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    sanga2paper

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    #モザイクの魔術師 5②
    考えたら編集できるから、場所作っとけば書き途中でも全然大丈夫なんだな…

    ☆☆(語り手・ゼンダ)


    「俺も勤務中に話聞きにこられてな。のらりくらりとしてはいたが、聞くことは聞いてる。ふざけてんのはポーズで、その実マジメなタイプだ、あれは」
    ゴウマワリ先輩は電話の向こうで明るい声を響かせた。

    海猫先生と、昼に半端な冷麦片付けるかーなんて話してたら、ゴウマワリ先輩から電話がかかってきた。今朝方、水脈が天雄に俺のことを聞きに来たという。
    「にしても、なんで俺のことなんか」
    「それがな」
    明るい声がにわかに澱んだ。
    「ナガム先生が、お前が元気すぎるのはおかしいんじゃないか、石を違法に持ってるんじゃないか、って告発したらしいんだ…ほら、6月の石婚式の時さ。お前MSPで倒れたの、ナガム先生にも教えたはずなんだけどな。流石に冗談だろうと思ってたのに、本当に水脈が来た」
    師匠。
    ここ数年、身体が丈夫になってきた自覚はあった。地味にトレーニングを積んできた甲斐があったと思っていたのに。
    …そんな疑われ方、するとはな。
    「まぁでも、大丈夫だろ? 水脈も形式的にって言ってたし、俺たちに口止めするでもなかった。大体お前、沙金で水脈に会ってるんだろ? そん時になんもなかったんなら、心配することないさ」
    今兼でのことは、とうてい「何もなかった」とは言えなかったが、先輩には「ええまあ」とだけですませた。説明できる気もしない。


    『第二段階…なっ…わかっ…すげえ…量の…石が、体に…』
    リュウグウノツカイの力が暴走する直前、ハタさんは何かを伝えようとしていた。
    リュウグウになると、ソーサライト及びソーサライトを溶かした人間の血肉を欲する。だから石の気配には敏感だし、高濃度に石が溶けた俺の目はリュウグウの格好の獲物のはずだ。
    だが、ハタさんは俺を襲わなかった。
    なぜだ?
    俺一人分の石より、隣の部屋の何十人もの魔法使いが持つ石の方がお得だったのか?
    もしかしたら、あの中にコッソリ重婚してる奴がいたのか?
    …リュウグウの考えることなんか、俺にわかるはずもなかった。
    けどその疑問はずっと、小さな切り傷のように俺の心をムズつかせていた。

    水脈は、俺の何を調べているんだ?


    電話を切ったら、かりんから携帯にメールが来た。
    『水脈の人に坂の上茶房でフルーツあんみつすすめられてます。食べてもいいですか』
    何が起きてんだ。
    サングラスを外して、茶房を見た。本当にいる。
    向かいに座ってる奴の顔に、見覚えはあった。今兼で、ハタさんを引き取りに来た奴だ。来て早々俺は倒れてしまったから、顔くらいしか覚えてない。天雄に行ったのもこいつだろうか。
    それより、かりんの様子が気になった。顔が赤くて少しぼんやりしている。暑さでバテてるのか。
    暑いからといって寄り道したりジュース買ったりしない子が、そんな状態で、初対面の男と喫茶店に入っている。
    何が起きてんだ。

    海猫先生に簡単に状況を説明して、坂の上茶房に瞬間移動した。
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