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    水癒 miyu

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    水癒 miyu

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    てすとてすと

    #ヌヴィフリ
    NeuviFuri

    2度目の人生で行ったフォンテーヌが僕の知ってるフォンテーヌじゃない「フォンテーヌに行かれたいのですか?いや…オススメはしませんね。何故フォンテーヌに?」

    「何故って……そうだね、愛着のある国だからかな。良い国だろう?フォンテーヌって」

    「はぁ…分かりました。すみません。あんな雨の国に行きたいと言われる方は少なくて。」

    「すまない、今なんて言った?」



    僕はフリーナ。つい先日、モンドの海で溺れかけたことで、前世の記憶を思い出したただの人間だ。僕は、フォンテーヌ人の両親の元にモンドで生まれたんだけど、前世のぼんやりとした記憶を持ちつつ普通に生きていた。だけど、急に両親を事故で亡くしたこと、前世のことをはっきり思い出したことで、心機一転!フォンテーヌに行こうと思ったのだ。

    僕の今生きている時代は前世の僕が死んでから約百年が経った頃。そりゃ僕が生きていたころとは全然違うだろうけど、雨の国なんて言われたことはない。何かの気候変動のせいなのかな?


    「いえいえ、お気になさらず。お客様、フォンテーヌ行きの便は最速で2日後ですが、よろしいですか?」

    「あぁ、うん。よろしく頼むよ」



    フォンテーヌに行くことが決まるとワクワクしてくる。今のフォンテーヌはどうなっているのかな?街並みは?料理は?メリュジーヌやヌヴィレットには会えるかな?




    そんな思いを抱えてフォンテーヌの国境をくぐった途端、大雨が降ってきた。


    「わっ!噂は本当だったんだ…傘を用意してて助かったよ…」

    僕がフォンテーヌの話を聞いたときは冗談だと思ったのに…。今のフォンテーヌは本当に毎日雨が降る国らしい。これでは雨の国と呼ばれても納得がいく。街ゆく人々はみんな雨具を持ったり、雨に濡れても大丈夫な格好をしている。それが当たり前みたいに。

    なんだか知らない場所みたいでちょっと寂しいかも。適当にブラブラ歩こうとしたけど、大人しくパンフレットを見よう。あ、意外と当時の建物は残ってるみたい!歴史的建造物として、大切にされてるのかな。そうだと嬉しいけど。


    「とりあえず、フォンテーヌ邸に向かおうかな。えっと、巡水船はまだ使われてるって書いてあるし、乗り場は……こっちか」

    一人旅なんて前世も今世も初めてだ。一人旅というよりも、帰郷といったほうがしっくり来るけどね。外国旅行なんて今までしようとも思わなかったし、色んな人に向いていないなどと止められたから前世ではフォンテーヌから出たことがなかった。意外とやろうと思えば、一人旅も僕にかかれば余裕だ!まぁ、前世に比べたら、海外旅行しやすくなってるけど…


    「たしかここら辺…」
    「フリーナ様!?!?」

    「あ!良かった~!メリュジーヌのみんなはここで変わらず働いてたんだね!みんな元気にしてたかい?」
    「フリーナ様!今すぐヌヴィレット様のところに行ってください!行きましょう!話は巡水船でしますから!」




    「……え?」










    「……えーっと、つまり、この雨はヌヴィレットが泣き続けているから止まらなくて、ヌヴィレットが泣いてるのは僕が死んだからなのかい?」

    「はい。フリーナ様がお亡くなりになられてから、ヌヴィレット様はほぼ毎日、決まった時間から、フリーナ様を思い出し、感情が大きく揺さぶられるそうです。フォンテーヌ国民も、そんなヌヴィレット様を尊重し、雨が降るのを受け入れているのです。」

    「……ヌヴィレットったらいつまでそんな過去のことを引きずるつもりなのかな?死ぬまでフォンテーヌに雨を降らせるつもりかい?」

    「あ、でも、毎年雨が降らない日もあるんですよ!フリーナ様のお誕生日と、フリーナ様とヌヴィレット様が出会われた日は毎年快晴で、お祭りが開かれるんです。その日は祝日で、国民みんなでフリーナ様に感謝するんですよ」

    「何それ!僕、複雑な気持ちになるんだけど!?」

    「現在の歌劇場の近くには、フリーナ博物館もあり、当時のフリーナ様の歌劇や、フリーナ様を題材にした芸術作品が見れる有名な観光スポットになっています!」

    「正気かい!?嘘だと言ってくれ…」

    「フリーナ様!もうすぐ着きますよ!」

    「うぅ…これ、行かないとダメかい?」

    「絶対!絶対に行ってください!今日は審判もないので、ヌヴィレット様は変わらず、パレ・メルモニアの執務室にいると思います」

    「はいはい、分かったよ…」



    会ったらまず、ヌヴィレットを問いただしてやろう。死後にこんなことにされるなんて想像もしてなかったし。あと、この鬱陶しいくらいの雨をどうにかしてもらおう。キミは雨が好きだったけど、僕は晴れの方がどちらかと言えば好きなんだから。

    早足でフォンテーヌ邸を歩く。やたら人にジロジロ見られてるけど、気にしない。僕はヌヴィレットに怒ってるんだから!




    パレ・メルモニアの前まで行くと、ほとんど変わらない景色が目に映った。よく考えたら、いきなり僕に来られても困るんじゃないか?ちょっと冷静になって考えよう、僕。ヌヴィレットは僕が水神を演じていた頃、僕が執務時間中に話しかけると、嫌そうな顔をしてたし、あまり執務中に邪魔をするなとも言われた。今の時間は仕事中だろうし、一旦出直した方がいいのかも。うん。そうしよう。とりあえず、パンフレットを見て、今日泊まるホテルを、


    「っ…、!フリーナっ!」

    「あっヌヴィレット!久しぶ、わっ」

    ヌヴィレットに抱きしめられる。姿は変わらないけど、急に抱きしめてくるだなんてヌヴィレットらしくない。あとヌヴィレットは背が高いせいで、僕の視界にはヌヴィレットの顔がちゃんと見えないのがちょっと不服だ。

    「ちょっとヌヴィレット!いきなりレディを抱きしめるだなんてどうしたんだい!苦しいんだけど!」

    「すまない…でももう少しだけこうさせてはくれないか」

    腕の力は弱くなったけど、相変わらず抱きしめたままだ。

    「キミも感動の再会らしいことが出来るようになったなんてね。いきなり抱きつくなんて劇みたいだよ。……ちょっと。これは皮肉なんだけど?どうしてそんな顔してるんだいキミ」

    「フリーナ……本物、なんだな。……また君に会えて嬉しいよ。」

    「そ、そう。まあ、僕みたいな大スターに会えて嬉しく思うのは当然かもね!……ってなんだいキミ、泣いてるのかい?嬉し涙が流せるようになっただなんて、僕が知らぬ間にキミも人間らしくなったようだ」

    「……フリー、ナ……」

    「もうっ僕の水龍は泣き虫なんだから!

    ……水龍、水龍、泣かないで?」



    ずっと降っていた雨が止んで空が晴れ渡る。うんうん。やっぱりフォンテーヌはこうじゃなきゃね!


    「僕が死んでからずっと泣いてたのかい?この大雨を見てキミが摩耗しちゃったのかとハラハラしたよ!


    …先に逝ってごめんね」


    「……分かっていたのだ。フリーナがいつか死んでしまうことは、でも、」

    「でも?」



    「君がいない世界は色褪せていて、寂しかったんだ…」

    「ふふっ、仕方のない子だね。……仕方ないから、今世はずっとキミの傍にいてあげるよ。約束してあげる!」

    「あぁ…約束しよう」



    「で、ヌヴィレット、そろそろ抱きしめるのやめてくれない?ちょっと、っていうかだいぶ、人に囲まれてるんだけど…」




    「本物のフリーナ様だわ!」
    「雨がやんだ!フリーナ様のお陰だ!」
    「フリーナ様が帰ってこられたのですね!」
    「わぁ!素敵…!」



    「ちょっと!恥ずかしいんだけど!あ!そうだ!僕、キミに言いたいこといっぱいあるんだからな!」

    「あぁ、たくさん話を聞かせてくれ。アフターヌーンティーにしよう」


    「うん。ヌヴィレット、ただいま」

    「あぁ、おかえり」



    フォンテーヌの日差しは眩しいくらいだ。
    きっともう、雨の国なんて呼ばれない






    【フリーナ】

    フォンテーヌ人の両親を持つモンド生まれモンド育ちの女の子。前世はたぶん普通に老衰死した。前世を思い出す前はなんとなーく夢でふわっと前世を思い出しては忘れる程度だった。今世の両親と共に水難事故にあい、自分だけ生き残ったが、今世フリには精神的負担が大きく、精神力の強い前世フリの記憶が呼び起こされた。このあとたぶん両親のことを話してヌヴィレットの胸で泣く。前世の記憶を思い出しただけで、ベースは今世フリだから、たぶんヌヴィレットに依存する。


    【ヌヴィレット】

    フリーナのいない生活が無理すぎてぴえん。フリーナのことを人間が忘れていくのが辛くて、フリーナが何百年も人々の記憶に残るように色々やった。このあとフリーナをパレ・メルモニアに住ませる手筈を整える。たぶん今世フリーナがここの生活に慣れてきたら、フリーナにおまじない(お呪い)をかけて不老不死にする。フリーナに依存してるけど、共依存なので問題ナッシング。フォンテーヌも快晴でみんな幸せだね!
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