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    r__iy1105

    田中新兵衛に心を狂わされた
    禪院直哉は可愛いと思う

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    r__iy1105

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    再放送
    羂髙前提の夏髙NTRに行こうとして挫折したけど続き書こうかなってやつ。フ◯ンタ学園ネタ

    蝉の声が響く猛暑の外とは違い、この教室は猛暑対策の為に去年からクーラーが設置された。
    補講用に配られているプリントの問題は、正直五分もあれば解ける問題だ。
    でも、私は敢えて分からないふりをして担任の先生に問い掛ける。
    「髙羽先生、分かりません」
    「プリント配って秒で言われると、流石に傷付くぞ!?夏油君、他の教科はちゃんと出来るって聞いたけど」
    他の教科は教師に興味が無いから、適当にいい点数を取ってご機嫌取りをして居るだけの話。
    自分の教科だけ点数が取れなければ、否応無しに関心は私へと向く。
    ただそれだけの事なのに、面白いくらいに担任である史彦さんは策にはまってくれた。
    「んー?そうですか?成績に興味なくて」
    大学に行くなら色々とやるべきなのだろうけど、生憎そこまで興味はない。
    私が興味があるのは、目の前に居る史彦君だけだった。
    「そう言っても、受験とかあるからさ。嫌でも俺が成績上げてやるぜ!で、一問目だよな。これは」
    教卓から移動して私の座る席の前に来た史彦君は、プリントを確認するために手を伸ばされる。
    その手の薬指には、輝く結婚指輪が嵌められていた。
    何時もは外しているのに、今日は着けている。
    嫌なことを思い出して、顔が歪むのを必死に耐えていた。
    「それで……夏油君、体調悪かった?」
    「え?いや、大丈夫ですよ」
    「そう?難しい顔してたからさ、気になって。今日が無理だったら別の日でも」
    「今日でいいです!いや、今日にしてください!悟も今日は居ないので」
    「お、おう?それなら、最初から説明し直すな?」
    私の剣幕に気圧された史彦君は、ちょっと驚きつつももう一度説明を始めてくれた。
    優しく教えてくれる史彦君を見つめながら、今日が何の日かを私は知っていた。
    憎らしいくらいに私にそっくりな顔をした従兄弟が、家に史彦君を連れてきた日。
    私は柄にもなく、史彦君に一目惚れをしたのだ。
    でもその日の内に、私は失恋をする羽目になるとも知らずに。
    「傑。これあげるから五条とコンビニでお菓子を買いな」
    手渡された小遣いを握って、悟に連絡をしたが生憎悟は用事があったらしく断られた。
    仕方無く一人でコンビニでアイスを買って家に戻ると、一目惚れをした史彦さんと従兄弟がキスをしていた。
    そこからの記憶は曖昧だが、従兄弟と史彦さんがトントン拍子で結婚をしたのは言うまでもない。
    「それで」
    「……今日、結婚記念日でしたっけ?」
    「へ!?」
    説明をしてくれる史彦さんを遮って、私は結婚指輪を嵌めている理由を突き付けた。
    突然の事に焦って、教師の仮面が取れていく史彦君が可愛くて仕方がない。
    教師らしく変な事を言うなとか、プライベートですと言って私に注意をすればいいのに。
    それが出来ないから、史彦君は隙が多いのだ。
    結婚指輪を嵌めている手に手を重ねて、薬指に鎮座する指輪を指で取るように上に上にと動かす。
    「す、傑君!教師をからかうのは」
    「史彦くん、学校だよ?」
    結婚した相手の親族だからと言う理由で、私の事を名前で呼んでくれる。
    でもそれは、学校ではないプライベートな時のみと決められていた。
    それを史彦くんの方が崩したのだから、私が遠慮する事はない。
    「あっ、げ、夏油君。教師をからかうものじゃないぞ!ほら、もん、だ……い」
    「教師ならこの指輪。外してくれるよね?私は先生の生徒なんだからさ」
    第一関節まで上げた指輪を撫でると、史彦くんは視線を左右に揺らしていた。
    一年に一回だけの結婚記念日、その日だけは史彦くんは髙羽史彦ではなく夏油史彦になる。
    だから、この日だけは結婚指輪を嵌めて出勤する約束を兄としているのを私は知っている。
    そして、何よりその約束を史彦くんが大切にしているのも。
    従兄弟である羂索を本気で愛している事も。
    「これだけはダメだから」
    「うん。知ってる、だけど私は史彦くんの生徒だよ?」
    「う、そうだけどさ。でもこれは」
    「史彦くん、一瞬だけ」
    音を立てて指輪が指から抜けた瞬間、私は無防備に開かれた史彦くんの唇にキスをした。
    ドアの小窓から私とそっくりなシルエットが映るのを横目に見ながら、驚きに目を見開く史彦くんに笑みを浮かべたのだった。
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