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    r__iy1105

    田中新兵衛に心を狂わされた
    禪院直哉は可愛いと思う

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    r__iy1105

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    エイプリルフールは明日ですね。早漏なので放流させました。バーテンダー髙🪶の羂髙のエイプリルフールとドッキリを掛け合わせました。

    「羂索、話があるんだ」
    何時になく真剣な髙羽が、私に声を掛けてきた。
    これが髙羽の部屋だったり、楽屋だったりすれば何かあったのだと思うだろう。
    問題はこの場所が、髙羽がバイトするバーである事だった。
    この場所では、私と髙羽は客とバーテンダーの関係である。
    その取り決めをしたのは、他でもない髙羽自身。
    バーに居る自分は、飽くまでもバーテンダーであって客を特別扱いはしないと。
    バーテンダーとしてのプライドは、嫌いではなかった。
    だから了承したと言うのに、髙羽がその取り決めを崩したのだ。
    注文したホーセズネックのレモンの皮に、向けていた視線を髙羽へと向ける。
    「髙羽。それはバーテンダーとして?もしくは、相方として?あぁ、一人の男としての線もあるか。で、何れだい?」
    「全部で」
    またもや予想外の事に、片方の眉が上がり目を見開く。
    てっきり相方として何かあるのかと思ったが、我が儘全部盛りとは予想外だった。
    そう言った面も私が、髙羽を気に入っている部分だから一向に構わない。
    ただ全部となると、何の話を持ち出されるのかだけが気になる処ではあった。
    「俺……芸人もバーテンダーも辞めようと思って」
    「なんで?」
    予想の斜め上、いや予想の範疇外の言葉が飛び出てきて髙羽の言葉を遮る。
    理由を聞いてから対処すれば良かったのに、そんな事を考えるよりも先に口が動いてしまった。
    下手に私が声を掛ければ、髙羽を萎縮させて理由を言わなくなるかもしれない。
    案の定、髙羽がビクッと震えて視線を左右に揺らす。
    動揺を客に見せるなと何時も言ってるのに、私の言葉すら頭から抜けているならかなり焦っているのだろう。
    「その、えっと、気付いてるかもなんだけど……最近、怖い奴、居たりするだろ?」
    「あぁ、何か居るね。あれ、君関連なの?」
    最近ロケや舞台に、私の同業者らしき人物が居る事があった。
    家に確認を取ったが、ここ最近同業者に動きはないと聞いていた。
    何が目的か分からなかったから、そろそろ探りを入れようと考えていた矢先だった。
    髙羽ぐっと唇を噛んでから、顔を上げてからか細い声を放つ。
    「あの、俺、連帯保証人になっちゃってて。そいつが億単位の借金残して、消えちゃって」
    「……連帯保証人ねぇ。君さぁ、社会人になる前に連帯保証人なんてやめろって教えられなかったの?」
    連帯保証人、人の良い髙羽を口八丁で騙して名前の欄に書かせたのだろう。
    そうなると、あの同業者らしい人間は闇金の方の人間だと決まった。
    大分調べる部分が狭まったなと思って、髙羽を見ればバーカウンターから走ってホールに出る。
    綺麗な土下座を見せながら、私が辿り着いたのは二十歳の頃と思いつつ見下ろす。
    「だから!!羂索、お前には迷惑掛けたくないから、ピンチャン解散させてくれ!申し訳ない、本当にごめんなさい!!」
    土下座を披露する髙羽には悪いが、私は解散するつもりはない。
    バーテンダーを辞めるのは、髙羽の露出が減るし傑とも関わりが薄くなるから是非とも辞めて欲しいと思う。
    闇金なら私の家業の方で幾らでも、どうにか出来るがそれはそれでつまらない。
    むしろ、これはこれでチャンスなのではないのだろうか。
    「羂索、本当にごめんなざい!!」
    泣いて謝る髙羽を椅子に座ったまま見下ろして、私は静かに計画を考えていた。
    何も言わない私に、髙羽がカタカタと震え出し始めた。
    別に、私は髙羽に対して怒りは感じていない。
    髙羽を連帯保証人にした人間に対しての怒りはあるが、またともないチャンスを与えてくれた事は感謝しよう。
    「その借金、私が肩代わりするよ。で、幾らなの?小切手出すから、金額だけ書いて」
    「へ?」
    「億でしょ?十億あたり?君が私の相方を辞めない限りは、無利子でいいよ。ほら、書きなよ」
    カウンターに小切手の束を出して、土下座を続けている髙羽に声を掛けた。
    「い、いや、それじゃ羂索に負担が」
    「別に?私にとってははした金だからね。君の一生を縛れるなら、安い買い物だよ」
    にこっと笑いながら、小切手を片手に持ち直して髙羽の顔の前に出す。
    同業者の闇金なら、私が言えば法外的な利子分は無くなる。
    あとは家業の方で、そちらの面に強い弁護士が居るから相談すればほぼチャラになるだろう。
    「ほら、書きなよ。私はね、やっと見付けた君を一生手放す気はないし、他にもあるなら二人で考えればいいでしょ。私達は、相方なんだから」
    椅子から降りて、髙羽と視線を合わせるようにしゃがみ込む。
    床に手を付いている髙羽の手を握り、笑みを浮かべる。
    すると髙羽が、惚けた表情からハッとした表情に戻った。
    他の人間の気配を感じて後ろを振り向くと、気まずそうにどっきり大成功のプラカードを持った五条悟と傑の姿。
    「ご、ごめん!羂ちゃん!!!どっきりでしたー!!」
    「そう言う事。どっきりでした。ガチだと思った?」
    「そう言う事だからさ、ごめんね。羂索」
    はぁと溜め息を付きながら、小切手を仕舞ってから椅子に座り直す。
    氷の溶けたホーセズネックを見てから、髙羽にグラスを向ける。
    「氷溶けて味も落ちたから、作り直して。バーテンダーなんだから、それ位分かるでしょ」
    舌打ちでもしようと思ったが、テレビが来てるなら止めた方がいいだろう。
    髙羽はグラスを受け取って、バーテンダーの顔に戻ってカウンターへと戻る。
    にやにやしている五条悟と多少は罪悪感があるのか、申し訳なさそうにしている傑が両隣に座った。
    「騙された気分はどうだよ?」
    「最悪だね。今すぐお前を封印してやりたいよ」
    「まぁまぁ。私としては、珍しく焦る兄が見れたのが楽しかったよ」
    横に座った傑の脇に肘鉄しながら、髙羽が手を洗ってからホーセズネックを作る姿を見つめた。
    テレビでカクテルを作る姿を見せたいと言っていたし、形はなんであれ叶っただろう。
    「お待たせいたしました。……羂索」
    「何?私を騙した相方君」
    新しく作られたホーセズネックを差し出す髙羽に、少しの嫌味を言いながらグラスを受け取る。
    「う、それは悪かったと思うけど。そのさ、俺マジで嬉しかったから。ありがとうな、羂索」
    耳を赤くしている髙羽に免じて、今回だけは許してやる事にした。



    「傑、今気付いたんたけどさ。ドッキリじゃなくてエイプリルフールじゃね?」
    「実は最初から思っていたんだけど、悟が楽しそうだから言わなかったよ」
    髙羽さんと羂索の雰囲気をぶち壊したい気持ちを抑えながら、悟にそう言い返した。
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