茜色が広がる夕暮れ時。穏やかな表情を見せている空の下で、一つの亡骸が地に伏せた。的確に急所を撃ち抜かれたショックと共に生命活動を停止したそれは恐怖の表情を浮かべたままであったため、せめてもの情けにその瞼を下ろしてやる。
辺りに追っ手が居ないことを確認し通信を開始する。任務の完了を伝えると帰還命令が下った。後処理は他の担当に任せられるらしい。この場に残る理由が無くなったので走早にその場を立ち去った。
報告を終え拠点を後にする頃には短針が頂から傾いており、仕事からの解放に気が抜けたのか重々しい疲労がのしかかる。重い体を引き摺るように歩みを進めていると、気が付いたら自宅とは違う建物に辿り着いていた。やってしまったと気付いた時には既に遅く、扉が大きな音を立て開かれる。
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