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    r__iy1105

    田中新兵衛に心を狂わされた
    禪院直哉は可愛いと思う

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    r__iy1105

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    久々に武新。リハビリですな。
    戊辰聖杯戦争に召喚された二人が、お互いのマスター殺し合う話。
    もくりで話してたから書いてみた。

    一言で言うなれば、邪魔だったのだ。
    召喚された瞬間に、紐で繋がれた狗の様で仕方がない。
    引き千切るにしても、まだその時ではない。
    私はそう確信していたのだ。
    「武市は、セイバーか。ならマスターを殺すのは良くない」
    「どう言う意味だ」
    「簡単に言えば、魔力供給してくれる相手が居なくなるから止めなって事さ。その内、不要になるからまだ待っててくれないか」
    私の心でも読んだのか、停戦協定を結ぼうと高杉のマスターと私のマスターが会合している間に交わした密約。
    この紐が切れるのならば、それはそれで構わなかった。
    何せ、私を召喚したマスターは用心深いのかただの阿呆なのか直ぐに令呪の一画を使っていた。
    「武市瑞山。絶対に私を殺すな」
    刀に手を掛けた訳でもないのに、開口一番に命じられては気分が良くない。
    以蔵が居れば、少しは楽だったかもしれないと独りごちる。
    「その案に乗れば、マスターは不要になるか」
    「少し骨は折れるけかもだけど、今よりはずっと楽さ。あぁ、あと君の所に居た田中君だっけ?彼も召喚されたたぽいよ」
    胸の奥がズクっと痛み、眉がぴくりと動く。
    アサシンが召喚された事は小耳に挟んでいたが、てっきり風魔一族か伊賀出身の者辺りだと踏んでいた。
    だから、ここで彼の名前を聞くとは思わずに表情に出してしまった。
    しまったと思い、視線を高杉からずらすと高杉が顔を近付ける。
    「彼のマスターは言う程、強くはないさ。まだ僕の計画は途中だけど、君なら田中君への魔力供給はお手の物だろ」
    「高杉っ!」
    「しー。でかい声を出すなって。もし会いたいなら、潜伏先くら教えてやるよ。昔のよしみで」
    そう言ってくしゃくしゃに丸めた半紙を私に手渡し、高杉は顔を話してから真面目な表情を浮かべていた。
    「会合が終わったな。その情報は、どう使おうが武市。君の勝手だ。好きにするといいさ」
    襖を開けたお互いのマスターの元へと向かい、その日は高杉と別れた。


    結果として、私が高杉から貰った情報を使う前に田中君とは再会した。
    いや、再会等と言う優しいモノではない。
    対峙と言えばいいのだろう。
    マスターと英霊が対峙するならば、やることは一つしかない。
    引くか殺すか殺されるか。
    気乗りはしなかったが、マスターが殺れと言うならば殺るしかない。
    刀を向け合った事はないが、こうして向き合えるのは僥倖ではある。
    ただ、田中君は乗り気ではなさそうなのは手に取って分かった。
    私に刀を向けたくない事はよく分かる。
    しかしこれも、聖杯戦争の一部にしか過ぎない。
    高杉が言う計画が実行されるのであれば、私は今すぐにでも刀を仕舞うだろう。
    どうしたものかと思案していると、派手な花火が打ち上げられる。
    一瞬怯んだが、それが高杉からの合図だと察して一歩踏み込み田中君の間合いに入った。
    「武市先生っ!?」
    「田中君。準備が出来た。後は分かるね?」
    私は自分のマスターを殺すことは出来ないが、君のマスターを殺すことは出来る。
    そして、逆も然り。
    言葉が足りない事は分かっていたが、田中君はすっと目を細めて御意と答える。
    彼の猿叫を背後に聞きながら、逃げようとする田中君のマスターに刀を振り下ろした。
    吹き出る血飛沫をそのままに、刀に付いた血を拭きながら田中君を待つ。
    振り向かなくとも、田中君の仕事振りは分かるから待つだけで良い。
    「全て終わりました」
    刀を鞘へと仕舞いながら振り替えると、鮮血を浴びた田中君の姿が見えた。
    足元に胴と首が分かれたマスターの姿を確認してから、田中君へと視線を向ける。
    「そして、お久し振りです。武市先生。この様な場でお会い出来た事を嬉しく思いますが、主を失った故にもうすぐ退去となります。短い時間ですが、再会出来た事を」
    「田中君。マスターが居なくとも、君も私も退去はせずに済む方法がある」
    あの男の血で田中君が汚れるのは、何とも気分が悪い。
    そっと手を伸ばして、面皰の無い目元に付いた血を拭い言葉を続けた。
    「君が良ければ、また私と共にこの戦いの終わりを見届けないか」
    「先生が望まれるのであれば、私はお供致します」
    「それを聞いて安心したよ。私はまだ魔力が残っている。だから、少し分けておこう」
    面皰を外して露になった唇を吸いながら、漸く田中君が手元に戻って来たと実感したのだった。
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