お誘いの意味があるカクテルを作ろうとしては、手が止まってしまう。
俺以上にカクテル言葉を知っている羂索だから、きっと一瞬で意味を理解する。
「……よし、作るか!」
今日はバーテンダーの格好もしてないし、誘ったとしても制服を汚さずに済む。
「まぁ、ここ。羂索のプライベートバーカウンターだけど」
店と同じ内装で、酒も全て揃っている。
高級な酒とかもあった時は、流石にぎょっとした。
何でって聞いたら、俺が使うかもしれないからと言われてぐうの音もでなかった。
たまに店で気前のいい客に使ったりするが、最近は羂索専用になっているボトルもある。
そんな事を思い出しながら、羂索が電話を終える前にグランドスラムを作っていく。
「じゃ、そう言うことだから。ごめん、終わったけど」
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