クリスマスのラブレター「――ああ、本当だ。ヴェインだって丸分かりの文字だな」
自室へ向う途中、ランスロットは楽しげに話すアーサーとグランの姿を見掛けた。年齢が近い彼らは、いつの間にか意気投合したのだなと微笑ましく見ていたけれど、ヴェインの名前が聞こえ、つい近づいてしまった。
アーサーの手には見覚えのある便箋。
どうやら、ヴェインがサンタクロースになりきって書いた手紙が、偽物だとバレたようだ。
そっと近づいて覗き込んだ手紙には、元気な文字がクリーム色の便箋の上で踊っていた。
紛れもなくヴェインの筆跡だ。
(あいつ、少しは筆跡を誤魔化せばいいのに)
彼らしいといえば彼らしいが。
手紙をしたためていたヴェインの姿を思い出し、口元に微笑みが浮かんでしまった。
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