勝手 類が手慣れた仕草で扉を開けば、ごん、と重めの衝突音が呻き声とともに聞こえた。
まさか人がいるとは思わず早急にドアノブを離せば、閉まっていく扉から徐々に姿が現れる。「お、おぉ、類か」と、司がひきつった笑みで類を出迎えた。
「すまないね、強く打ってはいないかい? 痛みが続くようなら保健室に行った方が良い」
「いや、そんな大げさなものじゃない。ひじに当たっただけだからな」
「……うん、確かに大丈夫そうだね。今後はそこに座らないことをおすすめするよ」
類は右腕を掲げる彼の様子を注意深く見つめてからひとつ頷き、フェンス側へと移動を促す。司はそばに置いていたランチボックスを持って、先に座った類の隣へ腰を降ろした。屋上の、フェンスに沿った一角で昼食を摂る、そして時折ショー談議を展開する。そこが彼らの定位置で、それが彼らのルーティンだ。
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