島に行くのが1番早い。からからと下駄を鳴らしながら歩く。多分、この家に帰ってくることは無い。


    稲妻には妖怪がいた。他の国では妖魔と呼ばれるその存在を、稲妻人は特に警戒していた。恐ろしい存在と認識しているからこそ、名前をつけて、知識をつけて、対策を練る。その考えは確かに賢いのかもしれないけど、妖怪たちにとっては都合のいいことだった。なにせ、存在を認知されることは妖怪たちの強さに結びつくから。その関係は段々強くなっていって、いつからか、忘れ去られた妖怪は死ぬようになった。
    母さんは名の知れた悪い妖怪だった。父さんと出会う前までは、毎晩人を襲い、時には喰らい、時には遊びで殺した。そんな母さんが人間の父さんに恋をして、人を襲うのを辞めたのなんて、ただの偶然だ。だけどその偶然は、母さんの人生に大きく影響した。
    私が産まれてから、母さんは年々弱まっていった。人喰らいの妖怪としての母さんの認知度が低くなったからだろう。人々から忘れられていく度に、母さんは弱っていった。私が人間年齢で10の頃に、母さんは床に伏して、そして死んだ。妖怪は何も残さない。骨すら残さずに母さんの存在は消えていった。子供の私を差し置いて、父さんはわんわん泣いていた。涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔はとても見れたものじゃなかった。私の分まで泣いてくれていたのかもしれない。産まれた頃から薄情だった私は、母さんが死んだというのに泣けなかった。だけど、あの日から体の成長は止まっている。何も感じない心の分まで、体は母さんの死を悲しんでいるみたいだった。なんだかおぞましくて、その日から自分の体が怖くなった。
    母さんが死んで、父さんはやつれていった。たまに私を見て、泣いて、抱きしめてはお前だけはと呟くようになった。そんな父さんのところにも限界が来たらしくて、朝、私が起きた時には喉に包丁を刺して死んでいた。さすがにびっくりして、暫くその場にいた。落ち着いた頃に、庭に父さんの墓を作った。成仏してくれたのかはわからないけれど、ちゃんとあの世にいけていたらいい。
    家族を失ってから、暫く家で1人で過ごして、けれど何か違う気がして。だから旅に出た。出た当初は何故なのか分かりもしなかったけど、きっと私は妖怪について知りたかった。ちゃんと知った上で、母さんのように消えて欲しくないと思えるように。
    旅の目的も、家族のことも、まだ皆には話していない。怖かった。また否定されるかもしれなかったから。化け物って蔑まれるかもしれないから。そんな子達じゃないって分かっていても、ちょっとした不安が私を縛り付けている。
    「狐雪ちゃん調子でも悪いの?さっきから食べてないけど。あ、もしかして口に合わなかった…?」
    ぼぅっとしていたら璃瑞が顔を覗き込んできた。私が持っている器の中身はちっとも減ってやしない。
    「ううん、大丈夫」
    笑いかけてから料理に口付ける。美味しい。やっぱり璃瑞の料理は間違いがない。璃瑞も、ネーヴェも私を心配しているようだった。大丈夫、大丈夫だからって笑顔を向けてやり過ごす。いつまで誤魔化し続けるんだろう。自分の汚さには気付かないふりをした。
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    Rm_yk04

    DONE捏造しかない
    1.ポム寮に選ばれたア嬢
    2.薬の取引をする狐
    3.ジが何の人魚なのか話すみんな
    4.先生に怒られるみんな
    5.飛行術下手くそジと天才璃
    6.寮長について話すみんなと気が気じゃないモブ
    いつめんツイステパロ「ポムフィオーレ寮!」

    高らかに宣言した闇の鏡の判定に、思わず口を開けたまま呆然としてしまった。ポムフィオーレ寮。美しい人々が集まる寮。そんな綺麗で豪華な寮に、こんなみすぼらしい私が?闇の鏡に判定の取り消しを頼もうとしても、この学校では闇の鏡の判定が全て。今この場で転寮を請うことなど出来なかった。渋々ポムフィオーレ寮に選ばれた人たちの並ぶ最後列につく。前に並ぶのはやっぱり綺麗な人ばかり。闇の鏡は私の事なんてもはや興味がなくて、新入生の判定を次々に行っている。どうして私はここに選ばれたのだろう。そもそもどうして私はこのナイトレイブンカレッジに選ばれたのだろう。私にはこの学校に入る資格も、ポムフィオーレ寮に入る資格もないはずなのに。ぐるぐると思考が回っているうちに入学式は終わってしまって、それぞれが選ばれた寮に向かうことになった。私に与えられた部屋は十分な広さのある2人部屋だった。同室のパートナーによろしくねと挨拶だけして、荷物を片付ける。入寮式が終わったら寮長に転寮願いを出そう。どこにいくかは決めていないけれど、とにかくここは似合わない。
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    Rm_yk04

    DONE久しぶりの🔩
    ネに監禁されるジ
    解釈違いしかない
    ストックホルムの中心地目を開けると、薄暗い天井が映し出される。ああ、やっぱりかと最近見慣れた景色にうんざりした。起き上がるとじゃらりと鎖の音がして、それが更に不快にさせる。首にかけられた頑丈で重い首輪が外れる気配はない。盛大なため息をついてベッドから降りた。外へと続く扉をノックすると、ピッという音の後に扉が開かれる。随分と重たそうな扉を開いて出てきたのは、見たくもない男の顔だった。

    「おはようジェミニ」
    「うっさい。さっさとここから出せ」

    僕をここに閉じ込めた男は、相も変わらず濁った瞳で笑うだけだった。

    ___

    朝目が覚めたら知らない部屋に閉じ込められていて、おまけに鎖付きの首輪まで付けられていた。監禁されたのかとどこか冷静な頭は判断していて、そしてその判断はまったく間違っていなかった。鎖付きの首輪は特注なのかと疑うくらい質の高いもので、恐らく元素を封じ込める技術が使われているものだ。さっきから何度も元素を使おうと試しているが、元素が答えてくれることはない。きっと常習犯の仕業だろうとアタリをつけた。神の目を持つ者を攫い人身売買の場に出すということはそこまで珍しくない。まためんどくさい事に巻き込まれたものだとジェミニは辟易した。こんな異常事態に対して至極冷静なジェミニを驚かせた唯一の事実は、実行犯が身内だったことだ。いつもと変わらぬ顔で、いつもの様に人当たりのいい笑顔を浮かべて、ネーヴェはジェミニの前に現れた。手にはカードキーが握られていて、おそらくそれがこの部屋から出るための鍵だろう。
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    eikokurobin

    DONE轟爆/雄英2年生
    無自覚でいさせて 朝、ハイツアライアンスのリビングに降りていくと半袖の者がチラホラ目に入った。すぐに6月に入り衣替えが許可されたのだと気が付き、ならば自分も半袖にすれば良かったとチラリと思うが、今から着替えに戻るのも面倒くさいし何よりなるべく早く学校に行きたい。今日のところは自前の個性で蒸し暑さを凌ぐとして足を急がせ、教室に入り目当てを探すと、

    いた。色彩の淡いのがひとり、椅子に座り耳にワイヤレスイヤホンを入れて何かを聴いている。それは、いつも誰より早く登校する、俺の爆豪。

    耳を封じたからといって他人の気配を気にしない男ではないが、そっと足音を忍ばせて近づきわざと耳元でおはようと囁くと、早速距離が近ぇと睨まれる。誰もまだきていない教室に2人きり、しかも恋人の関係でそんなことをいうなんて酷くねェか?と、ちっとも酷いだなんて思っていない口で言いながら唇に唇を寄せると、キスの代わりに鼻の頭を齧られそうになる。おはようのキスひとつ素直にさせてくれないなんて、本当に懐かない猫のような恋人だが、そこがまた可愛いと思ってしまう辺り、自分も中々に重症だと思う。まもなくほかの奴らも登校してくるだろう、それまでのほんの数分だけでも爆豪を眺めていたくて、ひとつ前の席を拝借して向かい合わせに座った所で、
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