Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    Rm_yk04

    @Rm_yk04

    きつね!!ドッ

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 16

    Rm_yk04

    ☆quiet follow

    紫釉とミノラの話〜狐雪を添えて〜
    口調も性格も捏造ばっか

    鱗1枚友情1つ璃月港から離れた山の頂き付近にある小さな湖。紫釉たちはたまたまそこを通りがかった。決して死体を埋める場所を探していたとかではない。ただの偶然だ。そこで、1人の少年を見つけた。水の澄んだ綺麗な湖に尾を浸して、彼は空を眺めていた。一見すればただの人間だ。その特徴的な形をした耳と、湖に浸している魚の尾さえなければ、家出をした少年だと紫釉たちは捉えただろう。魚のヒレに似た形をした耳とは、滅多にお目にかかれない人魚の特徴にぴったりと当てはまった。

    「……人魚なんて珍しいのう。これはいいものを見つけたもんじゃ」

    少年に聞こえるようわざと声を大きくして紫釉は言葉を発した。紫釉の言葉に少年はびくりと肩を揺らし、静かに振り返る。片方だけ見える赤い目がどこか不気味だった。静かに静かに紫釉たちを見つめていた少年は、その小さな口を開く。尖った歯がちらりと覗いた。

    「鱗1枚で許してはくれませんか?」

    この提案に紫釉は目をぱちくりとさせた。逃げることもせず、それどころか妥協案を示してくるとは。思っていなかったことだった。くつくつと喉の奥で笑い、紫釉は少年を逃さぬようしっかりと視界に入れる。元々商品として価値の高い彼を逃すつもりはない。

    「お主も酷なことを言うのォ。1億が目の前に落ちているのに、100万で満足しろと言っているようなもんじゃよ?そんな妥協出来るわけなかろう?」

    努めて穏やかに紫釉は言葉を口にした。内容は穏やかとは程遠いものだが、目的は対象に恐怖を植え付けることだ。ちぐはぐな人間というのは、恐怖を植え付けるのに丁度いい。わざとそういった人間を演じた紫釉だったが、少年は紫釉の目論見通りとはいってくれなかった。恐怖なんて知らないとでも言いたげに、それどころか紫釉のことなんて大して脅威に思っていないとでも言いたげに、少年は首を傾げて呑気に「どうしよう」なんて呟いている。

    「10枚だったらどうですか?」
    「……100万×10はわかるかの?」
    「1000万ですね」
    「1億には程遠いのォ」

    更なる妥協案にも、紫釉は応じない。目の前の1億を一銭でも減らす真似をしたくなかった。段々と紫釉の連れが騒がしくなる。いい加減交渉の真似事にも飽きたのだろう。連れの1人が少年に近づいた。少年は男を見上げる。第3者からみればどちらが悪者かは一目瞭然だった。

    「ボス、とりあえず逃げねぇように足の健でも切っときやしょうぜ」
    「馬鹿言え。商品に傷をつける気か?価値が下がるだろうが」
    「…っす。すんません」
    「とりあえず錠持ってこい。手足縛るぞ」

    紫釉の一言で連れの男たちが動き出す。大きな箱の中から金属で出来た重く厳つい錠が姿を現した。それが1つにととまらず、2つになる。本格的に自分を拉致しようとする存在に、少年はこれもまた恐怖を感じることなく困るだけだった。この場に似合わず呑気で、下手すれば何も考えてなさそうにさえ見える。うーんと考え込む少年は、独り言を呟きつつも、紫釉たちへの視線は外さなかった。

    「どうしようかな……。狐雪さんなら上手く切り抜けそうだけど」
    「……お主、今なんと言うた?」

    ぴくり、紫釉の肩が動く。聞き馴染みのある名前だ。最近よく聞くようになった、紫釉にしては珍しく仕事関連で聞く訳では無い名前。名前を口にした少年は、不思議そうに紫釉を見る。

    「のォお主、今誰の名前を呼んだ?」
    「え、っと、狐雪さんです。私の友達の名前ですよ」

    狐雪。紫釉は少年の言った名前を復唱した。少しして、紫釉の顔がぱっと笑顔に変わる。先程までの怖い雰囲気など微塵もない。そこにいるのはただ気の良さそうな青年だ。

    「お主あの嬢ちゃんのお友達か!それなら話は別じゃな。わしは金より友をとるタイプじゃからのォ」
    「えっと、見逃してくれるんですか?」
    「そうじゃそうじゃ。いやぁ失礼なことをしたのォ。狐雪の嬢ちゃんはわしのお友達でもあるんじゃよ。お友達のお友達はわしのお友達でもある。つまりお主とわしはお友達じゃ!」
    「あ、ありがとうございます?……まあ、とりあえず、これどうぞ」

    少年は紫釉に1枚の鱗を渡した。太陽の光を受けてきらきらと反射するその鱗は、青緑が透けた半透明でとても綺麗だ。形も綺麗で歪んでいる部分はない。商品としての価値は計り知れない代物だ。

    「……見逃してやると言うておるのに、何故自身を傷つけてまで渡すんじゃ?」
    「私からしたらゴミも同然の物ですから、どうせなら価値を見つけれる人に渡そうかと思って。貴方が私を見つけたときから剥がしていた物なんですよ、それ」

    笑みを浮かべながら少年は言った。ほら、と少年が指を指したところには、確かに小さな穴が空いたかのように鱗がなくなっている。

    「……お主、さては最初から逃げる気じゃったな?」
    「ええ。もう捕まるのは飽きたので。……1億持ってる男が何も置いていかずに逃げたら追いかけたくなるかもしれませんが、100万置いてってたらとりあえずそれで許してやろうって気になりそうじゃないですか」

    あっけらかんと言い放つ少年に、紫釉はぱちぱちと目を瞬かせた。紫釉の語った例に倣った少年の話は、たしかにそうかもしれないと納得させるものだった。紫釉なら無理に追うことはせずに、置いていった鱗を最大限活用するだろう。そう考えると笑いが抑えられなかった。何も考えてなさそうに見えたが、中々面白いことを考えていたらしい。

    「面白いやつじゃのォ!お主、名前はなんと言うんじゃ?」
    「ミノラです。ミノラ・カインシ」
    「わしは紫釉。わしらいいお友達になれそうじゃのう」

    鱗を散々眺めてから、紫釉は鱗を連れに渡した。決して割れることなんてないように、丁寧にそっと渡した紫釉を見て、連れもその鱗を丁重に扱う。おお、と感嘆の声が連れから漏れた。鱗の美しさに見蕩れたからか、連れはその場を動こうとしない。

    「オクに出せばいくらになると思う?」
    「……恐らく300万は下らないかと」
    「そうかそうか。これはいい拾い物をしたのォ」

    紫釉は連れに耳打ちした。保管方法から売り捌く方法まで、1つ1つ細かく指示をして連れに「行け」と命令する。連れは言われたことを実行するためにどこかへ向かっていった。さっきから上機嫌な紫釉は少年、もといミノラに笑顔で話しかける。

    「ミノラ、良かったらご飯でも食いに行かんか?わしの奢りじゃ」
    「いいです。璃月港人が多くて苦手なんです」
    「それじゃあわしの部下に何か作らせよう。とにかく一緒にご飯じゃご飯」

    紫釉がミノラの手を取る。気がつけばミノラの尾は人間の足に変わっていた。紫釉はミノラの手を引いて歩き出す。新しく出来たお友達の存在に、紫釉はわくわくしていた。それはミノラも同じであることは、誰にもわからない事実だ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    Rm_yk04

    DONE捏造しかない
    1.ポム寮に選ばれたア嬢
    2.薬の取引をする狐
    3.ジが何の人魚なのか話すみんな
    4.先生に怒られるみんな
    5.飛行術下手くそジと天才璃
    6.寮長について話すみんなと気が気じゃないモブ
    いつめんツイステパロ「ポムフィオーレ寮!」

    高らかに宣言した闇の鏡の判定に、思わず口を開けたまま呆然としてしまった。ポムフィオーレ寮。美しい人々が集まる寮。そんな綺麗で豪華な寮に、こんなみすぼらしい私が?闇の鏡に判定の取り消しを頼もうとしても、この学校では闇の鏡の判定が全て。今この場で転寮を請うことなど出来なかった。渋々ポムフィオーレ寮に選ばれた人たちの並ぶ最後列につく。前に並ぶのはやっぱり綺麗な人ばかり。闇の鏡は私の事なんてもはや興味がなくて、新入生の判定を次々に行っている。どうして私はここに選ばれたのだろう。そもそもどうして私はこのナイトレイブンカレッジに選ばれたのだろう。私にはこの学校に入る資格も、ポムフィオーレ寮に入る資格もないはずなのに。ぐるぐると思考が回っているうちに入学式は終わってしまって、それぞれが選ばれた寮に向かうことになった。私に与えられた部屋は十分な広さのある2人部屋だった。同室のパートナーによろしくねと挨拶だけして、荷物を片付ける。入寮式が終わったら寮長に転寮願いを出そう。どこにいくかは決めていないけれど、とにかくここは似合わない。
    6939

    Rm_yk04

    DONE久しぶりの🔩
    ネに監禁されるジ
    解釈違いしかない
    ストックホルムの中心地目を開けると、薄暗い天井が映し出される。ああ、やっぱりかと最近見慣れた景色にうんざりした。起き上がるとじゃらりと鎖の音がして、それが更に不快にさせる。首にかけられた頑丈で重い首輪が外れる気配はない。盛大なため息をついてベッドから降りた。外へと続く扉をノックすると、ピッという音の後に扉が開かれる。随分と重たそうな扉を開いて出てきたのは、見たくもない男の顔だった。

    「おはようジェミニ」
    「うっさい。さっさとここから出せ」

    僕をここに閉じ込めた男は、相も変わらず濁った瞳で笑うだけだった。

    ___

    朝目が覚めたら知らない部屋に閉じ込められていて、おまけに鎖付きの首輪まで付けられていた。監禁されたのかとどこか冷静な頭は判断していて、そしてその判断はまったく間違っていなかった。鎖付きの首輪は特注なのかと疑うくらい質の高いもので、恐らく元素を封じ込める技術が使われているものだ。さっきから何度も元素を使おうと試しているが、元素が答えてくれることはない。きっと常習犯の仕業だろうとアタリをつけた。神の目を持つ者を攫い人身売買の場に出すということはそこまで珍しくない。まためんどくさい事に巻き込まれたものだとジェミニは辟易した。こんな異常事態に対して至極冷静なジェミニを驚かせた唯一の事実は、実行犯が身内だったことだ。いつもと変わらぬ顔で、いつもの様に人当たりのいい笑顔を浮かべて、ネーヴェはジェミニの前に現れた。手にはカードキーが握られていて、おそらくそれがこの部屋から出るための鍵だろう。
    6182

    recommended works