きらきらかがやく(隆景+信乃) 日中の好天のせいでオレンジというよりも真っ赤に染まっていた空が徐々に紫へと変わり暗くなっていく。そんな秒単位で変化する光景を窓の向こうに眺めながら隆景は大きく背筋を伸ばした。コウ様は県外へ出張中、あのいけ好かない男は本業の方のトレーニング中。そんなわけでこの部屋には隆景と宿題を片付けている信乃だけいかいない。
珍しく仕事の片が付いたのだ、今日くらい残業も無く帰ってもいいかもしれない。そんなことを思いながら机を片付けていく。向かいの席の信乃は相変わらず学校の宿題に唸ったまま。
「信乃、俺はもう帰る予定だがお前はどうする?そういえば今日はコウ様は出張だがお前は夜どうするつもりなんだ」
ロッカーからコートを取り出しながら尋ねれば、丸い紫色の瞳がこっちを見上げる。手元にある問題はどうやら物理らしい。遠い昔の記憶を引っ張り出してみたけれどちらりと見える問題は一問も解けそうにない。それを唸りながらでも答えを見ることなく順調に解いていっているのだからやはり頭のいい子だと思う。
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