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    共に余韻に浸ろう。

    #司類
    TsukasaRui

    ワンライ『君の産まれた日』(2023/05/17) カチ、カチ、と時を刻む音だけが鳴り響く。
     数時間前までそんな音には気づくことの出来ないような程に賑やかな空間にいたおかげか、湯に浸かり夕食を食べガレージへと戻ってきた今もどこか気分が浮ついていた。
     本日の主役が見せてくれた笑顔を思い浮かべながら、もう少しだけ『今日』の余韻に浸るべくソファに横になる。
     まるでその時を待っていたかのように振動した端末の画面を表示すると、そこには今まさに顔を思い浮かべていた彼の名前が浮かび上がっていた。
    『この後セカイへ来てくれないか』という端的な内容が表示されていたため、断る理由もなく承諾の旨を送信すると『待っている』と返ってきた。

    「すまないな、夜分遅くに」
    「気にしないでくれ。他ならぬ司くんからのお誘いだからね」

     指定された場所へ足を向けると、パジャマ姿の司が座っていたのて近付き隣に座る。

    「今日は皆の笑顔を見ることが出来た、最高の一日だった」
    「うん」
    「ただ……な。今日が終わると思った時、突然欲深い気持ちが生まれてしまったんだ」

     司はまるで罪を告白するかのような声色で、しかし表情は照れくさそうにしながら頬を掻く。
     確かに、今日は二人きりで過ごす時間はなかったが、別に当日にこだわるつもりはなかった。
     友や仲間を大切にする司も、きっと同じような気持ちで居たのだろう。
     そして一日を終えるべくパジャマへ着替えベッドで横になった彼は、そのまま寝ることではなくこうしてセカイに居る。

    「即ち君は、誕生日プレゼントを求めていたのかな? だとしたらすまない……手ぶらで来てしまった」
    「いや、いいんだ。……手ぶらな類が欲しかったのだからな」

     彼にしてはとびきり珍しく細々とした声が発せられたかと思うと突然力強く引き寄せられた。
     そのまま体を倒した司に抗えぬまま共に倒れる。
     勢いまま倒れてしまったので慌てて体を起こそうとすると、腕や脚が絡みつきあっという間に司の中に閉じ込められてしまった。

    「逃げないよ。突然だったから怪我をさせてしまっていないか確認したかったんだ」

     抵抗を辞めても緩まない力強い抱擁に笑みが零れる。
     少し苦しくはあるが、これ程までにわかり易く求められて嫌な気持ちになるわけがなかった。
     体を伸ばし顔を捉えると、唇を重ねる。
     背に腕を回すと隙間から舌が侵入してきた。
     腕も、脚も、舌すらも絡み合わせ互いを求め一つに溶け合う。
     やがて薄くなった酸素に解かれると、頭が胸元へと抱き寄せられた。

    「……っ、はぁ……るい……すきだ……!」
    「ん、ふふ……ぼくもだいすきだよ、つかさくん」

     何とか腕の中から顔だけ抜け出し、視線を合わせる。
     日付が変わった時、メッセージは送らせてもらったけれど。

    「お誕生日おめでとう、司くん。そして……僕を見つけてくれて、ありがとう」
    「……ああ! こちらこそ、だ。ありがとう、類!」

     ほんの一瞬時が止まり、そしてゆっくりと動き出した彼は、呻き声を上げながら力強く抱擁を返した。
     まだ少々酸欠から回復出来ていなかったが「オレは、幸せ者だな……!」と嬉しそうに笑う姿を見せられてしまったので、甘んじて抱擁を受け止めることにした。
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    ☺😭😭😭😭💖💖💖💖💖
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    たまぞう

    DONE先にポイピクに載せます。
    日曜になったら支部に載せます。
    将参のお話。この間のとはセカイは別になります。
    ちょっと痛いシーンがありますがそこまで酷くないです。
    寧々ちゃんが森の民として出ますが友情出演です。
    最初と最後に出ます。
    何でもいい人向けです。
    将校は参謀と同じ痛みを感じて(物理的)生きたいというよく分からないお話ですね。
    誤字脱字は見逃してください。それではどうぞ。
    将参(友情出演寧々)「ねぇ、その首の傷痕どうしたの?」
    「っ、っっ!?」

    仕事の休憩中に紅茶を飲んでいた時のこと。
    正面の窓から現れた少女に私は驚き、口に含んでいた紅茶を吹き出しそうになった。

    「っ、ごほ…っ、げほっ、ぅ………。来ていたのですか…?」
    「うん。将校に用事があって……というか呼ばれて」
    「将校殿に?」

    森の民である緑髪の少女ーーー寧々は眉を顰めながら、私の首をじっと見つめている。そこには何かに噛み千切られたような痕があった。

    あの日のことを話そうか、少し迷っている自分がいて。
    どうしようかと目線を泳がせていると、寧々が強い力で机を叩く。

    「ほら!話して!」
    「………わっ…!わかり、ました」








    あまりの気迫に押された私はぽつりと語り始めた。
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