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    Rm_yk04

    @Rm_yk04

    きつね!!ドッ

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    Rm_yk04

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    汚い

    ジェミニが吐く話吐き気を催すほどの邪悪など存在しない。目の前で家族を殺され嘲り笑われたくらいで、こんな気持ち悪いものが催されてたまるもんか。存在しないというより、存在しないで欲しい。そんな現実逃避をしながらジェミニは目的の場所へ向かっていた。腹が張り、体が寒くて震え、脂汗が滲み、ひたすらに口に唾が溜まる状況であろうと、歩みを止めることはなかった。吐き気の原因なんてどうでもいい。どうせ食べ過ぎとかそんなんだ。住宅地の入り組んだ道を迷うことなく進んで、ある家の前で止まった。少し屈んだ体勢で、口元をおさえながらインターホンを押す。とたとたと軽い足音が聞こえてきて、扉が開いた。人が迎えるのも待たずにジェミニは中に駆け込む。ちょっと、という制止の声が聞こえたが知らんぷりだ。トイレの便器を上げ、そこでようやくジェミニは吐瀉物を吐き出すことが出来た。

    「う、ぇっ、っぐ、……はっ、は、ぁ」

    腹の中身全部ぶちまける勢いで嘔吐く。薄橙とも茶色ともとれない色のぐちゃぐちゃが水に浮かぶ。肉の破片みたいなものがあった。ああそういえば、あのパンにはベーコンが挟まっていたような。

    「う゛っ、ぇ、っか゛、ぁ」
    「……そんなことだろうと思った。はい水」

    再度襲ってきた吐き気に抗いもせずまた吐いてれば、閉めたはずの扉が開けられて誰かの声がかかる。喉の痛みと口の気持ち悪さに顔を歪めながら振り向いた。コップに並々と注がれた水がまず目に入る。奪い取るようにコップを取って中の水を口にした。口腔に残っていた吐瀉物が水と混ざる。とても飲み込む気になれない。便器に吐き出せば濁った水が唾とともに浮いた。

    「ジェミニは別に虚弱じゃない、って記憶してるんだけど」
    「そうだけど?……はぁ、っ。きもちわる、」
    「なんで私のとこに来るかなあ」
    「近かったんだもん」
    「今授業中なの理解してる?」
    「してるわけないだろ。狐雪ってそんなにバカだった?」

    2、3度うがいを繰り返して、水がなくなったから、ジェミニはコップを返した。コップを返された狐雪はため息をついて、複雑そうな顔をして去っていく。多分キッチンにコップを片付けにいったんだろう。それか外に出てコップを割りに行ったか。ー、と声を出してみる。喉がイガイガするし痛い。気持ち悪い。うがいしたとはいえ暫くは残るだろう気持ち悪さに辟易とした。吐くこと自体は初体験ではないが、経験するだけ損だと毎度思う。
    大と書かれている方のボタンを押して水を流した。これで吐瀉物ともおさらばだ。腹ももう苦しくないし、吐き気も込み上げてこない。あとは喉の痛みと口の気持ち悪ささえ消えればパーフェクトだ。

    「ジェミニくん。終わったなら帰って」
    「はいはい邪魔したね先生。帰りケーキ買ってきてよ」
    「やだ」

    不機嫌そうな狐雪に押し出されるようにその家を出た。家と言うよりは教室が正しい気もするがどうでもいい。

    「あ、そういえば四限あるっけ」

    まあいいやサボろう。気分悪いし。迷うことなくそう決断して次の電車は何時だったかとスマホを取り出す。15分後と書かれた出発時刻を目にして、ジェミニは駆け足で駅へ向かった。


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    Rm_yk04

    DONE捏造しかない
    1.ポム寮に選ばれたア嬢
    2.薬の取引をする狐
    3.ジが何の人魚なのか話すみんな
    4.先生に怒られるみんな
    5.飛行術下手くそジと天才璃
    6.寮長について話すみんなと気が気じゃないモブ
    いつめんツイステパロ「ポムフィオーレ寮!」

    高らかに宣言した闇の鏡の判定に、思わず口を開けたまま呆然としてしまった。ポムフィオーレ寮。美しい人々が集まる寮。そんな綺麗で豪華な寮に、こんなみすぼらしい私が?闇の鏡に判定の取り消しを頼もうとしても、この学校では闇の鏡の判定が全て。今この場で転寮を請うことなど出来なかった。渋々ポムフィオーレ寮に選ばれた人たちの並ぶ最後列につく。前に並ぶのはやっぱり綺麗な人ばかり。闇の鏡は私の事なんてもはや興味がなくて、新入生の判定を次々に行っている。どうして私はここに選ばれたのだろう。そもそもどうして私はこのナイトレイブンカレッジに選ばれたのだろう。私にはこの学校に入る資格も、ポムフィオーレ寮に入る資格もないはずなのに。ぐるぐると思考が回っているうちに入学式は終わってしまって、それぞれが選ばれた寮に向かうことになった。私に与えられた部屋は十分な広さのある2人部屋だった。同室のパートナーによろしくねと挨拶だけして、荷物を片付ける。入寮式が終わったら寮長に転寮願いを出そう。どこにいくかは決めていないけれど、とにかくここは似合わない。
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    Rm_yk04

    DONE久しぶりの🔩
    ネに監禁されるジ
    解釈違いしかない
    ストックホルムの中心地目を開けると、薄暗い天井が映し出される。ああ、やっぱりかと最近見慣れた景色にうんざりした。起き上がるとじゃらりと鎖の音がして、それが更に不快にさせる。首にかけられた頑丈で重い首輪が外れる気配はない。盛大なため息をついてベッドから降りた。外へと続く扉をノックすると、ピッという音の後に扉が開かれる。随分と重たそうな扉を開いて出てきたのは、見たくもない男の顔だった。

    「おはようジェミニ」
    「うっさい。さっさとここから出せ」

    僕をここに閉じ込めた男は、相も変わらず濁った瞳で笑うだけだった。

    ___

    朝目が覚めたら知らない部屋に閉じ込められていて、おまけに鎖付きの首輪まで付けられていた。監禁されたのかとどこか冷静な頭は判断していて、そしてその判断はまったく間違っていなかった。鎖付きの首輪は特注なのかと疑うくらい質の高いもので、恐らく元素を封じ込める技術が使われているものだ。さっきから何度も元素を使おうと試しているが、元素が答えてくれることはない。きっと常習犯の仕業だろうとアタリをつけた。神の目を持つ者を攫い人身売買の場に出すということはそこまで珍しくない。まためんどくさい事に巻き込まれたものだとジェミニは辟易した。こんな異常事態に対して至極冷静なジェミニを驚かせた唯一の事実は、実行犯が身内だったことだ。いつもと変わらぬ顔で、いつもの様に人当たりのいい笑顔を浮かべて、ネーヴェはジェミニの前に現れた。手にはカードキーが握られていて、おそらくそれがこの部屋から出るための鍵だろう。
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