深い夜のような藍色のコートが潮風をはらんで翻る。
透き通るような青い瞳を凝らしながら、その女性はキニオン海域の大灯台島に足を踏み入れた。
月光に照らされる白い肌、海の輝きと金砂をまぶしたような髪。
その美しさは、まるで人形のよう。
「……今日も異常無し、と。屋上の様子でも見に行きますか」
彼女の名はコトゼット。
このコネクタルランドの中枢、人々の絆が紡がれる世界樹『コネクタルツリー』の管理人である。
コネクタルツリーを見守る者はソダテナーと呼ばれ、その中でもコトゼットは特に重要な役目を担う。
コネクタルツリーは絆の象徴。
もしもコネクタルツリーに何かがあれば、それだけ世界の平和も脅かされる。
故に、コトゼットは世界に散らばるソダテナー達を統括すると同時に、世界樹の手入れを行う必要があった。
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