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    くさかべ

    @monimoni_are

    ↑成人

    すっかりケイゴ。ウルケイかモイケイのケイゴ受け。
    何かあったら↓まで
    拍手をぽちぽちして頂けるだけで元気が出ます。
    無駄にツールが沢山ありますがお好きなのでどうぞ。

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    くさかべ

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    弟でありお兄ちゃんでもある!!そんなモイケイを応援しています!!!!

    #モイケイ
    moikei

    「暑……モリヒト、アイス食べよ」
     梅雨明け十日とはよく言ったもので、晴天続きの通学路はアスファルトの照り返しも強く、暑い。
    「いや、オレは別にいらん」
    「えーっ、こんなに暑いのに?」
     暑くなる前にと出掛けたものの、帰る頃には最高気温に到達する時間だった。ただ歩いているだけで汗は出るし、こんな日はミハルのように日傘が必要かもしれない。
     何かと趣味が合うから、モリヒトとケイゴはよく休みの日によく一緒に出掛けていた。
     開店と同時に店を巡り、適当な店でランチをして帰る。よくある行動パターンだが、それ故に気温のことを忘れていた。
     今年一番の最高気温、エアコンを適切に利用し、不要不急の外出を避けましょう、とうたう天気予報。わかっていたのに、まさかそんな時間に屋外にいるとは。
     モリヒトは強い。そもそもの暑さに強いのかもしれないし、修行のおかげで我慢強いのかもしれない。しかし、ケイゴは普通の男子高校生だ。しかも、屋外で活動をするような部活に入っているわけでもない。どちらかと言えば、エアコンの効いた屋内にいる方が多いインドア派だ。梅雨明けの猛暑に耐えられる筈がない。
    「じゃあアイス買うからコンビニ寄っていい?」
    「……わかった。待ってるから早くしろ」
    「モリヒト入らなくていいの?暑くない?」
    「買うものがないのに入るのは迷惑だろ」
    「よくわかんないけど頭かたいな……」
     コンビニの前でモリヒトに提案する。客でもないのに入店するのは憚られるという、よく判らないことを主張され、ケイゴ一人でコンビニに入った。照明を減らしてエアコンを効かせた節電店内は、これまでの汗が一気に引いていく。
     一人なら、雑誌コーナーを物色してから、意味もなく店内を一周しただろう。しかし、今はモリヒトが外で待っている。アイスの販売ケースを開け、すぐレジに向かった。
    「おまたせ」
    「早かったな」
    「うん、レジ空いてたし」
     こんな暑い時間帯に、人は出歩かないのかもしれない。店内に客はいなかった。
    「何買ったんだ?」
    「ゴミ捨ててっていい?」
    「なんだそれ」
     別に食べたいわけではないが、ケイゴがどんなアイスを選んだのかは気になる。どうせコンビニ限定の新発売アイスだろう、と軽い気持ちで声を掛けた。
    「なんか半分に割れるやつ」
     中のアイスが張り付いたビニール袋を破る。一つにしては大きめのアイスは、木の棒が二本付いていた。袋を入り口のゴミ箱に捨てる。
    「なんだそれ」
    「半分あげる」
     割ってシェアしよう、そういう意図で作られた氷菓子を、ケイゴは選んでいた。
    「いや、オレは別に……」
    「だってこんなに暑いのに、帰るまでなんもなかったら熱中症で倒れるよ?」
     いくらモリヒトでも、と熱弁する。手にしたアイスは、気温と日差しに、早くも溶け始めていた。
    「それに、こういうのやってみたかったんだ」
     照れ臭そうにケイゴが笑う。モリヒトと同じく、ケイゴも友達と呼べる友達はいなかった。憧れてたんだ、そう言われては、無碍に出来ない。
     両手で二本の棒を持ち、ゆっくりと力を込める。真ん中の細いくぼみに合わせて割れる仕組みだ。
    「あ」
     そういえば、ケイゴはあまり器用ではない。暑さも手伝ったのかもしれない。割るのに失敗した割り箸のように、片方が大きくなってしまった。
    「へたくそ」
     ふ、とモリヒトが笑う。ケイゴが買ったものだから、当然と小さい方を貰おうとした。
    「モリヒトはこっち」
    「いや、ケイゴが買ったんだから、お前が大きい方だろう」
    「オレはコンビニで少し涼んだしさ、いつも付き合ってくれるし、そのお礼ってことで」
     大きい方をモリヒトに押し付け、小さい方を食べる。溶けたアイスが棒を伝い、指についた。
    「……ケイゴって、たまにそういうところあるよな」
    「え?何が?」
    「別に、なんでもない。じゃあ有り難くいただこう」
    「うわこれめっちゃすぐ溶ける」
     指に垂れてくる甘い水を避けるため、棒を持ち替えて手のひらを舐める。
    「吸って食べられるやつにすればよかった」
    「……そうだな」
    「あ、ちゃんと分けられるやつにするよ?」
    「それは別にどっちでもいい」
     雲ひとつない青空と、溶けかけたソーダ味のアイスは同じ色をしていた。
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