おいていく死が近づいていると、狐雪は感じていた。怪我の治りが遅くなった。頭が痛むことが増えた。肌がひび割れたように体に亀裂が入っていた。恐らく寿命を迎えているのだろうと、狐雪はひしひしと感じていた。みんなに打ち明けるかどうかを、狐雪は迷っていた。唯一人間ではない狐雪が真っ先に死ぬなど、誰も考えていないだろうから。きっと大きなショックを与えてしまうと思ったから。様々な理由から、狐雪はこの大きな秘密をひた隠しにしている。限界だと感じたら、こっそりと逃げ出し人知れず死のうと考えていた。それは、叶わなかったが。
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「雪と2人だけで探索に出かけるのは久しぶりね」
「そうだね。いつもは荷物持ちとしてネーヴェかジェミニのどっちかが着いてきてたから」
1993