クリスマスなんて、子供の時くらいしか楽しいと思った事も必要性を感じた事もない。
「あのさ、クリスマスって」
街が色付き始めて、世間ではクリスマスと言われる時期が訪れようとしていた。
毎年毎年飽きないものだなと思っていた時、髙羽にクリスマスの予定について声を掛けられたのだ。
急いで頭の中で自分のスケジュールを思い出したが、最悪な事にクリスマスには断れない会合があった。
しかも家業の方で揉め事があって、絶対に私が出なければならないのだ。
申し訳無い気持ちになりつつも、平然を装いながら髙羽にクリスマスは予定がある事を伝えた。
あからさまにシュンとする髙羽に、普段ならからかって遊ぶが今はそれ処ではない。
必死に取り繕うとしている髙羽に、夜には会えるとだけ伝える事にした。
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