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    hjm_shiro

    @hjm_shiro

    ジャンル/CP雑多

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    hjm_shiro

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    蜂潔/これから初めてになる
    ⚠両片想い

    ばちらがおはようのちゅーをいさぎにねだる話。

    #ばちいさ
    fieldLatitude
    #bcis
    #蜂潔

    「おい、蜂楽! 朝だぞ、もう起きろ」
    「んー…………。おはようのちゅーしてくれたら起きる…………」

     そう言って、また布団に潜っていったチームメイトに潔はため息をつく。
     ブルーロック、身も蓋もない言い方をすればサッカー漬けの監獄で出会った蜂楽廻は潔のよき相棒でありながら、ちょっと困った性質の持ち主だった。

    「ほら、早くしないと……ねむっちゃう…………」

     むにゃむにゃと言葉を発しながらも、また蜂楽の瞼が閉じていく。

     蜂楽は同じ年でありながら、中身は同じとは思えないほど幼い。だが、ボールを持たせればテクニックはピカイチで、ドリブルもパスも一級品だ。ピッチの上では非常に心強い相棒なのだが、如何せん朝に弱く、睡魔に従順。おまけに、少し甘えん坊なところがあって、朝は「いさぎ〜〜」と抱っこをせがむ赤子のように手を伸ばしてくる。
     また、最近はどこかの誰かと間違えているのか、キスまでねだってくるようになった。最初こそ冗談だと流していたが、毎回ねだられると実はここに来るまでの間、誰かにキスされて起こされていたのでは? というちょっとした疑問が湧いてくる。そのたびに、チクッとした痛みが心臓に走るというかなんというか。とにかくモヤモヤするから、そういうときは勢いよく布団を剥がして蜂楽を起こすのだが、今日はそうもいかなかった。

    「お前、起きてるだろ」
    「…………」
    「寝てる人間は、そんな力いっぱい布団を握り締めたりしないんだよ!」

     観念しろと言わんばかりに布団を引っ張るが、それ以上に強い力で掴まれているせいで蜂楽の敷布団ごとズルズル動く。そんな攻防を繰り返している間に他のメンバーは既に朝食をとりに行ってしまっていて、残るは自分と蜂楽だけだった。今日はしぶといな……と思いつつ、無理に布団を引き剥がすのはやめて、すとんと蜂楽の横に座る。こんもりと膨らむ布団のてっぺんをぽんぽんと優しく叩きながら、「なぁ、蜂楽」と布団の住人に声をかけた。

    「なんでそんな起こし方にこだわるんだよ。もしかして、ここに来る前は誰かにキスされて起きてたのか? …………いや、やっぱなんでもない」

     知りたくないことは聞かないに限る。望んだ答えが返ってこない場合もしかり。そもそも知ってどうになる。自分には関係ないし、誰かの存在と重ねられていたらと思うとゾッとする。腹の底が重く、冷たくなる気がするのだ。
     潔は蜂楽を布団から出すことも、思考することも諦めると腰を浮かした。

    「もう行くからな」
    「……ダメ」

     スッと布団の中から手が伸びてきて、蜂楽に腕を掴まれる。さっきまでは籠城する勢いで布団を被っていたのに、案外あっさりと蜂楽は出てきた。じっと目を見つめられて、うっ、と尻込みしてしまう。
     蜂楽はよく目を覗き込んでくる。探り当てて欲しくないところまで深く刺して、何もかもを暴いてしまいそうな視線に時々息苦しさを感じるのだが、不思議と目をそらしたいとは思わない。

    「潔が初めてだよ。そうなる予定」
    「は?」
    「だーかーら、さっき言ってたじゃん。誰かにキスされて起きてたのか? って」

     ばっちり聞いてたもんね♪ と蜂楽が舌を出す。蜂楽はニコニコと笑うと、潔だからだよ、と付け足した。

    「潔におはようのちゅーされたら嬉しくて飛び起きるだろうなぁ、って思ったんだよね。それに潔さ、寝る前に俺のところに来て必ずおやすみ、って耳元で言ってくれるでしょ。そのときの顔、なんていうかちゅーされたそうな顔してるから」
    「はぁ!?」

     そんな顔してねぇし! というより、なんで夜のことがバレているのだろうか。先に眠ってしまう蜂楽に、必ずおやすみを言うようにしていることを。気持ちよさそうに眠る蜂楽を見て、いつも顔にかかった髪をはらってやることが日課だったのだ。みんなが寝静まったあとの楽しみだったのだが、まさか本人にバレていたとは。

    「夜は先に寝ちゃうからできないけど、朝ならちゅーできるなぁって。ね?」

     いや、ね? じゃないのだが、蜂楽の中では理論が通っているらしい。
     ぐいぐい迫ってくる蜂楽に気圧されて尻餅をつく。え、あ、と馬鹿みたいにもたついているうちに鼻先が擦れた。アドレナリンが出まくって好戦的な笑みを浮かべているときの蜂楽の顔が、いま目の前にある。

    「逃げないと、このまま初めてにしちゃうけど」

     俺たち両想いっぽいし問題ないよね、という蜂楽の声が鼓膜を震わせる。

     予定が本物に変わるまで、あと一秒。
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    hjm_shiro

    DOODLE凪玲/【最新】nagi_0506.docx
    ⚠監獄内の設定を少しいじってる

    凪に好きなものを与えて、うまくコントロールしているつもりの玲王と、いやいやそうではないでしょ、って思ってる周りの人たちが思わずツッコんじゃう話。
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    「たまにレオってすげぇなって思うわ」

     千切がぽつりと呟く。千切は本場よろしく油でベチャベチャになった魚――ではなく、さっくりと揚がったフィッシュフライをフォークに突き刺すと美味そうに頬張った。玲王としては特に褒められることをしたつもりはないのだが、ひとまず適当に話を合わせて、そう? と軽く相槌を打つ。

     新英雄大戦がはじまってから、選手たちは各国の棟に振り分けられている。それぞれ微妙に文化が異なり、その違いが色濃く出るのが食堂のメニューだった。基本的には毎日三食、徹底管理された食事が出てくるのだが、それとは別に各国の代表料理も選べるようになっていて、それを目当てに選手たちが棟の間を移動しに来ることもあるほどである。今日はフィッシュ&チップスと……あとはなんだったかな、と思い出しつつ、玲王はナイフでステーキを細かく切った。そうして隣にいる凪の口にフォークを突っ込む。もう一切れ、凪にやろうとフォークにステーキを突き刺したときだった。千切の隣に見知った顔ぶれが座った。
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