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    水癒 miyu

    @miyu_aknkgnsn

    フリがとても好き
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    水癒 miyu

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    甘々ヌヴィフリです(当社比)
    普段はpixivに小説載せてます。

    #ヌヴィフリ
    NeuviFuri

    面食いフリーナと顔が良いヌヴィレット「フリーナさん!ずっと昔から好きでした!」
    「はぁ」
    「僕と付き合ってくださ」
    「ごめんなさい」
    「…………やっぱり僕なんかじゃ駄目ですよね」
    「別にそんなことないさ。キミは良い演技をするし、稼ぎも平均以上だと思うし、誠実で紳士的で性格も良い。客観的に見ても優良物件だと思うよ。ただ……」
    「……」
    「顔が僕の好みじゃないんだよね。僕、面食いなんだ」

    だからごめん、と言うと相手は諦めてくれた。僕は高嶺の花だし、ダメ元で告白したみたい。残念そうな背中を無言で見送る。……告白を断るのも慣れたものだ。ファンレターの中に紛れたラブレターも入れたら僕は何度告白されているんだろう。ええと、今月だけでも、1、2、3、4、……やめておこう。どうせ全部断るか無視しているし。最近は数えるのが面倒なほど告白が多すぎる。
    人間になった僕はそれはそれはモテる。まあ当然かなとも思うけどね。だって僕はフォンテーヌ一の大スターで、美しくて、誰よりも演技が上手くて、それはもう大人気だし。水神を演じていたかつても告白はされていたけれど、人と神としての壁は大きくて、好意を抱いたとしても本当に告白してきたのは極わずかな人間だけだった。でも僕は人間となって、その壁は消え去ってしまった。親しみやすくなったとか、自然体になったとか、色んなことを周りの人にも言われるようになって、確かに僕は変わったのだと思う。その結果がこのモテ期なのだ。

    彼氏やお付き合いが嫌な訳では無い。寧ろ演技に生かせるだろうから人生経験として一度はお付き合いしてみたいくらいだ。だけど、なんて言うか、好みの顔の持ち主が中々現れない。だって仕方ない、僕って美しいものが好きで、面食いだから。でもほら、僕って引く手あまただし?すぐにでなくとも付き合ってもいいって思える人の1人や2人くらいきっといる……


    「……って思ってたのに誰1人恋愛感情を抱けないんだ!どうしよう旅人!」
    「もぐもぐ、……諦めたらいいんじゃない?」
    「そんなこと言わないでくれよ~!」

    むぅ、僕が頬を膨らませても旅人は知らんぷりをしながらボリボリとフィッシュアンドチップスを食べ続けている。全く話を真剣に聞いてくれてない。僕にとっては深刻な問題なのに!

    「フリーナが面食いなのは分かったけどさ、顔なんてメンズメイクでもしたらどうにでもなるでしょ?フォンテーヌはメイク文化は浸透してるし」
    「……それだけじゃないんだ。ね、旅人は何歳差まで許せる?」
    「え?」
    「あれ?キミってそもそも何歳だっけ?まあいいや。僕、民と触れ合うのが好きでさ、結構フォンテーヌ廷を歩くことも多くて。えーっと、それでフォンテーヌ人の成長を見守ることも多くてさ」

    旅人が続けて?と目線だけ僕に送る。相変わらず口の中をパンパンにしているけれど……まあいいや。

    「だからその、今更彼らを恋愛対象にできないかもっていうか、小さい頃から知ってるしな~っていう気後れがあるっていうか、親目線超えて祖母目線超えて曾祖母というか」
    「もぐもぐ、…ごくん。やっぱりもう諦めるしかないんじゃない?」
    「そんなぁ!」

    分かってるさ。僕の求めるハードルが高すぎることくらい。年齢の話を持ち出してしまったら魔神や仙人くらいしか対象が限られてしまうし。……うん、人間の僕には到底無理だ。

    「というか近くにいるでしょ?顔が良くて、フリーナより年下じゃなくて、フリーナのこと好きな人」
    「え?」
    「ヌヴィレットと付き合ったら?」

    僕が、ヌヴィレットと……?

    「いやいや、今さらありえないよ。ヌヴィレットとなんて。彼は僕が面食いになった元凶でもあるんだし」
    「というと?」
    「ヌヴィレットみたいなイケメンと毎日過ごしてたせいで僕は面食いになっちゃったってこと。彼に慣れてしまったらどうしてもねぇ……」
    「じゃあヌヴィレットの顔は好きなんだ」
    「……ま、まあ好みの範囲内ではあるかな」
    「あとなんだっけ、フリーナのタイプの人。紳士的で、公平で、正義感が強くて、背が高くて、優しくて、仕事ができて、かっこよくて、趣味や価値観が合って、演劇が好きで、声がかっこよくて、フォンテーヌが好きで、フリーナを守れるくらい強くて、……って要望多すぎでしょ」
    「べ、別にいいじゃないか!ただの好きなタイプなんだし」
    「こんなの当てはまる人なんてヌヴィレットしか居ないと思うけど。どう?ヌヴィレットは」
    「え!えぇ~……」

    悪く、はない。まあ顔は僕の好みだし。ヌヴィレットの顔は好きだ。うん、顔は。

    「いやいや、でもさ、旅人。ヌヴィレットが僕のタイプに当てはまったとしても、ヌヴィレットが僕と付き合いたいとは限らない訳だしさ」
    「そんなことないと思うよーむしろ付き合いたいって思ってるんじゃないかなーウンウンさっさと付き合いなよー」
    「急に対応が雑にならなかったかい!?」

    いや、元々適当に話を聞かれているけれど。さっさと付き合いなよ、はあまりにも雑ではないだろうか。

    「フリーナはヌヴィレットのこと好き?」
    「ふぇっ!?……まぁ、そこそこ?」
    「じゃあ良かった。ヌヴィレットにガンガンいこうぜって言っちゃったからさ。その様子だとフリーナ嫌な訳では無さそうだし」
    「は?旅人、何言って」
    「私、恋愛相談2日連続で飽きちゃったんだよね」

    ===

    そんなこと言われた翌日に、ヌヴィレットにたまたま会って、たまたま時間が合ったからカフェでお茶をすることになり。…これって本当に偶然なのかい?
    ここで変な意識をしてはいけない。いや、ちょっぴり昨日の会話を思い出してしまうけれど、仕方ない。別に何事もなかったかのようにいつも通りヌヴィレットと会話をすればいいだけだし────

    「フリーナ殿?」
    「わ!な、なんだい急に?」

    ヌヴィレットのほんの少し冷たい手が僕の手に触れる。

    「ぼーっとしていたようだったのでな。疲れているのか?」
    「そ、そんなことないさ。今は忙しい時期じゃないし、最近の仕事は落ち着いてるものばかりだから」
    「それならいいのだが……無理は決してしないでくれ」
    「それは僕の台詞だよ。また仕事に集中してご飯を忘れたんだって?」
    「……気をつけるようにはしている」
    「ふふっ本当かい?」

    ああ、見れば見るほど良い顔をしている。ヌヴィレットは自身が人の姿でいることに疑問を抱いていたけれど、そんなの人間だと顔が良いからの理由だけでいい気がしてきた。流石にこれを言ったら怒られるかな。でも本当に僕好みの顔だ。シュッとした輪郭もキリッとした睫毛も綺麗な瞳も顔の造形全て。こんな顔を毎日見ていたのだから他の男性の顔が好みでなくなってしまうのも仕方ないことな気がする。うん、僕は悪くない。

    「私の顔に何かついていたか?」
    「え?…ああ大丈夫だよ。ごめん、不躾だったね」

    慌てて目を逸らす。……これはこれで不自然だったかも。今日はどうも調子がおかしい。

    「構わない。フリーナ殿は私の顔が好きなのだろう?」
    「ああうん、そうそう……え?」

    今、なんて言った?き、聞き間違いかな……あはは、はは………そーっとヌヴィレットから距離を置こうと下がると、ヌヴィレットは空いた隙間を埋めるように席を近づけた。対面だったはずなのに、いつの間にかすぐ横にいる。な、なんで…?

    「フリーナ殿」
    「ひゃっ!や、やめて。顔近づけないでよ」
    「……?フリーナ殿はよくこのくらいまで私との距離を詰めてきたと思うが」
    「無理!僕はいいけどキミはダメなの!ごめんちょっとストップ、待って待って」
    「フリーナ殿は私の顔が好きだと聞いたが?」
    「っ~!?」

    聞き間違いじゃなかった。誰に聞いて、…そんなの決まってる。旅人だ。でもヌヴィレットなんて、数百年も見てきた顔で、見慣れているはずなのに。

    「ん?……違ったのか?」

    ああもう綺麗な顔で首を傾げるな!かっこいいのに可愛いなんてずるい!僕の好きを更新させるな!ヌヴィレットのばか!イケメン!最高審判官!ぐぅ、悪口が全然出てこない。

    「~っ、ちが、いや、違わない、から、ちょっと離れ、」
    「ふっ、なら良かった」
    「うぅ、笑わないでくれ!これ以上僕をギャップ萌えさせないで!」

    ダメだ。これ以上見つめていたら本当にダメ。僕、顔だけじゃなくて本気でヌヴィレットのこと、

    「照れているのか?」
    「べ、別に照れてないから!」
    「フフっフリーナ殿」

    「君は可愛いな」
    「っ!」

    小説であるようなキュンとか、ドキドキとかいう可愛いものじゃなくて。ぎゅん!って、ぐわって胸を掴まれたような感覚。頬がやけに熱を持っている。絶対真っ赤になってるって鏡を見なくとも分かってしまう。これも旅人の差し金かい!?ああ胸の鼓動がうるさい。僕の胸、早く静まってくれ!

    すぐ近くから目線を感じて、それに文句を言おうとして、チラリとヌヴィレットのことを見て、後悔した。甘い。甘すぎる。砂糖を煮詰めて甘さをぎゅっと閉じ込めたみたいな、そんな目してて。

    もう1回逸らそうとしたけど、許さないというようにヌヴィレットの両手で優しく頬を包まれ、拘束されてしまう。ほとんど触れているだけで、簡単に振り解けるような強さなのに、僕は全く動けなくなってしまって。ヌヴィレットから目が離せなくなってしまって。

    「フリーナ殿、好きだ」
    「ふぇっ」
    「どうか私と付き合ってほしい」
    「っ~!」

    こんなの、知らない。聞いてない。こんな気持ち、初めてでわかんない。頭の中、いっばいいっぱいで、パンクしちゃいそう。

    「フリーナ殿にはアピール?してきたつもりだったのだがまだ足りないと言われてな」
    「ひえっ」

    あぴーる?……アピール!?最近お茶会の頻度が上がったのも、僕の出る劇を見るたびに大きな花束をくれたのも、2人でフォンテーヌ廷を歩く時に手を繋がれたのも、全部アピール?


    「恋人が欲しいのだろう?フリーナ殿」

    私ではいけないのか?




    さらに距離を詰められたヌヴィレットに、そんなこと、耳元で囁かれて、僕は、僕は、

    「か、考えとく、よ……」

    こう答えるので精一杯だった。
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