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    しはる

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    しはる

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    ざんじの過去についてのお話です
    本編と関係あります
    これを機に本編が気になったらぜひDMしてください
    いつでもお話します

    宮川残時という男幸せを探していた
    だからそのために、運命の人が欲しかった

    「好きです!付き合ってください!」
    「私ね...ざんじくんのことすきなの」
    「ねぇ私たち付き合ってみない?」

    好きという気持ちは、1番幸せに近いと感じた。運命の人の手に入れ方は辞書を引いてもネットで調べても、たとえどんなに頭が優れている人が試行錯誤しても、意図的に見つけることはできない。だから好意を寄せられれば断らずに交際した。もしかしたらこの人かもしれない、そう思った。でも、

    「......別れよ」
    「...えっ」

    なにをされても、そういう行為をしても

    「ごめん」

    何も感じなかった

    「別れたくないよ!!!お願い!!」
    「そばにいさせて!!」
    「あなたしかいないの!!!」

    どんな言葉を投げかけられても、どんなに求められても、そいつらからは何も感じなくて
    唯一感じたのはむしろ愛や幸せから程遠い、”欲”という感情

    「......うざ」

    だから欲のはけ口にしてやった。そういう行為をするだけの関係、嬉しそうに喘ぐ声が耳につんざいて、不快感に襲われる。それを何度も繰り返した。
    付き合っては、期待して、そういうことをして、なんにも感じなくて、捨てようとして、そんなことを何回も何回も
    もう頭がおかしくなるんじゃないか、こんなことをしてほんとに見つかるのだろうか


    「頼む...!頼む...!みのがして、くれ...」

    毎回そんなことを考えながら、取り組んで行く仕事、人の命乞い

    「たのむ...た」
    ザクッ、と鈍い音がする部屋、血塗られた手、暖かく冷たい赤色の液体

    「.........」

    痛いほど叩き込まれた人体の仕組み、技術、
    ...殺し方


    罪悪感なんてなかった、悲しさなんてなかった
    あるのは死体と罪の数だけ

    人を殺して人を求めるのか?実の父を殺してもなお、罪を重ねるのか?
    そんなやつに運命の人なんて現れるのか?
    楽しいなんて知らない、嬉しいなんて、そんなもの、感じたことがない

    ...それでも欲しかった、運命の人が
    幸せというものを知りたかった

    「ざんじ、」

    最後までお母さんが固執していた

    「貴方は幸せ?」
    「...?わからない」

    幸せという感情を

    「そっか」

    「ごめんね、」

    気づけば5年以上の月日が経っていた
    あの日から
    母がこの世からいなくなった日から
    幸せを探す日々を
    5年以上

    いつまで続く?

    「......く...、」

    どこまで探す?

    「...く...ん、...」

    ...どこかで聞いたことがある、

    「...んじ...く...!」
    この世には人を愛することが出来ない人がいるらしい、愛するという感情が欠落している人

    ...もしかして、おれも、それで

    それ...なら...

    運命の人、なんて...い...

    「ざんじくん!!!」
    _____________________
    はっと、リビングのソファの上で目を覚ました
    汗だくで、目から涙を流して、心臓がうるさいほど鳴っている

    「ざんじくん...大丈夫...?すごくうなされてたから...息も荒かったし」

    そういって涙を拭ってくれるやさしい手
    もう片方の手でぎゅっと俺の手を握ってくれる暖かい手

    「また怖い夢見ちゃった?...わっ」
    「はるたさん...はるたさん...」

    俺が押し倒したせいではるたさんの体制が床に崩れる
    ...心を満たして欲しい、あれは怖い夢で、昔のことで...今は違うということを確認させて欲しくて

    「はるたさ...、こわいの...こわいの...!だから..、......だから...!」
    「...いいよ、ほら、おいで」

    両腕で俺を引き寄せて、頭を撫でてくれる

    「怖かったね、よしよし、でも大丈夫。もう怖くないから、僕がいるから」

    ...あぁ、この人は本当に暖かい。柔らかくて、いい匂いがするはるたさん。
    俺の事を全部愛してくれる、はるたさん

    「...キスも...したいです」
    「ふふ、いいよ。いっぱいどうぞ?」

    俺の運命の人。だからこの幸せを崩さないように、大切に、大切に閉まっておく

    「...はるたさん」

    血塗られていた手も、嫌な過去も、犯した罪も...母のことも、全て受け入れるから、全て償うから、全て我慢するから、

    「ふふ、いい子だねぇ、ざんじくん」

    この人がいてくれるならなんだってするから

    「...あったかい」

    この幸せを再確認するように、強く抱き締め返した
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