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    r__iy1105

    田中新兵衛に心を狂わされた
    禪院直哉は可愛いと思う

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    r__iy1105

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    呟いてたバーテンダー髙の羂髙で、hrhnの二人がバーに来る話。夏が髙のガチ勢と言う話

    羂索とコンビを組んでから、忙しくなって中々入れなかったバーのバイトに漸く入れた。
    ゆったりとした時間の中、グラスを拭きながら次のネタを考える。
    羂索に出されたのは、ネタを十個考えて来る事。
    どうせ何個か、いや全部没にされるかもしれないが、それでも考えないといけない。
    「……相方だもんな」
    色々あったが羂索と組めたのは、運命と呼ぶしかなかった。
    全てにおいて、羂索は俺と息がぴったりだった。
    俺に付いてきてくれて、尚且つその上俺と一緒に上を目指してくれる。
    お笑い第一で、ちゃんと隣に居てくれる相方。
    だから羂索があの日、頼んで俺に手渡してくれたカクテルは合っていたのだ。
    「ホーセズネック。運命……か」
    あの日以来、何故かホーセズネックの注文はパタリと途絶えてしまった。
    頼むにしても、先輩かマスターが作ってしまう。
    俺が作ろうとすると客からも止められて、絶対に作らないでと言われるのだ。
    レシピも合ってるのに、俺が作るとホーセズネックが不味くなるのだろうかと不安を覚える。
    そんな事を考えていると、バーのドアが開きカランとドアベルの音が響いた。
    「いらっしゃ……え、祓本のお二人!?」
    入ってきた二人組に、バーテンダーとしては失格だが思わず声が出てしまった。
    何せ入ってきたのは祓ったれ本舗の二人で、テンションが上がらない方が無理だった。
    俺の声にムッとした表情を浮かべているのは、美形で有名過ぎる五条悟君だった。
    おっさんに騒がれたら、それは嫌だろうなと思う。
    申し訳ないから、最初の一杯は俺が奢ろうと心に決めた。
    「お、居るぽいな。傑ー、今日は居るぜ。例のあの人」
    俺の姿を確認した五条君が、外に居る誰かに声を掛けていた。
    例のあと人って、某魔法使い小説のあの人かよと心の中でつっこみを入れる。
    「本当かい、悟?あ、本当だ。こんばんは、髙羽さん」
    ひょいっと顔を見せたのは羂索ではなく、五条君の相方の夏油君だった。
    羂索と夏油君は双子らしいが、仲は悪いと聞かされていた。
    子供の頃はそれなりに仲が良かったみたいだけど、喧嘩の理由が同担拒否って言われて首を傾げるしかなかった。
    二人が同じアイドルでも好きなのかと思って、それを言ったら普段の十倍のロジハラを受けて俺は泣いた。
    同担拒否ってアイドルファンが使う言葉だと思っていたが、どうやらそう言う意味ではないらしい。
    難しいなと羂索の事を考えながら、カウンター席に座った二人に注文内容を問い掛ける。
    「改めて、いらっしゃい。ご注文は?あ、五条君はノンアルだよね」
    「分かってるじゃん。シンデレラで」
    「五条君は、シンデレラね。いや、五条君の下戸は有名だから。匂いも駄目なら、ちょっと離れた所で作るから遠慮なく言ってね?」
    下戸の人の中には、アルコールの匂いだけでも酔ってしまう人が居る。
    アルコールは揮発性が高いから、同じ空間に居る時点で逃げ場所はないが離れた場所で作る事は出来る。
    少しでも救済策があるなら、その対応をするのも俺の役目だ。
    すると、五条君は少し驚いた様に既に大きな目を更に丸くしていた。
    「……ふーん。匂いはまぁ、平気だから」
    ふいっと顔を横に逸らされて、気に障ることでも言ったかと不安にかられた。
    「悟。いくら客だからって、横柄な態度は良くないよ。すみません、髙羽さん。悟の奴、ちょっと照れたみたいで。あ、私は……そうだな。髙羽さんのおすすめのカクテルがいいな。ノンアルでもどちらでもいいですよ」
    「かしこまりました。まずはシンデレラから」
    夏油君からおすすめのカクテルと言われて、何にしようかと考える。
    既に五条君から、注文を受けているシンデレラを作る事にした。
    オレンジジュースとレモンジュース、そしてパイナップルジュース、氷をシェーカーに入れてシェークする。
    シャンパングラスに注いで、五条君の元へとそっと運ぶ。
    「お待たせいたしました。シンデレラです」
    「本当にバーテンダーやってんだ。シェークすんの上手いじゃん」
    「その内、隠し芸で披露しようと思ってるんで!」
    「いや、すんなよ。面倒になるし」
    「ガーン。え、面倒?」
    面倒って何だろうと思いつつも、夏油君から頼まれた俺のおすすめカクテルを考える。
    何れにするかと悩んでいると、カランとドアベルが鳴り響いた。
    「げっ」
    「うわっ」
    「えー」
    俺が声を掛けるよりも先に、三人分の声がして顔を上げて驚く。
    「あ、羂索」
    店の中に入ってきたのはら俺の相方の羂索だった。
    今日は用事があるから来ないって言ってたのに、こうして来てくれるのは嬉しく思う。
    でも、その嬉しさは三人が口を開いた瞬間に打ち砕かれる事になった。
    「髙羽。この二人摘まみ出しなよ、女の子が襲われるから」
    「それならお前が帰れよ。俺まだ飲んでるんですぅ」
    「私も注文中だからね、帰りなよ」
    「出禁にしないかい、この二人」
    「ねぇ、俺がいらっしゃいませ言うタイミングないんだけど!?ここのバーテンダーだよ、俺ぇ!」
    祓本の二人と羂索が居るから、もうこの際貸し切りにしてしまおう。
    マスターに事情を話せば分かって貰えるだろうと思いつつ、ドアを開けて札をクローズの表示に変えた。
    店の中は相変わらずうるさい状態で、とてもじゃないが他のお客さん入れられる状態ではない。
    羂索に注文を取るのは後回しにして、思い付いた夏油君へのカクテルを作り始めた。
    氷を入れたタンブラーグラスに、カンパリとオレンジジュースを入れてステアする。
    そこに切ったオレンジを飾って、夏油君の前へと差し出す。
    「はい、夏油君。俺のおすすめで、カンパリ・オレンジ!女の子に人気のカクテルだけど、夏油君の誕生日カクテルでさ。良かったら……夏油君、二月三日だよね?誕生日」
    差し出されたカクテルを、夏油君が何も言わずにじっと見つめているだけで冷や汗が出る。
    羂索と双子だから、黙られるとロジハラが来るのではないかと構えてしまう。
    「髙羽さん、誕生日覚えてくれてたんですね。合ってますよ、ではいただきま」
    「え?」
    夏油君が嬉しそうに笑ってくれてホッとしたのも束の間、隣から手が伸びてきて俺が作ったカンパリ・オレンジを羂索が飲み干す。
    うわーと五条君の声が響き、夏油君の額に青筋が浮かぶ。
    「それ、私のだけど?」
    「私も同じ誕生日だからいいだろ」
    何処かでカーンと音を立ててゴングが鳴り響き、羂索と夏油君が口喧嘩を始めていた。
    流石に暴れられると困るし、止めには入ったが二人は言う事を聞かない。
    店にはそれなりに高い酒もあるし、グラスを割られるのも痛い。
    落ち着いてと言っても聞かない二人に、何処から出したかは内緒のハリセンで二人の頭を思い切り叩く。
    「おい!喧嘩するなら外でやれ!俺はステレオタイプの芸人だから、暴力肯定派だけどな!ここはバーなの!喧嘩するなら外!分かったらごめんなさいして、外で喧嘩の続きしてこい!」
    俺に叩かれた事に驚いたのか、二人は呆然としてこちらを見て固まっていた。
    全くと言いながら、バーカウンターの中へと戻る。
    「髙羽って意外と強いんだ?」
    「いや、黙っていられない質なだけ。五条君、次は何飲む?うるさくしたから、二杯目も俺が奢るけど」
    「俺が出すし、いいって。ならおすすめのノンアルで」
    「かしこまりました」
    おすすめのノンアルカクテルを思い浮かべていると、二人が俺を見て何かを言っていたが聞こえはしなかった。



    「髙羽さん、ごめんなさい派なんだ」
    「たまにはいいかもしれないけど、髙羽は私の相方だからな」

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