或日のふたり 穏やかな海域にいるうちに、とカルテの整理を始めた途端に遭遇した嵐。若いのに経験を積ませようと指導しながらやっと抜けた先で、まさかのカイドウに遭遇。自殺の一貫とでもいうのか喧嘩を売ってきたのでそれなりに激しい戦闘、負傷者が出たので1番隊総出で治療。向こうもカイドウにキレたオヤジが相手をしたのでそれなりに負傷をした。そのまま本当に死ねばいいのに。オヤジはあしらう程度で止めたのでほぼ無傷でさすがだとみんな沸き立った。そんなこんなで、整理したばかりのカルテは再び増える結果となった。
で、先程やっとその2度目の整理が終わって。マルコさんは満身創痍だ。いや、これでバテる体力では無いそうだけれど、精神的な疲労が出ているのは見てわかる。恋人であるわたしでも手伝える範囲は限界もあるし、マルコさんが据わった目でそれはもうテキパキと片付けてしまってあまり手が出せなかったのもある。少しくらい甘えて欲しいというのに。
そういう方面に鈍い頭を何とか働かせて、せめて癒しにならないかとベッドに腰掛けて俯いている彼に考えを口に出してみる。
「あの、マルコさん?その、お疲れ様のちゅー、していいですか?」
「は?」
怖い!普段は穏やかな目を気だるげに伏せていたのに、限界までカッと開かれ、返された1音は向けられたことの無い低音だった。
「や!あの、たまには恋人らしく癒しを提供できないかなーなんて考えた次第でっ」
としどろもどろと説明する最中に無言のまま抱えられ気付けばベッドに押し倒されていた。
「エッ、んむぅ、」
戸惑いのまま見上げれば噛み付くように口付けられ舌を捩じ込まれべろべろじゅるじゅると卑猥な音をたてて貪られている。
「はぇ……」
口が離されてもジンジンと痺れて閉じられない。わたしの半開きの口の端からは飲みきれなかった唾液が垂れている。
「ふぅ。……お言葉に甘えて、たぁーっぷり、癒してもらうよい♡」
羽織っているシャツはいつの間にかベッド下に落ちているし、普段はこの程度で息を乱さないマルコさんがふぅふぅ荒い息で腰のサッシュを解いてわたしを見下ろしている。
「てめぇで煽ったんだ、覚悟はいいな?」
「……ひゃい」
そのとんでもない色気の暴力は、頷く以外の選択肢はわたしには与えられていなかった。