エイプリルフール「別れましょう、はるたさん」
「えっ」
仕事から帰ってきて、一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、いつも通りだったはずだ。いつも通りだったリビングから、変な、言葉が聞こえた気がした
「えっ、ど、どうしたの!あっ、きょうエイプリルフールか!」
エイプリルフールの嘘、ということだと思ってほっとする。
「やめてよ、!びっくりするから、!」
そんな安心もつかの間、彼は申し訳なさそうな顔をしながらこう告げる
「嘘じゃないです、ほんとに、別れてくれませんか」
「……ぇ、だって、でも」
「ごめんなさい」
彼はそう言ってソファから立ち上がり、いつ準備したのかもわからないある程度の荷物を持って玄関へ向かっていく、ショックのあまりぼーっとその光景を見るしかできなかった僕は、玄関の扉を開ける音でハッとする。急いで玄関へ向かって、靴も履かずにざんじくんのことを追いかけ、彼の手を掴みギュッと握る
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