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    r__iy1105

    田中新兵衛に心を狂わされた
    禪院直哉は可愛いと思う

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    r__iy1105

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    軍パロ遊郭パロ武新
    自立してるモブキャラ視点
    色々とあるよー。武新だよ

    散り逝く6少尉が女将と話がついたのか、こっちだと言う様に俺の名前を呼んだ。
    「丹羽、行くぞ」
    「あ、はい」
    武市大尉は少尉の声が聞こえたと同時に、しずしずと立ち去っていた。
    まさか一夜を買った遊女が大尉な訳がないと思いながらも、一抹の不安が俺の足元まで忍び寄る。
    「瑞が将校さんを気に入ったみたいだから、今夜も会えると思うよ。ただ、あんたが居るからどうだろうねぇ」
    女将は俺を見て、煙管を咥えたまま話していた。
    もし俺が居て会えないのならば、密談をするだけではある。
    「会えなかったらすみません、少尉殿」
    「構わない。俺は買ったが、決めるのはあの人だ」
    遊女の名前で察してはいたが、確信に変わったのは少尉の言葉だった。
    どんな顔をして大尉に会えばいいのか頭を抱えながら、案内された部屋に入ると、既に煙管を持った大尉が座っていた。
    俺が知っている大尉と違うのは、遊女の着る着物を纏っている事と薄紅を挿している所だろう。
    少尉は深々と頭を下げて、大尉の側に座り俺を手招く。
    失礼しますと一言言ってから、少尉と大尉の中間に腰を下ろす。
    ちらりと大尉を見れば、座る場所が正解だったのか煙管の煙をふっと吐き出した。
    「田中君。丹羽君も居るが……どういう事かな?」
    「丹羽には、兵卒辺りの情報を集めて貰いました。その報告を兼ねて、こちらに」
    「田中少尉より直々に命令を受け、報告をする為に此方へ共にさせて頂きました。他の将校が居る場であると、些か不都合がありましたので」
    すると大尉は灰皿箱に灰を落としながら、少尉へ視線を向けて続きを促す。
    少尉にはまだ何も伝えていないのもあり、二人の間に入って言葉を続けた。
    「兵卒の間では、これと言ってどちら派と言うのはないです。特に兵卒の出はバラバラで、中には薩摩、長州に対して嫌悪を示す者も多くは有りません。土佐の出の者は、大尉の失脚に対して憤慨している者も居ます。他の薩摩と長州の者は、地位の差による亀裂がありました」
    俺が調べた限りの兵卒の報告をすると、少尉は驚いた様に目を見開いていた。
    短時間で調べたとは思えない情報量だからだろうが、命令を下される前から少しずつ調べていた事ではある。
    上層部の情報も少しすれば、手に入る状態ではあるがある程度読めなくはない。
    「上層部については呉越同舟だった状態が終わったので、どう動いているか探りを入れた方がいいかと」
    「先生と言う共通の敵が居なくなれば、薩摩と長州はまた争うか」
    溜め息混じりに言葉を吐き出す少尉に頷くと、突然拍手が聞こえてびくりと体が震える。
    静かに俺の報告を聞いていた大尉が手を叩きながら、口角を上げて笑っていたのだ。
    しかし、その目はやはり笑ってはいない。
    「やはり君は、とても有能だった様だ。それに、ちゃんと私の義弟を助ける様に動いていてくれる。田中君の部下を動かす鍛練には、丁度いい人材だったな」
    他に報告は無いのかと聞かれたが、出せる情報はこれ以上はない。
    このままこの場に居た処で、邪魔者になっている事は分かっている。
    お暇するには丁度いい頃合いだと、立ち上がると少尉が声を上げた。
    「丹羽?」
    「少尉。私からの報告は以上です。この見世にも、馴染みが居るので今から会いに行きます」
    「お前……程々にと言った筈だろ」
    呆れた様子の少尉に、それではと頭を下げてから部屋を後にする。
    襖を閉め切ってから、深く息を吐き出して近くに居た遊女に声を掛けた。
    「お沙耶は空いてるか?」
    「お沙耶姉さんでありんすか?ええ、空いておりんすえ。丹羽の旦那さん」
    こちらにと案内された部屋には、お沙耶が障子窓を眺めていた。
    襖を閉めると、お沙耶が振り向き顔を髪で隠す。
    「兄上、今日は来ない筈では?」
    「事情が変わった。この遊郭に居る瑞と言う女郎について聞きたい事がある」
    「瑞姉さん?姉さんはいい人よ。私の傷の治療費も出してくださったわ。でも兄上が知りたいのなら、教えますが……何か疑っている事でも?」
    「いや、あの人がどうしてここに来たのかが知りたいだけだ」
    顔の傷はまだ癒えないのか話終える度に、傷に手を当てる沙耶にすまない気持ちとやるせなさに視線を揺らした。
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