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    くさかべ

    @monimoni_are

    ↑成人

    すっかりケイゴ。ウルケイかモイケイのケイゴ受け。
    何かあったら↓まで
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    くさかべ

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    夏といえば高校野球。モイケイがテレビ観ながら喋ってるだけ。

    #モイケイ
    moikei

    毎日SS8/6「こんな暑い中、野球するのも大変だよね」
     じりじりと照りつける太陽の下、スーパーに行って帰って来るだけで汗だくになった。
     屋内のエアコンに有り難みを感じながら、買ってきた牛乳を冷蔵庫にしまう。
     リビングではモリヒトがテレビを観ていて、白球を追いかける高校球児たちに呟いた。
    「どっち応援してるの?」
    「いや、別に、良い試合してるな、と思っただけだ」
    「ふうん」
     ついでに買ってきたアイスを開けながら、ソファに座る。
     ケイゴは元アスリートだが、個人競技であったため、団体で行う球技をよく知らない。
     かろうじてルールはわかるが、そこまでの興味はなかった。
    「面白い?」
    「ああ」
    「ふうん」
     なんとなくテレビを観ながら、溶けかけの氷菓を掬う。ソーダ味が、火照った体をじわじわと冷やしていく。
    「暑そう」
    「最高気温三十六度だからな、暑いだろ」
    「うわ……」
     スケートリンクは、氷を護るために温度が低く設定されている。演技を行えば全身運動で汗もかくが、夏の炎天下とは程遠い。
    「あれ?これピンチじゃないの?」
    「こちらからすればチャンスだな」
     九回裏、ツーアウト満塁。点差は一点。一打サヨナラの好機、打順は六番。
    「モリヒトどっち応援してんの?」
    「強いていえば、全員に悔いのない野球をして欲しい」
    「コメントが玄人」
     映し出された背番号一番の選手が、マウンドで首を振る。実況が解説に問う。興味もないのに、テレビに釘付けになった。
    「あっーーーー!」
     キィン、と金属バットが鈍い音を立てる。実況の声が大きくなり、カメラはボールの行方を追う。
    「入ったぁ!」
     逆転サヨナラ満塁ホームラン。ドラマより出来過ぎた現実的に、四人の球児がダイヤモンドを回る。
     抱き合って喜ぶ勝者と、項垂れて泣き崩れる敗者。悔いのない試合を、と言っても、負けたチームには後悔が残るだろう。
    「なんかさ、エグいね」
    「何がだ」
     試合終了のサイレンが鳴り響く。高らかに校歌を歌う勝者の横で、砂をかき集める球児の方が、印象に残った。
    「負けるってさ、キツいじゃん」
     少なくても、ケイゴはそう思っている。自己ベストを更新しても、表彰台に乗れないなら意味がない。
     勝負は時として残酷だ。責任は、ケイゴ一人にのしかかる。
    「まぁ、負けたら悔しいな」
    「モリヒトも負けず嫌いだもんね」
     ウルフと手合わせをしても、お互いが負けず嫌いだから、どちらも負けを認めないらしい。モリヒトに勝ったというウルフのメモが残っていても、モリヒトはいつもオレの勝ちだと主張する。
     生憎、ケイゴには勝敗がわからないから、後でこっそりニコに聞いてみるが、返ってくるのは引き分けだ。
     テレビでは勝利高校の監督インタビューが流れ、次の試合開始時間がアナウンスされる。
     食べ終えたアイスは、カップの表面に滴が溜まり、テーブルを濡らしていた。
    「ところで、何を買ってきたんだ?」
    「今⁉︎ひょっとして食べたかった?」
    「いや、別に」
    「スーパー行くだけで暑くてさ、これはもう帰ったらアイス食べるしかないわって買っちゃった」
     よほど熱中して野球を観ていたのか、ケイゴがアイスを食べていることにも気付かなかったらしい。
    「まぁ暑いしな」
    「こんな中で野球するの、大変だと思う」
     テレビのチャンネルを変える。次の試合が始まるまで、もう少し時間があるらしい。
    「それが青春だ」
    「なんか、さっきからちょいちょい発言がオッサンじゃない?」
     モリヒトは同い年とは思えないほど達観したところがある。それにしても、話をすればするほど、視点が保護者だ。
    「……正直、憧れがある」
    「あぁ、野球は一人じゃ出来ないもんね」
     モリヒトが一人いれば勝てそうだけど。
     そう思ったが、言わずにおいた。孤独と孤立は、ケイゴにも覚えがある。きっと、モリヒトにもチームで何かをやり遂げるという憧れがあるのだろう。
    「オレたちで野球やる?」
    「どう考えても人数が足りないだろ」
     しかも、相手チームだっている。何処かの草野球チームに混ぜてもらえばいいが、軽い言葉だ、そこまでの意味はない。
    「あ、じゃあみんなでバッセン行く?」
     アミューズメント施設に入るバッティングセンターは、ゲームセンターの近くにあるから、通り過ぎたことはあっても近寄ったことはなかった。
     テレビの向こうで高校球児たちが白球を追いかける姿を観ていれば、おのずとやりたくなる。元来、ケイゴは影響されやすい。
    「すぐに影響されやがって」
    「いいじゃん、バッセン行って銭湯行こう」
     夕食後の提案だが、ミハルは来るだろうか。仮に来たとしても、バッティングなんてしないだろうな、と考える。
     暑い中汗をかき、銭湯で汗を流す。いつか銭湯に行って以来、モリヒトのお気に入りだ。
    「……ふむ」
     チャンネルを高校野球に戻す。試合開始のサイレンが鳴ったところだった。吹奏楽の応援が、攻撃を盛り上げる。
    「一番多く打った奴が優勝だな」
    「それ絶対オレ勝てないやつじゃん」
     キィン、とテレビの向こうでボールが飛んだ。
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